2021年4月21日水曜日

パンの国フランス・パリで大成功した日本のパン屋さん・ブーランジェリー AKI(アキ) Boulangerie AKI

 


 フランスは、言わずと知れたパンの国。「パン」という言葉の語源は、ポルトガル語という説が有名なようですが、パンは、フランス語でも「パン(pain)」です。

 フランス人にとって、パンは主食であり、その中でも一番、ポピュラーなのは、バゲットと呼ばれる、日本で言うフランスパンです。

 以前、私がイギリスに留学していた時に、友人から、「イギリス人は、毎日イギリスパンを食べているの?」(もう20年以上前のことです)と言う手紙をもらって、苦笑したことがありましたが、イギリスには、イギリスパンはないし、フランスには、バゲットはあっても、フランスパンという言葉はありません。

 フランスでは、圧倒的にバゲットが身近な存在で、レストランに行けば、パンは、たいてい水のように出されるもので、追加を頼めば、いくらでも出てきます。(とはいえ、そんなに追加を頼んでいる人もあまり、見かけませんが・・)

 とにかくパンが大好きで、以前、主人の友人で、「日本食レストランはあまり好きじゃないんだ・・」という人がいて、「どうして?」と聞いたら、「日本食レストランでは、パンが出てこないから・・」と言われて、苦笑してしまいました。

 そのパン好きの彼は、ピザを食べても、パンを食べるというパン好きで有名な人でした。

 フランスでのパンは、いわゆるバゲットやパン・ド・カンパーニュと呼ばれるハード系のパンがフランスでは「パン」と呼ばれるカテゴリーで、クロワッサンやパン・オ・ショコラやショッソン・オ・ポム(甘く煮たりんごがパイ生地に包まれて焼かれたもの)などは、ヴィエノワズリーと言って、別に分類されます。

 とはいえ、どちらもブーランジェリーと呼ばれるパン屋さんで売っているのですが、どこのブーランジェリーも同じようなラインナップで、慣れてくるうちに、もう少しバラエティがあっても・・などとも思ったりもするものです。

 そんな中、あのパン屋さんができて、もう10年近く経ったでしょうか? 

 最初、ラーメン屋さんや日本食レストランが多いオペラ座界隈のサンタンヌ通りに日本のパン屋さんができると聞いた時には、「へぇ〜〜?」と思ったものでした。

 今では、大成功をおさめた「ブーランジェリーAKI」ができる前のお店は、フランス人経営のちょっと寂れた感じのカフェだったか、パン屋さんだったか?今では、どんなお店だったのかがあまり記憶もないくらいに影の薄い存在の店舗でした。

 日本人が多い界隈でもあり、日本のパン、いわゆる日本の食パンやカレーパン、メロンパン、あんぱんなどのいわゆる菓子パン、惣菜パンなどなど、日本ならどこでもあるけど、実はフランスにはないパンを売るパン屋さんは、大成功をおさめています。

 1号店は、狭い店内にたくさんの売り子さんがカウンターに立ち、次から次へとお客さんの注文を捌いていく様子は、日本のような手際の良さです。

 パンに加えて、フランスには、ありそうでない日本でいうところのショートケーキやロールケーキ、また抹茶を使ったケーキなども置いています。



    ごまメロンパンに抹茶クリーム&生クリームメロンパン、さくらメロンパン


 そのうち、このお店は、おにぎりや日本のお弁当までを扱うようになり、みるみる大繁盛店に成長しました。



 日本円に換算すると明太子のおにぎり1個3.8ユーロ(約500円)とぶっ飛びだが、外食の高いパリでは、これでも充分、売れるのです 


 中でも、我が家で気に入っているのは、いわゆる日本の食パン(Pain de Mie Japonais)で、パンの暑さも6枚切、8枚切、サンドイッチ用と細かい配慮。

 フランスにもパン・ドゥ・ミ(Pain de Mie)と呼ばれる食パンに近いものはあるのですが、きめの細かさやふわふわして、トーストにした時のサクッとした感じがやっぱり違い、買い置きできる時には、まとめて買って、冷凍庫に保存してあるほどです。

 使っている小麦粉が違うのか? 単なる慣れなのかはわかりませんが、うちの娘は、日本に行って、美味しいと言われているパン屋さんの食パンを食べても、「AKIのパンの方が美味しい」などと言います。

 たしかに物珍しいだけで、これほど人気になるはずもなく、ちゃんと美味しいのです。しかし、お店の人気上昇とともにお値段も上昇中です。

 しかし、多分に保守的で、パンの王道を行くフランスで、この日本のパン屋さんがどの程度、ウケるのか?と思いきや、みるみるうちにAKIは大人気店に成長し、昼時などは、長蛇の列、土曜日などに行くと、もう食パンは売り切れで買えないと言う人気ぶりです。

 この食パンは意外にもフランス人の中でも人気になり、この日本の食パンを置く店がマレ地区などにも急増しています。フランス人が日本の食パンを真似して作っているというのも、なかなか奇妙な現象です。

 先日、久しぶりにこの辺りに行く用事があり、それなら、AKIの食パンが買いたい!とサンタンヌ通りに立ち寄ったら、ビックリ!同じ通り沿いにAKIの店舗が増えたこと!AKIカフェ、レストランAKI、Mochi Mochi AKI(お餅を使った商品を扱っている)などなど、どれだけ、AKIなんだ??と思うほど・・残念ながら、現在は、カフェやレストランは営業できずにテイクアウトだけの営業でしたが、ロックダウンが明けて、いつもの日常に戻ったら、AKIは、さらに拡大していくことでしょう。

 しかし、また意外なことにこのAKIのオーナーさんは、日本人ではないという話で、AKIという名前の店舗だけでなく、近辺のラーメン屋さんなど多くの店舗を持つ大のやり手だそうです。  

焼きたてのバゲットとエシレバター たしかにこれも美味しい

 たしかにフランスのパンは美味しいし、一番、簡単に食べられて、一番美味しいフランスのファストフードは、バゲットにエシレバターなどを塗って(というより挟んで)食べるのが一番!と思ったりもするのですが、たまには、食べたい日本のパン・・そんな日本のパンが(しかもかなりクォリティも高い)食べられるようになったことは、嬉しいことに違いありません。


パリの日本のパン屋さん Aki


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