2020年12月31日木曜日

フランスで爆発的な売れ行きのリドル(Lidl)のスニーカー

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 このスニーカーが突如、フランス(ヨーロッパ)で、もの凄い勢いで売れ始めました。

 先週のフランスのTwitterでも、トレンド1位に度々、登場していました。

 このスニーカーは、リドル(Lidl)というディスカウントスーパーマーケット(ドイツの会社)のもので、このスニーカーに使われている色も、このスーパーマーケットのロゴに使っている色が全面に使われているものです。

 最初にこのスニーカーが爆発的に売れていると聞いて、正直、「??? なぜ? なんだこれ? これがフランスで人気??? ずいぶん、フランスもテイストが変わったもんだ・・」と思っていました。

 当初は、このスーパーマーケットで12.99ユーロ(約1,650円)で販売されていたこのスニーカーは、クリスマス前後に再び店頭に並ぶと、客同士が奪い合うようにして、あっという間に完売し、転売サイトでは、295ユーロ(約37,500円)から、終いには、4,900ユーロ(62万円)まで価格が高騰しました。

 フランスでは、ある程度の流行というものはあっても、何か一部の商品が爆発的に売れて、誰もが同じものを持ち歩いたり、身につけたりという流行は、あまりないので、このスニーカーの騒ぎは、ちょっと意外でした。しかも、この色とこのメーカー・・。

 このスーパーマーケットは、低価格商品で有名なお店で、フランスにも1,350店舗を展開するドイツのディスカウントスーパーのチェーンです。我が家の近所にはないので、あまり利用はしていませんが、恐らく、フランスでは、安いものを売っているスーパーとしての認識が高いお店です。

 このスニーカーの爆発的な人気には、メーカーのブランドイメージを変えるための戦略であり、影響力のあるインフルエンサーが関わっています。

 スニーカーは、リドルから、インフルエンサーに100足近くが配られ、その中で、フランスの元サッカー選手のジブリル・シセが、インスタグラムに「お母さんが買い物をしていた場所」「大いに感謝」と投稿したのです。また、フランスのラッパー・ブーバでさえ、このスニーカーを注文したことが拡散されています。

 リドル・フランス(Lidl France)は、その製品を宣伝するために影響力のある人々を募り、インフルエンサーらは、派手な色のこれらのスニーカーをソーシャルネットワークに投稿。さらに、グループはこれらのアイテムが「数量限定」で販売されることを警告し、顧客に希少価値があるという印象を与えました。

 完全にメーカー側の戦略に誘導された流行です。

 最も、流行は一時のもので、ターゲットは、一部の限られた人向けのものではありますが、個性的なエスプリを取り入れたおしゃれを好むフランスでも、このような騒ぎになることが、ちょっと驚きだったのです。


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「フランス人のおしゃれの仕方」

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2020年12月30日水曜日

フランスはどこまで甘いのか? 年越しに関する制限は、現状どおり

  


 昨日、コロナウィルス感染拡大に関する防衛評議会がエリゼ宮で開かれると聞いていたので、私は、微かな期待をしていました。

 目前に控えた大晦日、年越しの日への何らかの対策を発表してくれると思っていたからです。

 その日の夜のニュース番組に出演した保健相オリヴィエ・ヴェランの回答は、全く失望するものでした。

 「現在のところ、フランスの感染状況の数字は、横這い状態であるため、現在のところは、ロックダウンもその他の行動に関する制限に関する変更もしない」とのことでした。

 現在、フランスで、特に感染拡大が深刻になっているのは、グラン・テスト、オーヴェルヌ・ローヌ・アルプ、ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ、アルプの4地域です。これらの地域を中心に、20の地域での、1月2日からの夜間外出制限を現在の20時から18時にすることを検討中だそうです。

 それが、なぜ?1月2日からなのか? 今、差し迫って大問題なのは、皆が行おうとしている大晦日の年越しのパーティーなのです。

 これに対して、科学評議会は、この年末年始の人の集まる行事(ノエル、年越し)の後、1月には、フランスの感染状態がコントロール不可能な状態に陥ることを警告しています。

 オリヴィエ・ヴェラン保健相は、ノエルの前のPCR検査もフランスでは、ヨーロッパの中でも最も検査数が多く、皆、充分に気をつけて、ノエルを過ごしたと思う。今後の対応は、あくまで、その時の感染状況に対しての対応をすると話していました。

 しかし、これでは、まるで、感染状態が悪化するまで待っている、第3波が完全に波に乗るのを待っているということで、波に乗ってしまってからでは、遅いことを、第1波、第2波を過ぎ、6万4千人以上の犠牲者を出している今でも学んでいません。

 特に大晦日、年越しに関しては、ノエルが家族での集まりがメインであったのに比べて、友人同士というさらに広範囲の歯止めの効かない集まりで、若者たちの多くは、当然の権利のように、年越しパーティーを行うことを憚らずに公言しているのです。

 「若者は安全だ」という神話が、今となっては、仇となっています。確かに重症化するリスクは低いかもしれませんが、自分が感染を撒き散らして、人の命を奪うことに加担していることを想像できないことは、悲しいことです。

 ノエルを過ごすことは許可したのだから、もう一つの年末の行事くらい我慢してもいいではありませんか!

 せめて、この日、1日だけでも厳しく制限することで、どれだけの感染が防げるかと思うと残念でなりません。

 国民が国内大移動をして、ノエルを家族と過ごした結果はまだ出ていないのです。

 気温の下がっているこの時期に、大勢の人が行き交い、感染状態が悪化していない理由は、一つもありません。

 実際にイギリスでの感染拡大が深刻化し、多くの国が警戒体制を取っている中、この上、年越しを20時以降の外出禁止だけで、済ませようとしているフランス政府が私には、全く理解できません。


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「心配の種は尽きないフランス ノエルの後は、年越し」

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2020年12月29日火曜日

食品廃棄物防止・減少へのフランスの取り組み スーパーマーケットの食品廃棄物防止のラベル


Des clients font leurs courses dans un supermarché Leclerc, en Gironde, le 23 décembre 2020. (VALENTINO BELLONI / HANS LUCAS / AFP)


 ここのところ、スーパーマーケットに買い物に行くと、賞味期限ギリギリになった食品に黄色やオレンジのステッカーが貼られて、大幅に値下げしている商品をそれぞれの売り場で見かけるようになりました。

 殊に、この食料品が溢れかえっているクリスマスと年末のスーパーマーケットの極端な値段の下げ方に、私は、ちょっとワクワクしていたくらいです。

 この取り組みは、半年くらい前から乳製品やハム、パンなどから始まっていましたが、クリスマスが終わって、魚介類や肉、野菜などの生鮮食料品にまで、この値下げのラベルが貼られるようになりました。

  

クリスマスから一夜あけて70%オフになっていた魚介類


 賞味期限がギリギリで一度に食べられなくても、ある程度、下処理をしたり、お料理をして冷凍してしまえば、かなり安上がりになり、助かります。

 このスーパーマーケットの動きは、政府主導のものだったようで、昨日、フランス政府は、食品廃棄物を減らすために、この「アンチガスピヤージュ(無駄廃止)」のラベルを推奨して、本格的にこの問題に取り組むことを発表しました。

 また、計り売りの野菜はこれまでビニール袋が使用されていましたが、最近、全て紙袋になりました。これも環境問題への対応の一環と思われます。

 

野菜売場に置かれている紙袋

 具体的な食品管理やラベルをつける条件などの詳細は、年明けに発表されるようですが、2015年の状態から、食品廃棄物を50%削減することを目標にしています。

 これは、とても喜ばしいことで、これまで、フランスでは、これ売り物?と思われるような、萎びた野菜などが平気で普通に並んでいたりしたので、このラベルができることで、自ずと食品の状態をしっかりと管理する体制になってくれるのではないか?と、期待しています。

 萎びた野菜が置いてあったりして、「なんで、こんなもの並べておくのだろう?」と苦虫を潰して、遠目に眺めていても、また、それを買っていく人を見かけたりするので、「あ〜買う人がいるからだ・・」と思ったりしていたのです。

      


 政府は、このラベルをつけることで、「消費者の選択を導く」としており、あくまでも新しい商品を定価?で求めるか、賞味期限の迫った値下げされた商品を選ぶかは、国民の選択に委ねられています。

 しかし、倹約家のフランス人のこと、この「食品廃棄物防止ラベル」で、これまで廃棄処分になっていたであろう食品は、確実に減っていくと思います。

 個人的には、年末年始にかけて、いつもは、手軽に手を出せない高級食材が大幅値下げになってくれるのを心待ちにしているのです。


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「表示価格があてにならないフランスのスーパーマーケット」

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「フランスでの日常の食料品の買い物 ① フランスの野菜」

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2020年12月28日月曜日

フランス・コロナウィルスワクチン接種開始

  


 12月27日(日)、いよいよフランスでもコロナウィルスのワクチン接種が始まりました。

 78歳の女性がパリ近郊のセーヌ・サン・ドニの病院でフランス初めてのワクチン接種を受けました。次いで、午後には、65歳の医療従事者(心臓専門医)がワクチン接種を受けました。

 フランス初めてのワクチン接種を受けた女性は、ワクチン接種を受けるにあたって、「感動している!」と答え、またワクチン接種直後には、「暑くなってきた!」と高揚した面持ちで語っています。

 彼女は、高齢でしかも慢性疾患に苦しんでいることなどの条件からフランスでの最初のワクチン接種に選ばれたようですが、このフランスでの最初のワクチン接種として、マスコミに登場することを同意することも最初のワクチン接種対象者に選ばれた条件の一つであったと言われています。

 フランスもワクチン接種を始めたことをアピールしたい気持ちもわかりますが、マスコミ登場が条件の一つであったなどというのは、あまり気分の良い話ではありません。

 フランス政府は、このワクチン接種を来週から、パリ、リヨン、フランス北部の地域、トゥールの近く23カ所の高齢者施設から開始していく予定にしています。

 現時点での対象は、65歳以上の高齢者、医療従事者を中心に展開され、1月中旬には、数百の高齢者施設でのワクチン接種が行われます。

 ワクチン接種に関して、フランス政府は、「信頼」「透明性」「自由選択」を軸とした方針を掲げていることから、現在、ワクチン接種が行われる高齢者施設の居住者に対する「同意書」収集に追われています。

 ワクチン投与の前には、患者の同意を得る必要があり、高齢者施設の居住者については、主治医とのワクチン接種前の相談が行われます。他の医療行為と同様に、同意は口頭で行われ、本人が判断できない場合は、家族や信頼できる人に相談します。それが不可能な場合は、施設のスタッフとの合同会議が開催されます。

 フランスには、依然としてアンチワクチンを唱える人も少なくなく、むしろ、国民全体としては、現在のところ、ワクチンをするつもりでいる人は、全体の44%のみで、この「同意書」収集も必ずしも、あっさり進むとは限りません。

 また、今後の感染状況にもよりますが、政府では、「ワクチンパスポート」のような、「ワクチンを受けたことを証明するシステム」案が出ており、このパスポートを持っている人だけが、現在もまだ閉鎖されたままであるレストランや劇場、映画館を利用することができるというアイデアが、「ワクチンを受けなければ、これまでの日常生活に戻れないなどということは、ワクチン接種が自由選択であるとは言えない!」と、早くも大反発を生み初めています。(特に若い世代)

 政府は2月上旬までに70万人の高齢者施設居住者にワクチン接種を提供し、その後、2月から春にかけて、ワクチンを希望する高齢者と併存疾患のある介護者にワクチンを投与し、この夏までに合計で1500万人のフランス人がワクチン接種を受けることを目標としています。

 当面は、高齢者施設や高齢者、慢性疾患のある人が優先で、一般大衆にまで、ワクチンが広がるのは、少なくとも春以降の見込みで、レストランや映画館の再開とワクチン接種を結びつけることは不可能ですが、徐々にワクチン接種が拡大するとともに、この「ワクチン問題」への論争も徐々に物議を醸しそうです。

 それよりも、現在のところは、ワクチン接種が始まったことで、コロナウィルス感染の収束が見え始めた・・などと、気が緩むことの方が差し迫る危険因子なのではないかと思っています。


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「フランスのコロナウィルスワクチン接種」

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2020年12月27日日曜日

心配の種は尽きないフランス ノエルの後は、年越し 

   


 今年の特別なクリスマスは、我が家では、至って静かに過ぎ、また、近所でも大騒ぎをしている様子の家も見当たらず、むしろ、我が家では、ノエルどころか、娘がTGVですりにあったことで、(しかもクリスマスイブに・・)

(娘のスリ被害の話)https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_25.html 

 彼女は、数日しかパリに滞在できないために、その間に、警察への被害届を出しに行ったり、お財布に入っていたIDカードやカードの再発行、保険のための手続きを進めるという、ノエルのバカンスとは思えない所用に追われる日を過ごすことになりました。

 フランスでは、25日のノエルの日は祝日ですが、翌日は土曜日とはいえ、休日ではありません。警察には、日曜も祭日もありませんが、とはいえ、クリスマスのピリオドということで、市役所は、土曜日もやっているはずなのに、住民課は休み。

 ある程度は、ネットでIDカード申請の手続きは、進められるものの、書類を提出することはできませんでした。

 警察に盗難届を出してもらいに行くと、ノエル直後などはガラガラかと思いきや、近隣の住民が家に沢山の人を招いて夜中まで大騒ぎをしていてあまりにうるさいという苦情を申請しに来ている人がおりました。

 我が家のすぐ近所ではありませんでしたが、やはり近隣での話、やっぱりノエルを家族だけ、6人以内でおとなしく感染に注意しながら過ごしていた人ばかりではなかったことをひょんなことから知ることになりました。

 考えてみれば、ノエルが終わったからといって、フランスは、全然、安心できない状況であることは、明白です。

 31日の大晦日の年越しのカウントダウンが待っているからです。

 ノエルが家族の集まりを主流としているのに比べて、年越しのカウントダウンは、友人同士の広範囲の集まりになるのが、一般的なフランス人の習慣です。

 家族の集まりならば、まだ、歯止めが効くものの、年越しの友人同士の集まりとなれば、たがが外れる傾向にあるのは、必須です。特に若者たちは、一度は許可されたはずの31日の夜間外出が禁止になったことに反発をしています。

 フランスで現在、人気急上昇中のYouTubeの若者向けのニュースチャンネルを運営しているYouTuber ユーゴ(Hugo Décrypte・登録者100万人・若者への影響力も大きいことから、マクロン大統領なども彼のチャンネルのインタビューに応じて、彼のチャンネルに出演しています)https://www.youtube.com/channel/UCAcAnMF0OrCtUep3Y4M-ZPw の調査によれば、若者の45%が31日の夜間ロックダウンに反対しており、友人同士で集まるためには、20時までに集まり、翌日6時に帰りさえすれば良いのだろうと開き直っている人が多いとか・・。

 また、フランス人の25%、若者に限れば50%の人が年越しのパーティーを予定している(ODOXA/仏・大手世論調査会社の統計より)という恐ろしい現実が示されています。

 ノエルの集まりで、そこそこ感染している人々が、この年末のパーティーでさらに広範囲に感染を拡大させる可能性が大きいことが、浮き彫りになってきています。

 イギリスで検出され、感染が急激に拡大している原因とされている変異種の拡散が一気にフランスでも拡大される危険を孕んでいます。社会や、世界の現状を正しく理解しないままにただただ、反発し、自由を叫び、身勝手な行動を続け、感染を拡大させ続ける人々には、怒りを感じます。

 現状を理解する、少なくとも、しようとすることは、国民の義務です。コロナウィルスが蔓延し続ける現在はことさらです。社会、世界の状況を見ていれば、今、自分たちがどのように行動しなければならないかは、明白です。「知らなかった・・よくわからない・・」では済まされません。

 多くの人の命に関わることなのです。自由には責任が伴います。でも、責任を取れないでしょう?

 本当にこのような人々には、怒りを禁じ得ません。「もういい加減にしてほしい!」本当にそう思います。

 もう年越しを数日後に控えて、「やっぱりフランスはダメだった・・」と思うであろう1月が恐ろしいです。


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「ノエルのバカンスに突入したフランス 夜間外出禁止が裏目に出ている」

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2020年12月26日土曜日

クリスマスはXデーになったのか? コロナウィルス変異種フランスでも検出

 


 コロナウィルス禍中、すったもんだのあげくに迎えたノエルを、フランスは、結局、1テーブル6人以内という制限付きではありましたが、家族で過ごすことが許され、24日の夜には、夜の外出制限も解除された状態で、過ごしました。

 世間では、概ね6人以内という制限は、守られたのではないか? という見方がされているようですが、(ほんとかな?)各家庭の様子を全て覗き見ることはできません。

 しかし、たとえ、かなりの注意を払ったとしても、かなりのリスクであったことに違いはありません。

 先週の1日の感染者数の平均は、1日1万4千人で、ここ数日の感染者数は、2万人を超えています。

 ノエルが終わったとはいえ、一週間後には年越しのカウントダウンが待っています。

 当初、24日の夜と31日の夜は、外出禁止は解除されるということでしたが、感染状態が思った以上に改善されなかったことから、(むしろ、かなり悪化している)31日の年越しのカウントダウンの日は、他の日同様に、夜の外出は禁止されることになりましたが、たとえ、クリスマスで感染が拡大していたとしても、その結果が表れるのには、少々、タイミングが早く、クリスマスによる感染悪化が年越しに歯止めをかけるものには、なりそうもありません。

 結局のところ、周囲の話を聞いても、クリスマスを家族と過ごすことは諦めたという話は、ほとんど聞こえて来ずに、自分たちは、人数を縮小して、アルコールジェルを用意して、できるだけマスクをして、テーブルでの間隔を取って行うという話ばかり、ほとんどの家庭がそれなりのクリスマスを過ごしたと思われます。

 すでに1日の感染者数が2万人を超えている中、強行されたクリスマスの結果が出る前に、すでに医療体制の逼迫化から、ロックダウンを希望している都市も現れ始め、ノエルの様子とともに常に医療機関や専門家の現状や今後を心配する声が同時に報道されています。

 そんな中、現在、波乱を呼んでいるイギリスで検出されたコロナウィルスの変異種がついにフランスのリール(フランス北部、オー・ド・フランス圏の首府)で検出されたというニュースがクリスマスの夜に発表されました。

 私見ではありますが、これまでもフランスでは、検出されていなかっただけで、この変異種は、すでに感染が広まっていると思っています。

 また、この変異種に関する研究もすでに進み始めており、その感染力は、恐らくイギリスのボリス・ジョンソンが発表したこれまでのウィルスの70%の感染力という数字を上回る感染力を持っているものであることがわかり始めています。

 あれだけ「ノエルを家族と過ごす権利」を叫んで、このコロナ禍中に思いを遂げたフランス人のクリスマス。このノエルが感染を拡大させたことは間違いありませんが、今後、迎えるであろう第3波の波をどれだけ低く抑えるかは、国民の自覚にかかっています。

 権利を主張するだけでなく、一応、ノエルという大きな思いの一つを叶えたのですから、今後の自粛生活を気を引き締めて送って欲しいと切に思います。

 年越しの夜には、外出できないことから、ノエルとは違って友人同士が集う習慣のあるフランスでは、夜通しのパーティーが家の中で行われる心配が大です。

 しかし、とかく権利の主張ばかりでやることやらないフランス人、大いに不安を感じます。


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「コロナ禍中でも続くフランス人の権利の主張」

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2020年12月25日金曜日

思ってもみなかった娘のクリスマスイブの悲劇

      

24日クリスマスイブの夜 ガラガラのTGV


 現在、スタージュのためにブルターニュにある会社の研究所で働いている娘がノエルのために、クリスマスイブにパリに帰ってくることになっていました。当日は、少し早めに会社を退社して、そのまま、TGVでパリに戻ってくることにしていました。

 その日の朝、彼女はまず家を出たときに、パリの家の鍵を忘れたことに気付いて、慌てて家に戻って、走って転び、それでも、その日の仕事を終え、予約してあったTGVに乗るために駅に向かいました。

 TGVの出るレンヌの駅に行くまで、さらに電車で1時間半ぐらいかかるど田舎です。そのど田舎の駅で電車を待っていると、電車がなかなかやってきません。TGVの予約してある時間もあるため、彼女は焦っていたのです。

 同じ電車を待っていた数人の人から、電車がキャンセルになったと聞き、慌てた彼女は、駅舎に本当にその電車がキャンセルなのかを確認に行きました。田舎の駅のことで、電車ごとの時間を知らせる電光掲示板もなく、駅のアナウンスもなく、電車がキャンセルになっても駅員は知らせてもくれないのです。

 おまけに確認に行くと、あっさり、「電気系統の問題でキャンセルよ!」とあっさり・・慌てて、レンヌ行きのバスがあるらしいことを見つけて、バスについて尋ねても、「私は、SNCF(フランス国鉄)の職員だから、バスのことは知らない・・」と言う。

 レンヌまでの電車がキャンセルならば、キャンセルになった電車の払い戻しについて尋ねても、「払い戻しはされるんじゃない?」とSNCFのことでさえ、他人事。

 結局、自分で調べて、なんとかレンヌ行きのバスに乗り込み、TGVの時間には、間に合ったのですが、今度は、TGVが遅延、それでもTGVは、遅れたもののキャンセルにはならずに、パリに向けてようやく出発。

 24日の夜のことで、TGVはガラガラに空いているということでした。

 結果的にパリのモンパルナス駅に着いた時には、途中で遅れを取り戻したのか、「皆様には、3分も遅れてしまい、大変、申し訳ありません!」と、滅多に謝らないクセに、この時ばかりは、いかにも、3分しか遅れなかったのはすごいだろ・・と余裕の謝罪のアナウンス。

 それでも、なんとかTGVは、パリに到着したのでした。

 私は、家で久しぶりに帰ってくる娘のために、彼女の食事の支度をしながら、(TGVが遅れていると聞いていたので)「何時くらいになる?」とメッセージを送って、彼女からの返事を待っていました。

 メッセージで返事が返ってくると思いきや、彼女から電話がかかってきました。「もしもし・・あのさ・・」との彼女の第一声で、何か様子がおかしいことがわかりました。

 なんと、彼女は、TGVの中で、お財布をすられ、お金もカードも取られて、身動きが取れないのでした。「もうどうしたらいいかわからない!」と途方に暮れた様子。

 なるほど、お財布を取られて、カードもお金もないとなると、メトロにもバスにも乗れません。おまけに慌ててカードをストップしたために、ウーバー(車)でさえも呼べません。

 仕方なく、私のカードナンバーを知らせて、ウーバーを登録し直して、なんとか彼女は家に帰ってきました。せめて携帯があって良かった・・。

 ノエルの時期の治安が悪くなることは、承知していましたが、まさか、ガラガラのTGVでお財布を擦られるとは・・呆れて、言葉もありません。

 しかもクリスマスイブに・・。

 聞けば、なんと彼女は、TGVの中でトイレに行った際に、荷物を座席の下に置いていったというのです。そんなフランスではあり得ないことをするなんて、全く信じられません。

 お財布自体は、もうボロボロで、あまり現金を使う習慣のない彼女のお財布の中身は、10ユーロも入っていなかったようですが、クレジットカードやIDカードの再発行をしなければならず、ノエル明けにはさっそく手続きに走らなければなりません。

 今回は、数日しかパリには滞在しないために、この更新手続きのために、彼女はまた、パリに来なければなりません。

 しっかりしているようで、妙に抜けているところがある娘、前回、帰ってきた時には、家の鍵を忘れ、またその前には、お財布を家に忘れてきました。こんなことなら、家に忘れてきた方がどれだけ良かったか??

 思ってもみなかったクリスマスイブの悲劇、少しでも気を抜けば、すかさず被害にあるこの治安の悪さ。改めて、気を抜くことは許されない・・そんなフランスを再確認させられたクリスマスになりました。


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「ノエルに向けて治安の悪化するパリ」

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2020年12月24日木曜日

コロナウィルス変異種感染拡大によるイギリスからの入国制限が引き起こした混乱

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 イギリスのボリス・ジョンソン首相がコロナウィルス変異種が検出され、この変異種のために感染が急激に悪化していることから、ロンドン、イギリス南東部を再ロックダウンすることを発表して以来、この変異種がこれまでのコロナウィルスよりも70%も感染率が高いとの報告を受け、即刻、翌日には、イギリスからの入国を禁止したフランス。

 イギリスで感染拡大しているこの変異種のフランスへの感染を恐れて緊急措置としては、致し方なかったとはいえ、あまりに急な国境閉鎖に3日以上経った現在も、1400台以上のトラックが国境付近で足止めを食っています。

 フランスは、48時間後に72時間以内のコロナウィルス検査で陰性であった人については、入国を許可する方針を発表しました。

 しかし、ロンドンとフランスを結ぶ主要港であるドーバーを結ぶ高速道路では600台以上のトラックがブロックされており、他の800台は国を出るのを待っている間近くの空港に駐車されています。

 充分な情報も食料もないまま、ひたすら待機せざるを得ないトラックの運転手たちの間で、緊張状態が高まっています。この寒い季節に突然、足止めを食って、満足な食べ物もないままに何日も夜を過ごすことになれば、混乱状態に陥るのは当然のことです。

 ましてやコロナウィルスが蔓延している中でのこの状態、現在、600台のトラックは、道路から、パーキングに移動しているものの、この混乱した待機状態の中で、クラスターが発生することも充分考えられることです。

 昨日になり、この待機中の人々に対しての検査が開始されましたが、その検査にも数日を要するのは必須です。ノエルを家族と過ごすことを切望していた人々は、家族と過ごすどころか、こんなパーキングでトラックの中で過ごすとは、あまりに悲惨なことです。

 また、イギリスからの輸送がストップされ、部品不足のために、トヨタのバレンシエンヌ工場は数日間閉鎖になるという物流の閉鎖が多方面に影響を及ぼしています。  

 そして、イギリス在住のフランス人に対しても、ノエルのためのフランス入国に際しては、検査で陰性を証明する必要が課され、検査が無料のフランスと違って、イギリスでは検査に250ユーロ近くかかる上、検査も混雑を極め、ノエルの帰国を断念せざるを得ない人もいるようです。

 このためにロンドンからパリへのユーロスターは、IDカードのチェックの前にコロナの陰性の証明書のチェックが行われ、通常ならばこの時期、満席状態のところ、乗車率は50%ほどになっています。

 この急な、イギリスからの入国制限に対して、特にトラックで寒空の中、数日間待機を余儀なくされている人たちに対しては、あまりに非人道的な扱いであると問題視され、さっそくに突然、発表したボリス首相が悪い! 急にブロックしたフランス政府が悪い! と、やり場のない怒りをどこかにぶつけようとしています。

 いずれにしても、戦うべきはウィルス。

 ワクチン完成、投与開始にわかに期待を持ち始めたところにこのコロナウィルス変異種の感染拡大。

 ワクチンが広まるのは、春以降と言われている今、この冬は、まだまだ厳しい状況が続くことに警告を鳴らされている状況です。

 イギリスでは、この変異種に続き、それとは、別の変異種が南アフリカからの渡航者から検出されていると発表しています。

 もうエンドレスだ・・。


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「ヨーロッパを再び襲い始めたコロナウィルス感染 イギリス再ロックダウンの波紋」

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2020年12月23日水曜日

12月26日には、再ロックダウン?? みんな本当は、ヤバいと思っている

  


 イギリスのコロナウィルスの変異種による感染拡大や、ヨーロッパの他国の緊張状態をよそに、ノエル気分で盛り上がっているフランス人も、さすがにヤバいと思い始めています。

 昨日、久しぶりにフランス人の元同僚が電話をくれて、お互いの近況やコロナウィルスのことやノエルのことを話していたら、彼が、とてもコロナウィルスを怖がっていることに、こちらの方がビックリしたぐらいです。

 彼は、もうだいぶ前に、会社を定年退職している、ごくごく一般的なフランス人ですが、割と家が近いこともあって、私が旅行したりするときには、猫の世話を頼んだりしているので、会社を辞めてからも、ずっと付き合いが続いています。

 今は、二人の子供も独立し、奥さんと二人で暮らしていますが、ノエルには、娘家族が来るけれども、食事する時以外は、家の中でもマスク、食事の時には、テーブルは、別々にすると言っていました。

 そして、日本人である私に、「今まで、フランスに来る日本人旅行客の中に、マスクをしている人がいるのを「変な人たちだ・・」と思ってきたけど、マスクがどんなに大事なのか今、実感している」と言っていました。

 「だいたい、毎日、400人も500人もコロナウィルスのために人が亡くなり続けているなんて、あり得ない! 1月には、またロックダウンになることは、間違いない・・」とも・・。

 てっきり、彼のような、ザ・フランス人は、ノエルで浮かれているかと思いきや、かなり慎重で、悲観的なことは、私にとっては、意外な驚きでした。

 しかし、世間でも、周囲の国に追い立てられるように、「ノエルが終わったらすぐに、(つまり12月26日には、)すぐにまたロックダウンした方が良いのではないか?」という声が上がり始めています。

 この声に対し、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「ロックダウンについては、感染状況を考慮して判断すること、現在のところは、急激な感染悪化の兆候は見られない」と発表しています。

 現在は、薬局でもテストができるようになって、恐らく急激に検査数が増えたと思われますが、その分だけ、検査結果の把握が難しくなっているわけで、現在発表されている数字が正確なものなのかどうかも、甚だ疑問でもあります。

 しかし、いくらノエルが解禁になって、あくまでも、家族と過ごすノエルをどうしても強行するフランス人も実のところはかなりヤバいと思っているのは、たしかなのです。

 それならば、せめて、ロックダウンとはいかないまでも、26日以降は制限を厳しくするとか、政府が何らかの手段を取らなければ、また手遅れになり、多くの犠牲者を出すことになります。

 これまでも、ことごとく、対処が遅くて、フランスのコロナウィルスによる死者はこれまでに6万1千人を超えています。

 今はマクロン大統領自身が感染して隔離状態にあり、重大な判断が下しにくいのかもしれませんが、誰もがヤバいと感じている今、このままの状態を放置することは、どう考えても、あり得ないと思っているのです。

 第3波は季節がら、また気温が低下している中、また、変異種の出現により、これまで以上に深刻になるかもしれません。


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「フランスのコロナウィルス感染 第2波は第1波よりも深刻かもしれない」

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2020年12月22日火曜日

ノエル目前のフランスのPCR検査

 


 フランスのPCR検査は、当初から無料で提供されてきましたが、検査場の数は限られていて、一時は、パリの街中の行列ができているといえば、検査場の前というくらい、人だかりができていて、まさに検査場で感染してしまうのでは?と思うほどでした。

 ここへ来て、政府は、ノエルの家族の集まりをできるだけ安全に行えるように、家族の集まりに参加する前に、また、バカンスに出かけるためにPCR検査を受けましょうと奨励しています。

 これまで、検査場でしか受けられなかったPCR検査も12月に入って、フランスでは、薬局でも受けられるようになりました。

 ちょうど、昨日、薬を取りに薬局に行ったついでに聞いてみると、その薬局でもPCR検査をやっているとのこと、23日、24日は、大混雑が予想されるために、予約が必要だけれど、それ以外の日は予約も必要ないということでした。

 薬局での検査でも、検査結果は、1時間以内にわかるそうです。

 感染の危険は、常にあるわけで、ノエルの家族の集まりのために検査をするのであれば、あまり意味がなくなってしまうわけで、今のところは、この薬局で検査をしている様子は見かけられませんでした。

 しかし、感染を広げないためには、少しでも多くの人が、早い段階で感染の有無をする必要があるはずです。

 しかも、「検査をやっています」という告知は、しておらず、聞いたら、「やってますけど・・」という程度、何なら、仕事は増やしてほしくない・・とでも言いたげな感じで、せっかく薬局で検査ができるようになったのに、いかにもフランスな感じです。

 それでも、薬局で検査ができるようになったことは、公に知らされているので、23日、24日には、すでにかなり予約がかなり入っている模様です。今日、通りかかったら、すでに行列のできている薬局もありました!

 検査が無料で、しかも、身近な薬局でできるようになったことは、大きな進歩ではありますが、検査をしたからといって、ワクチンではないので、感染のリスクはいつもつきまとうのです。

 現在、大変な警戒をしているイギリスで発見されたコロナウィルスの変異種も今のところは、フランスでは見つかっていないとしていますが、見つけられていないだけで、すでにフランスにも上陸していることは、ほぼ確実です。

 これまでのコロナウィルスも変異種も、ノエルと年末年始の人の集まりを機にさらに拡散されるのです。とりあえず、イギリスからの入国禁止は48時間としていますが、48時間後は、どうするつもりなのか? 入国に際しては、検査を義務付けるのか?気になるところです。イギリスのPCR検査は、かなり費用がかかるそうで、ハードルはなかなか高そうです。

 次から次へと問題続出、前途多難な年末です。


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「フランスのPCR検査 感染者を責めないフランス人のラテン気質」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/09/pcr.html

 

イギリスからの入国禁止に踏み切るフランス コロナウィルス変異種警戒

 

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 フランス政府は20日、英国での新型コロナウイルス変異種による感染急拡大を受け、21日午前0時から48時間、英国からの入国を全て停止すると決定しました。ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、オーストリアなども同様の措置を取ることを発表しています。

 今後、欧州連合(EU)で共通の対応を検討していくことになっています。

 イギリスは、日曜日から、ロンドン、イギリス南東部をロックダウンしていますが、このロックダウンは、国内だけでなく、結果として、他のヨーロッパ諸国からのロックダウン状態に発展しています。

 このイギリスからの入国制限は、旅客、貨物双方、また、陸上、航空、海上、鉄道にわたり、全てに渡る制限で、人だけでなく、物流さえも滞る深刻な事態を引き起こしています。とりあえず、48時間の制限とはいえ、この変異種の出現をどれだけ、深刻に考えているのかがわかります。

 とはいえ、急な決定により、まさにイギリスから商品を輸送中だったトラックは、突如、高速道路で足止めを食い、道路の側道で40㎞にわたる待機状態、特に食料品などを輸送中だったトラックは、壊滅的な損害になります。

 2021年には、ブレグジット(Brexit)で、欧州離脱が決まっていたイギリスは、このコロナウィルス変異種による感染急拡大により、妙な形で、欧州からの離脱に突入しています。

 イギリス政府による発表によれば、この変異種はこれまでのコロナウィルスよりも70%伝染性が高く、致死率も高いと言われていることから、まだ、正体のはっきりしないこのウィルスの恐怖がイギリスを孤立させる状況を生んでいるのです。

 ヨーロッパ各国のイギリス・シャットダウンの対応は、この変異種をどれだけ脅威に感じているかということを物語っています。

 イギリスでは、さっそく、今回のロックダウンの措置に反対する人々は街中で警察と衝突する騒動に発展しています。

 この変異種は、コロナウイルスの「スパイク」のタンパク質に、N501Yと呼ばれる変異を持っています。これは、ウィルスの表面にあり、人間の細胞に付着して浸透することができます。

 ウイルスは変異(遺伝子配列のわずかな変化)するものであり、多かれ少なかれ頻繁に定期的に発生します。インフルエンザを引き起こすインフルエンザウイルスは、たとえばコロナウイルスよりもはるかに頻繁に変異することが知られています。しかし、それはすべての突然変異がウイルスの働きや人体で引き起こされる可能性のある症状を変えるという意味ではありません。

 ワクチンはある程度のウィルスが変化することを想定して作られているものですが、今のところ、この変異種に対して、ようやく開発されたワクチンの有効性を低下させるものではないとしています。しかし、それは、まだ証明されてはいません。事によっては、ワクチンの再開発が必要になり、また振り出しに戻るような事態にもなりかねません。

 フランスとイギリスは、ユーロスターで簡単に移動できることもあり、行き来する人も多く、ロンドンでも場所によっては、「えっ?ここフランス?」と思うような場所もあり、また、その逆に、パリなのに、「えっ?ここイギリス?」と思うような場所もあります。

 イギリスに広がり始めた新異種は、もうすでにフランスでも広がり始めている可能性も大きいのです。

 そんな非常に警戒すべき状態にありながら、パリのギャラリーラファイエットなどは、ノエルのデコレーションのショーウィンドーの前には、大変な人だかりができています。

 イギリスからの入国禁止だけでは、足りない状況なのです。

 今日、久しぶりにいつも服用している薬の処方箋をもらいに、お医者さんに行って、「第3波は、来ますか?」と聞いてみたら、何の迷いもなく、「もちろん来るわよ!ノエルで人が集まって、感染が拡大しないわけはないもの・・」と、言われました。

 当然、わかっていることながら、今さらながら、あまりにもあっさりと答えられて、私は、返す言葉がありませんでした。


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「フランスのコロナウィルスワクチン接種」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_9.html

「ヨーロッパ各国のコロナウィルス感染拡大への対応強化」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_29.html

 




 

2020年12月20日日曜日

ヨーロッパを再び襲い始めたコロナウィルス感染 イギリス再ロックダウンの波紋


 昨日、イギリスのボリス・ジョンソン首相がコロナウィルス感染が急激に悪化していることから、ロンドン、イギリス南東部を再ロックダウンすることを発表しました。

 クリスマスを目前に控えたこの発表にジョンソン首相は、厳しい面持ちで、「クリスマスを前にして、過酷な現実だが、国民を守るためには、他に選択の余地はない」と語りました。

 これにより、イギリスのこれらの地域への往復の旅行は禁止、生活必需以外の事業は閉鎖され、クリスマスを含め、他の世帯との接触は禁止、他の地域では、12月25日にのみ許可されます。

 このロックダウン宣言までは、23日から27日の間は、3世帯までは、集うことを許可していただけに、寸前になってのこの発表は、ショックもひとしおです。この突然の発表にロンドンを脱出しようとする人が続出したようです。

 これを受けて、スコットランドの首相ニコラ・スタージョンは、休暇中も含めて、スコットランドと英国の他の地域との間の旅行は禁止することを発表しました。

 世界でどこよりも早くワクチン接種を始め、コロナウィルスからの脱却への道を歩み始めたと思われたイギリスの急転直下のこの事態にヨーロッパ全体に衝撃が走っています。

 また、このロックダウン宣言では、感染の急激な悪化の原因は、コロナウィルスの「変異種」の出現によるものとしており、この変異種は、感染率も致死率も感染の速度も、これまでのコロナウィルスよりも高く、この変異種による感染がすでにこれまでに1,000件以上認められています。

 イギリスは、この「変異種」の検出については、すでにWHOに報告済みとしています。

 このニュースを受け、フランスでもこのコロナウィルスの「変異種」は、フランスにも感染が広がる可能性があるのか? 「変異種」はようやく接種が始めたワクチンが効かないのではないか? などと、物議を醸し始めました。

 とはいえ、フランスは、現在のところ、11月のロックダウンのおかげで感染が他のヨーロッパ諸国ほど急激には、悪化してはおらず、「フランスは、第2波の対応に成功している。イギリスや他のヨーロッパ諸国の感染悪化は、他の要因があるのではないか?」などと豪語している専門家もいます。

 相変わらず、自信たっぷりの様子に聞きながら、ヒヤヒヤします。

 ドイツの感染悪化も深刻ですが、すでに以前から、厳しい対策をとっており、イタリアなどの他のヨーロッパ諸国も続々と厳しい措置を取り始めています。

 オーストリアは、クリスマス直後からのロックダウンをすでに発表済みです。

 いずれにせよ、クリスマスを前にしたこの段階で、さらに厳しい措置を取らざるを得なくなっているヨーロッパの隣国が、結果的には、1月以降には、フランスと逆転する状況を生むのではないか?

 フランスは、このままノエルを迎えて、本当に大丈夫なのだろうか?と、日々、刻々と変化していく状況に心底、ノエルを楽しむ気分には、到底なれないのです。


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「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

2020年12月19日土曜日

ノエルのバカンスに突入したフランス 夜間外出禁止が裏目に出ている

                                             Vous pouvez programmer vos voyages en train en toute tranquillité jusqu'à la fin de l'année.


 いよいよノエルへのカウントダウンが始まり、学校もノエルのバカンスに入りました。ずっと続いてきた土曜日のデモもバカンス突入と同時にお休みに入るようで、久しぶりに土曜日のデモの予定が出ていません。こんなところは、フランス人のちゃっかりしたところです。

 デモと言えども、バカンス中はお休みなのです。

 今週末からノエルにかけてSNCF(フランス国鉄)は75万人の乗客が、空港では1日5万人の利用客が見込まれています。高速道路は200㎞の渋滞です。

 昨年のノエルの期間のSNCFの利用客は、85万人だったそうで、それでも10万人は移動を控えていることになりますが、今のフランスの状況で昨年比11%減のみというのは、どれだけ、歯止めが効かないのかがわかる気がします。

 このノエルを迎える時期に向けて、フランス政府は、一層、PCR検査を強化し、家族の集まりの前には、PCR検査を受けてから参加するように呼びかけています。

 しかし、ワクチンならばともかく、PCR検査でたとえ陰性であったとしても、すぐに次の瞬間には、感染している危険があるわけで、検査を受けたからといって、安心できるわけではありません。

 ロックダウンが解除になった街中は、レストラン・カフェなどが営業していないことを除けば、ノエルの準備のための買い物と見られる人が日々、増え、プレゼント用の買い物と見られる紙袋を下げた人がいっぱいで、食料品を扱うスーパーマーケットなども、なかなかの人混みになっています。

 倹約家のフランス人がお金を使うのは、バカンスとノエルです。この時期、危険ながらもロックダウンを解除すれば、少なからず、経済が回っているのは、街行く人の買い物の様子を見れば、一目瞭然です。

 マスクの仕方が雑になっているのも気になるところで、一応、マスクをしてはいるのですが、鼻と口からずらしたまま忘れているのか、顎マスクになっている人も少なくなく、中には、若い子たちが集団で騒ぎながら、メトロにマスクなしで乗ってきたり・・気が緩んでいる感じがありありです。

 コマーシャルセンターなどの入り口や街中、所々に設置されたアルコールジェルのマシーンも肝心のアルコールジェルが入っていなかったりすることに遭遇することが増えてきました。

 ノエルの家族での会食に際して、どうやって感染を回避したらいいか?ということをテレビでは、ひっきりなしに語っていますが、実際のところは、やはり国民の感染回避に対する意識は低いと思わざるを得ないことが多いのです。

 その一つは、ノエル前にも関わらず、そして夜間外出禁止令が裏目に出て、家でのパーティーが増えています。これは、充分に想像していたことですが、想像以上です。

 気軽に、何のためらいもなく、「家でアペロしない?」などという誘いがフランス人の、特に若い人の間で行き交っています。

 レストランやバーなどは、営業しておらず、夜間外出禁止さえ守ればいいだろと言わんばかり。そこそこの時間に帰ることもできずに、逆にアペロが夜通し続くことになります。これは、最悪です。

 この一年のほとんどを、ロックダウン、ロックダウン解除を繰り返してきたフランス人がこれまでの鬱憤をノエルで一気に爆発させることは間違いありません。これまで頑張ってきたのだから、ノエルくらいは良いだろうと思うのもわからないではありませんが、このノエルがこの一年で一番危険なシチュエーションであることは言うまでもありません。

 室内、会食、気温の低下と久しぶりの家族との再開という気の緩み。感染悪化の全ての条件が揃っています。

 フランスの新規感染者数は、先々週は、1日平均1万1千人であったところが、先週は、すでに1万3千人に増加しています。

 オーストリアでは、すでにノエル後には、再度、厳格なロックダウンに入ることを今から発表しています。フランスは、発表するまでもなく、限りなくその可能性が高いのですが、今からノエル後のロックダウンを発表などしたら、ノエルでのハメの外し方がさらに加速するかもしれません。

 どちらにしても、これから年末年始、そして1月・2月とさらに気温も下り、本格的な冬に突入して、ウィルスがさらに活発になります。

 どう考えても、フランスの第3波は、もうすぐそこまで来ています。


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「フランス人の金銭感覚 フランス人は、何にお金を使うのか?」

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2020年12月18日金曜日

マクロン大統領コロナウィルス感染

                                                                                                                                   


 

 「マクロン大統領がコロナウィルス陽性」まさかの衝撃的なニュースが流れたのは、17日の午前10時半頃でした。

 フランスは、ロックダウンが解除され、バカンス前の学校2日間は、学校に行かずに、感染回避をしましょうなど、ノエルに向けてのコロナウィルス感染への警戒が盛んに呼びかられ始めたばかりの出来事にフランス中が大騒ぎになりました。

 国民も驚きましたが、誰よりも驚いたのは、きっとご本人に違いありません。

 マクロン大統領は、16日の夜に、咳、鼻水、極度のだるさ、身体の痛みなどのコロナウィルスの症状と思われる兆候が現れたために、翌日朝に、PCR検査を実施、結果、コロナウィルス陽性と診断されました。

 コロナ禍中、忙しく動き回っているマクロン大統領が一週間以内に接触した人の数は、計り知れないず、接触人物をリストアップするだけでも、大変なことです。

 日本でも菅首相の夜の会食が問題になっていましたが、マクロン大統領も15日に、エリゼ宮で12人と昼食会議を行っていることが取り上げられています。

 ノエルの会食には、1テーブル6人以内に抑えましょうと言っているのに、12人・・・しかし、一般家庭とは違って、エリゼ宮の食事は、テーブルの大きさも桁違い、隣の人との距離も充分に離れており、部屋の天井も4〜5メートル以上はある空間で、一般的なケースとは、比較にはなりません。

 (ちなみに、関係ないけど、この日のエリゼ宮の昼食のメニューはポトフとシュークリームでした)

 とはいえ、この時期に、昼食を取りながら、会議をする必要があるのかどうか?という点については、疑問は残りますが、政府はあくまでも、充分な衛生管理が取られた上での昼食会議や夕食会議は、国で許可されているものであるとしています。

 また、それを正当化するためなのか? マクロン大統領のコロナウィルス感染に関して、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「マクロン大統領は、エリゼ宮での食事会ではなく、恐らく、数日前(10日)にベルギー・ブリュッセルで開催された欧州評議会で感染したと思われる」と発言しています。

 実際のところ、彼がどこで感染したのかは、わかりませんが、とりあえず、彼が仕事を共にしている政府要人の多くは、1週間の隔離が必要となりました。

 中には、症状がなく、接触したものの感染の危険は考えられないとして隔離を拒否している人もいるようですが、とりあえず、カステックス首相は、1週間の隔離、リモートワークに切り替える宣言をしています。

 また、彼の妻もPCR検査の結果が陰性でしたが、1週間は隔離生活を送ります。

 マクロン大統領は、これまでコロナウィルスに感染した国家のトップであるアメリカのトランプ大統領やイギリスのボリス・ジョンソン首相、ブラジルのボルソナロ大統領のように敢えてマスクをせずにいたわけでもなく、感染には、一般人以上に気遣っていたはずです。

 彼はペンの一本一本までもきれいに消毒していたそうなのです。

 そんな彼が感染したことは、「リスクはどこにでもある」という警鐘を鳴らしたことになります。

 マクロン大統領は、1週間、ベルサイユ近くのラランテルンの大統領官邸で隔離生活を送りながら、リモートで仕事を継続する予定になっています。

 同日の夕刻には、国民の不安を払拭するために、マクロン大統領は、リモートで珍しく紺のハイネックにマスク姿でテレビ出演し、自分がコロナウィルスに感染したこと、1週間の隔離生活をしながら、リモートで仕事を継続することを発表しました。

 彼の症状が悪化することがなければ、1週間後には、ちょうどノエルを迎えます。

 彼のコロナウィルス感染が、感染のリスクとしてフランス国民に少しでも響いてくれれば、こんなに大きな警告はないと思います。

 彼が感染していても症状がなかった人から感染したことは明白です。なんといっても国家のトップとしては、群を抜いて若い42歳の大統領。

 翌日には、Twitterの映像を通して、自分の病状を毎日、報告することを約束し、国民にメッセージを送っていましたが、その姿は、いつもはエネルギッシュな彼とは違うものでした。感染して症状もあるのですから当然ですが・・

 早く順調に回復して、これから恐らく第3波を迎えるフランスのために頑張って欲しいと思っています。


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「フランスのロックダウン緩和へのステップ マクロン大統領の会見」

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2020年12月17日木曜日

パリから車も人も消えていく パリ絶対伝説の崩壊!?

 


 ロックダウンが解除された代わりに、フランスに戻ってきた夜間外出禁止令。夜20時から朝6時までは、外出禁止になりました。取り締まりもあり、罰金(135ユーロ)付きということもあって、今のところ、夜になると街はシンと静まりかえっています。

 ノエルを控えているということもあるのか、予想以上に皆、この夜間外出禁止の規則を守っているようです。(といっても、まだ2〜3日しか経っていませんが・・)

 むしろ、外出証明書さえあれば、外出できたロックダウン中の方が夜も人がいたような気がするのは、皮肉なことです。

 いつもなら、ノエル前の人出は、相当なものですが、静まりかえって、車さえ、まばらな、イルミネーションだけが輝く夜のシャンゼリゼなどを見ると、やたらと美しいだけに、かえって今年の異常さを改めて感じます。

 3月のロックダウンの時に、家のアパートの駐車場が空っぽになったのには、驚きましたが、(多くの人がロックダウン中をセカンドハウスや故郷の両親の家で過ごしていました)一度目のロックダウンが解除になった5月になっても、車は、あまり戻ってきませんでした。

 私とて、そんなに頻繁に駐車場のチェックをしているわけではないので、詳しい出入りはわかりませんが、一度は、パリに戻ったものの、再び、バカンスに出てしまったのかと思っていました。

 ところが、バカンスが終わっても、車はやっぱり戻ってきませんでした。現在、駐車場のスペースは、半分も埋まっていません。

 うちの駐車場を見る限り、コロナウィルス感染が始まって以来、車を手放したと思われる人がかなりいます。経済危機はもちろんのこと、こう度々、ロックダウンや外出制限があっては、使わない車のための維持費(税金・保険料・駐車場料金・燃料費)もバカにならないのでしょう。

 倹約家のフランス人、当面は、車はあまり使えないとなれば、早々に車を手放すことを考えるのもわからないでもありません。

 もともと、我が家は、大きなコマーシャルセンターがすぐ近くにあるため、買い物などにも車は必要なく、小さい子供がいるわけでもなく、とっくの昔に車を手放しています。車がどうしても必要な時は、レンタカーかタクシーを使います。最近は、結構な距離でも、もっぱら自転車です。

 パリからは、車が減るだけでなく、住居や事務所も移転する人も 増えています。

 仕事がリモートワークが中心になり、これまで首都にいることが必須であった人たちも、リモートで仕事が済ませられることが定着し始めたこともあり、TGVで1〜2時間以内でパリを行き来できる範囲内に移転すれば、家賃が半分以下で、もっと広くて快適な暮らしができる庭付きの物件などに乗り換え始めているのです。

 以前、メトロの駅の広告で、パリの不動産物件を扱うポスターに、「買うなら、パリのアパートに限る!そこは、パリであり、値段は決して下がることはない・・」というようなコピーのポスターを見かけて、「さすがのスゴい、パリのプライドに満ち溢れた余裕のコピーだ・・」と思った記憶があります。

 コロナ禍の今、神話に近いパリ絶対伝説は壊れようとしています。そもそも、フランス人にとって、パリは憧れの地であると同時に嫌われ者でもある場所。ましてやこの経済危機にやたらと高い家賃に狭い空間のアパートに見切りをつける人が増えているのです。

 来年には、ワクチンも広まり始めるようですが、本格的に経済が復興するのは、まだまだ先のこと、収入が減ったり、失くなったりする人が増える中、パリの家賃や車の維持は重くのしかかっているのです。

 フランス政府は、自動車業界支援のために、新車購入のための特別控除・援助などを行っていますが、一般市民にとっては、新車購入どころか、アパートの家賃や車の維持費に頭を抱えている人の方が多いのです。

 今のところ、2024年パリで開催予定のオリンピックの話題は、全く上がっておらず、それどころではない状況のフランスですが、パリに人が戻ってくるかもしれないとしたら、そんなタイミングなのかもしれません。


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「パリはフランス人に嫌われている」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_9.html


2020年12月16日水曜日

ロックダウン解除初日のフランス バカンス前の二日間は学校を休んでもいい


 


       

 フランスは、ロックダウン解除の第2段階に入りました。今朝、買い物に出かけようとして、思わず、携帯を手に取り、外出証明書をダウンロードしかけて、「ああ〜今日から、いらないんだった・・」と出かける時も何か忘れものをしているような、心許ない気分になりました。

 習慣というものは、恐ろしいものです。まあ、楽な方にはすぐに慣れますが・・。

 外出が自由になった代わりに、夜の外出禁止(夜20時までに家に帰らなければなりません)が義務付けられるようになりました。個人的には、夜は出歩かないので、関係ないのですが、20時以降も営業していた店舗にとっては、痛手になります。

 逆にロックダウン中には、時間帯の制限はなかったので、外出証明書さえあれば、夜も買い物に行けたわけで、お店は夜の時間帯も営業できていたのです。


20時閉店と朝8時から営業のお知らせ

 そんな状況を受けて、カーフールなどは、20時に閉店する代わりに、朝の8時から、時間を前倒しにして、営業するというフランスらしからぬ措置に出ています。

 これもひとえにノエルのなせる技、フランスが、寸暇を惜しんで営業するなど、通常ではあり得ないことです。

 ノエルがもうすぐそこまで近付いてきて、今週末からフランスの学校はノエルのバカンスに入りますが、ここへ来て、フランスの文部省は、ノエルを家族と過ごすために(祖父母と過ごすために)、ノエルのバカンスの2日前からは、学校を休んでもいいという通達を出しました。

 これは、「24日のクリスマスイブからちょうど一週間前から、自主隔離をして感染を防ぎましょう!」ということです。

 これは、あまりに急な通達で、ただでさえ、遅れている授業がさらに遅れることや、子供を学校に行かせないとなると、親も仕事に行けなくなるわけで、ノエルから年末にかけては、すでに、休みの予定にしている人が多い中、スケジュール調整は大人にとっても簡単ではありません。

 中には、学校側の衛生管理を信頼してもらっていないと怒り出す学校関係者などもいるのがフランスらしいところで、終いには、「これは、個人の判断で!この二日間は、学校を休む権利があるということです!」などと、若干キレ気味の対応。

 この二日間の学校を休みにする対策は、急なこともあり、混乱の元を増やしたような印象です。

 ここ数ヶ月で、○○日からロックダウン、これは、営業許可、これは禁止、それに加えて、時間の制限なども加わり、ただでさえ、規則を守ることが苦手なフランス人にとって、あまり細い規則の提示は逆効果になりかねません。

 しかも、半端な自己規制を行ったことで、家族と過ごすノエルの日、当日に気が緩む要因にもなりかねません。

 ロックダウン解除の初日、ノエルの犠牲になって、ロックダウンが解除にならなかった劇場、映画館関係者は、同日、オペラ・バスティーユに集まり、デモが行われました。

 移動制限が解除されたことから、TGV(新幹線)も通常運転に復活し、乗車率は、70%程度で、さっそくにスキーを担いで移動する人も見かけられ、(フランス国内はスキーはできないはずなのに・・)23日には、国内大移動のピークを迎えることが見込まれています。

 11月初旬のフランス国会で、「今後のスケジュールは、すべてのフランス人がクリスマスを家族と過ごすことができるように調整しなければならない」という野党の意見が大多数だったことに仰天していましたが、結果的には、全てノエルを照準に当てたスケジュールになっているフランス、間際になって、学校を二日間休みにするという付け焼き刃的な措置もまた、間違いなく、ノエルファーストなフランスの、それでも不安を隠しきれないジタバタした様子が浮き彫りになっています。


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「フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」」

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2020年12月15日火曜日

フランス税務当局、カルロス・ゴーンに追徴課税金と財産差し押さえ

  



 思い起こせば、2020年の年明けは、カルロス・ゴーンの日本からの逃亡劇から始まりました。シャンゼリゼのカウントダウンの様子をテレビで見ていた時に、カルロス・ゴーン逃亡のニュースが流れ始めたのです。

 それからしばらくして、年明け早々、カルロス・ゴーンがレバノンに世界中の記者を集めて、会見を開き、彼自身の行動の弁明と正当性を訴えました。

 しかし、間もなくして、世界は、コロナ禍に飲み込まれ、カルロス・ゴーンどころではなくなりました。

 日産とルノーにまたがる彼の事件は、日本とフランスの両国での追跡で、両国の対応の仕方を見比べられる意味でも、興味深い事件でもありました。

 カルロス・ゴーンの逃亡先のレバノンでは、今年の8月初めに比類のない湾岸倉庫の爆発事件が起こり、30万人が住む家を失ったことから、国民の45%が貧窮生活を送る経済危機状態にあります。

 レバノンは、一部の特権階級が支配する腐敗した政権に反発する動きが高まり、レバノンと関係の深いフランスは、翌日には、マクロン大統領が現地に赴きました。

 フランスでは、経済危機、混乱状態にあるレバノンに所有しているカルロス・ゴーンの資産価値が1億2千万ドルから7千万ドルに目減りしたなどと報道されていましたが、(彼は、レバノン北部にあるワイン畑の40%を保有しているほか、スキーリゾートやレバノン市内に広大な土地を所有しています)コロナウィルスを初め、次から次へと起こる事件に彼の存在も埋もれているかに思われていました。

 しかし、ここへ来て、フランス紙リベラシオンがフランスの税務当局が追徴課税金として、カルロス・ゴーン夫妻の資産、約1300万ユーロ(約16億4000万円)を差し押さえたことを報じています。

 彼は、税法上の住居を2012年にオランダに移していますが、これは、税金回避のためのもので、日本とフランスを行き来していた彼の生活の本拠はフランスにあったとフランスの税務当局が判断したものです。

 彼は、彼の収入に対しての税金は、オランダで支払っていることになっていますが、フランスの税務当局は、この動きは架空のものであると考えているようです。

 逃亡後、彼がレバノンで行った記者会見の際に、フランスの記者からの、「フランス政府に期待することはありますか?」との質問に、「全くありません」と即答していたカルロス・ゴーンですが、まさかのフランスでの資産差し押さえに、フランスも彼を容赦しない態度が公になったことになります。

 私のささやかな日常生活でも、日頃から、公的機関が円滑に回らず、トラブルの多いフランスですが、なぜか税務署だけはキッチリしていて、「ちゃんとできるところもあるんだ・・」と感心しているのです。

 この際、日本の分の恨みも募って、カルロス・ゴーンからも、キッチリと取り返すものは取り返して欲しい、「頑張れ!フランス!」という気持ちになっています。

 それでも、あれほどのことをしてきた彼が、あっさり引き下がるわけはなく、今日から、カルロス・ゴーンは1月18日に開かれる予定の公聴会の準備に入るようです。

 それにしても、世界各地に分散されている彼の資産や、あの有名なベルサイユ宮殿での結婚披露パーティーを見るにつけ、彼の強欲さと、ここまでして、一体、何が欲しいのか?と嘘だらけの人生を必死に生きている彼を虚しく感じるのです。


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「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

「100年に一度くらいのことが立て続けに起こる年 レバノンでの湾岸倉庫爆発事件」










2020年12月14日月曜日

他国の感染悪化を余裕で語るフランスに唖然とする

 


 フランスでは、ドイツをはじめとする他国の感染悪化の様子を盛んに伝えています。

 特に、ドイツは、これまでにない感染悪化から、13日、メルケル首相が会見を行い、1月10日までの「学校の閉鎖、生活必需品以外の店舗の営業停止 」のロックダウン(部分的)を発表しました。

 メルケル首相の会見からもいつになく、必死な感じが伝わってきます。このクリスマスの前の時期に学校やお店を閉めざるを得ないことは、大変な決断です。

 これまでドイツは、ヨーロッパ全体がコロナウィルス感染が拡大し、苦しんできた中、強固な医療体制と、先んじたテストや隔離の実施から、感染が広まりつつも、常にフランスなどよりは、遥かに余裕の優等生の状況で、フランスからの患者も多く受け入れてくださり、助けの手を差し伸べてくれていました。

 ここへ来て、ドイツは11日には一日の新規感染者数が2万9千人を超え、死者数も598人に上り、これまでにない第1波以上の感染の拡がりを見せています。

 スイスでも、第1波の際には、一日の感染者が数百件であったにも関わらず、現在は、5,000件を超える勢いになっています。ほんの少し前までは、スイスでは、このノエルのバカンスにリゾートで食事もリゾートも楽しむと豪語していたばかり・・バーゼル、ベルン、チューリッヒ、ローザンヌ、ジュネーブの5つの大学病院は、厚生大臣に向けて、病院の逼迫状態から、感染拡大を警告する書面を提出しています。

 また、スウェーデンのストックホルムでは、病床の占拠率が99%にまで達し、集中治療室の飽和状態が起こっています。

 フランスのニュースでは、これらの国々に加えて、日本まで例にあげて、一日の新規感染者数が3千人に迫る勢いで第3波が加速している様子を伝えています。

 フランスの新規感染者数は、ここのところ、1万2千人前後、決して良い状態ではないにも関わらず、なにせ、一時は、6万9千人まで上昇した時期があったばかりに、現在の状況を甘く考えているような気がしてなりません。

 これから、ロックダウンに入るというドイツも、フランスが2回目のロックダウンに突入した時(新規感染者数6万9千人)ほど状況が悪化しているわけではありません。

 たしかに現在のドイツの状況は深刻な状態ですが、かといってフランスの状況が改善しているわけではありません。ドイツやスイス、スウェーデンなどの状況を見ると、第2波は第1波の状況を上回っているのです。

 ましてや15日から、ロックダウン解除に向けて動き出すフランスは、次の波を迎えれば、一層深刻な状況を迎える可能性大な、危険極まりない状況なのです。

 そんな中、ノエルが近づき、ロックダウン解除を控えて、気も緩んでいるのか、一昨日は、マルセイユで500人を超える人が集まるパーティー、(マスクなしの上に大量の麻薬まで押収された)ロワール沿いのナント、ストラスブールでは、100人超えのパーティーが警察の介入により、解散させられたという事件が起こっています。

 第2回のロックダウン開始以来、私は、一度も外出制限の巡回を見かけたことはなかったのですが、実に290万件以上のチェックが行われており、そのうち違反として罰金を課せられたのは、28万5千件以上にのぼるとの報告が上がっています。

 これだけのパーティーやあれだけのデモが毎週のように行われている中、この数字が多いのか少ないのか、もはやよくわかりません。

 隣国の感染悪化に加えて、日本の新規感染者が3千人に迫る勢いで第3波を迎えているなどと伝えていることに私は、唖然とするのです。もし、今、フランスで1日の新規感染者数が3千人まで下がれば、あたかもコロナウィルスは消えたかの如くの扱いになることでしょう。

 自画自賛が得意なフランスは、第2回目のロックダウンをよく乗り切った、自分たちは、うまくやってきたと、現在、余裕をこいて、他国の感染悪化を伝えていますが、これから年末年始にかけてのフランスのロックダウン解除による結果は、火を見るよりも明らかなのです。

 他国の感染拡大に関する、どこか上から目線の報道に、「お前ら、余裕こいてる場合かよ!?」と、ため息が出るのです。


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「コロナウィルス第2波 制限を緩和していくフランスと手綱を緩めないドイツ」

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「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」

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2020年12月13日日曜日

驚異的な数の警察・治安部隊を配置してでもデモをする権利を守るフランス

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 金曜日の夜に、翌日のデモを知らせる通知が来て、「またか・・まだやるのか・・」とうんざりしていました。先週、先々週と続いて、パリ市内のデモは暴徒化し(デモ自体が暴徒化したというよりも、デモに乗じて暴れる集団・ブラックブロックの犯行)、多くのものが燃やされたり、破壊され、街がめちゃくちゃにされたからです。

 この前歴があるにも関わらず、まだ、デモを許可するのか?とちょっと呆れた気持ちになったのです。

 ところが、今回のデモには、一般の警察、憲兵隊だけではなく、先週までの3倍近い数のBRAV(Brigades de répression des actions violentes)(暴力行動抑止団)やCRS(Compagnies républicaines de sécurité)が動員されていました。

 デモの際に、これほどの驚異的な数の治安部隊が登場することは、珍しいことで、デモ開始時のシャトレ近辺の街路は、ギッシリと治安部隊でガードされていました。

 これらの治安部隊は、ポイントごとに武器が行列に持ち込まれることを防ぐために、デモ参加者の持ち物チェックを実施し、DIYツールなどの武器になりうる持ち物が多数、押収されました。

 結果、デモ開始後、1時間以内には、すでに81人が逮捕され、午後7時には、合計142人が逮捕されました。

 それでも、いくつかの暴力行為に走る人と治安部隊との間に衝突が起こり、放水車などが出動したりしていますが、先週までのような街が破壊されるような事態には、発展しませんでした。

 最終的にデモ隊の行列は、治安部隊にガードされる形で進み、最終目的地に辿り着いた時には、警察車両のブルーの回転灯がレピュブリック広場を囲む異様な光景になりました。

 今のフランスは、そこまでしないと暴力を抑えられないことも、深刻ですが、ここまでしてでもデモをする権利を守ろうとすることにも驚かされます。

 一日の終わりのニュースでは、デモ隊が訴えている内容ではなく、「今日のデモは、警察の勝利で終わりました」と報道していることに、勝ち負け? 何と戦っているのだろうか?と、ちょっと微妙な気持ちになりました。

 しかし、とりあえずは、今回は、警察、治安部隊の作戦勝ちのような形、まだまだノエルのバカンスに入るまでには、土曜日がもう一回あるので、この戦い?は、続くと思われます。

 デモは、パリだけでなく、リール、モンペリエ、ボルドー、ディジョン、リヨンなどフランス全土で起こっています。今回のパリの厳重な警戒により、このブラックブロックの集団が主な標的をパリ以外の都市に変更することも充分に考えられます。大規模な治安部隊を全国規模に拡大する必要が出てくるかもしれません。

 それにしても、そこまでしてでも物申す権利を守るフランスにもなかなか底知れぬものを感じるのです。


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「フランス人のプライド」

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「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

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2020年12月12日土曜日

ノエルに向けて治安の悪化するパリ

 

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  常日頃から、決して治安が良いとは言い難いパリも、ノエルが近づく頃になると、一段と治安が悪くなります。

 先日は、パリ6区のブルバード・サンジェルマンの高級衣料品店(モンクレール)に黒づくめの11人の男がお店になだれ込むように入店したと思ったら、大量の商品を持ち去るという強奪事件が起こりました。

 防犯カメラに映った犯行の様子は、万引きというには、あまりに堂々としていて、暴力などは、一切なかったのですが、大人数の黒づくめの集団に店員も圧倒された様子で、いささかの抵抗もしておらず、なだれ込んだ人々が商品を持ち去るのを遠巻きに眺めている様子が残されていました。

 一般的に高級店は、セキュリティーがキツいのですが、店員は、このような事件が起こった場合は、「犯人を捕まえようとしたり、抵抗したりはしない、犯人には接触しない」という教育がなされています。これもまた、フランスらしいところですが、「それは、セキュリティの仕事であり、店員の仕事ではない」ということです。安全性の面からも、これはあながち間違いでもないかもしれません。

 お店の方も当然、商品には、保険がかけてありますから、無駄な抵抗をして、暴力を振るわれたりするよりは、良いかもしれません。しかし、売れるはずの商品が失くなってしまうのですから、1カ月間、ロックダウンのために営業できなかったお店にとっては、ようやく営業再開したところにこの被害は、大きな痛手には違いありません。

 白昼堂々の犯行ながら、犯人は捕まっていません。まことに物騒なことで、こんなことが横行しては、たまったものではありません。今は、皆がマスクをしているために、このような人が街にいても目立ちにくいのかもしれません。

*犯行の様子

https://twitter.com/BFMTV/status/1337477830209376259


 年末の治安の悪さも、身近なところでは、郵便物の紛失、盗難が多くなり、日本からの荷物は特に狙われます。日本の郵便局では、「こちらの方が安全ですよ!」と勧められるらしいクロノポストは、フランスで一番、盗難に遭う可能性が高いのです。

 クロノポストの小包は、配送状況の追跡ができるようになっていますが、いざ、追跡をしてみると、届いていないのに配送済みなどとなっていることも少なくありません。配送済みとされてしまえば、それ以上、追跡の仕様がありません。

 また、知人がこちらから日本へ送った荷物がいつまでも届かないので、おかしいと思っていたら、郵便局の窓口の女性が素知らぬ顔をして、彼女が送ったはずのマフラーをしていたのを見つけ、(限定商品であったために、同じものが出回っていないことから発覚)大騒ぎになったこともありました。

 スリ、置き引き、強奪なども、この時期になると、一段と多くなります。この手の?仕事をしている人もノエルに向けて、お金が必要な時でもあり、12月は、犯罪者にとっては、かき入れ時です。今年は、観光客がほとんどパリにはおらず、例年に比べると、街にもずっと少ないので、スリも随分と収入が少ないかもしれません。

 また、空き巣の被害も少なくありません。空き巣は、定期的に巡回を行っており、留守にしている家のポストなどには、(バカンスで長期間、家を空ける家庭も多いため)留守であることを確認した印として、小さなテープが印に張られていたりします。

 フランスの空き巣は、かなり大掛かりなものも多く、家の中身をごっそりと引っ越しのように持っていかれてしまうこともあり、家に帰ると家の中がからっぽだった・・などという話も聞きます。金目のものを狙うのではなく、かなりダイナミックです。

 自転車の盗難の様子などを見ていると、頑丈な鍵で繋がれた部分だけを残して、タイヤからサドルまで盗まれて、無惨に鍵で繋がれた部分だけが残っている様子を見ると、こんなものまで盗んでどうするの?と思うようなものも、何から何まで持ち去る空き巣がいることも頷ける気がします。

 コロナウィルスだけでなく、犯罪も蔓延するパリ、無事に生活できていることが奇跡のような気さえしてきます。


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「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」

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2020年12月11日金曜日

やっぱりノエルが最優先のフランス 12月15日以降のロックダウン解除の方法

  


 結局のところ、フランスのノエルは死守されることになりました。「死守」という言葉を使うにあたって、意味を確認したら、「命がけで守ること」だそうです。

 まさに今年のノエルは、命がけです。それでもフランスは、「ノエルを家族と過ごす権利」を最優先した決断を下しました。

 15日からのロックダウン解除は、前回の段階的なロックダウン解除の発表よりも、若干、制限が厳しくなり、21時以降の外出禁止が20時に前倒しになり、12月31日の大晦日もこの夜間外出禁止令が敷かれることになりました。(ノエルの夜間外出禁止の制限はありません)

 そして営業が再開されるはずだった劇場、映画館、美術館等の営業再開は、少なくとも3週間延期になりました。

 これは、ロックダウン解除の条件にあげていた1日の新規感染者数が5000を下回っていた場合という条件をクリアすることができなかったためで、先週は、1日の新規感染者数の平均は、11,000程度で、大幅に目標数値を上回っているためです。

 ロックダウン解除の制限が厳しくなったのは当然の結果ですが、とりあえずは、「ノエルを迎える権利」さえ守っておけば、大多数のフランス人は、納得するわけで、来週からのノエルに向けてのフランス国内の人々の大移動が始まります。

 来週からは、さらにPCR検査数を拡大し、より多くの人に検査を受けるように呼びかけています。

 映画館、劇場関係者等は、この結果は、概ね予想されていたものの、「これまでに映画館、劇場でクラスターは一度も起こっていないのに、理解できない」と憤りを露わにしています。

 コロナウィルスの感染リスクだけを考えるならば、皆がマスクを着用し、おとなしく黙って鑑賞する映画館、劇場は、ノエルのための国内大移動や家族が集まっての会食に比べたら、感染拡大のリスクはよほど小さいはずなのです。

 にもかかわらず、ノエルを最優先するフランスです。これまでもフランス人にとってのノエルは、大事なものだということは、わかっていましたが、これほどまでに優先されるということには、あらためて、驚かされています。

 フランスでは、お正月よりもノエルの方が比重が大きく、年末年始のお休みも元旦1日だけで、1月2日からは、しれ〜っと仕事が始まります。日本でいうお正月をノエルに置き換えてみても、例えば、日本には、喪中の年は、お正月を祝わない習慣がありますが、フランスには、喪中という観念はありません。

 もしも、喪中という習慣があれば、少なくとも5万人以上が亡くなっているフランスです。どれだけの家庭がノエルで集まらなくなるのだろうか?などとも思ってしまいます。

 感染拡大を考えれば、明らかにノエルを禁止する方が有効でもあるにもかかわらず、ノエルを禁止することはできないことから、せめて映画館、劇場、美術館の営業再開はストップしておこうというところでしょう。

 映画館・劇場・美術館は、ノエルの犠牲となりました。

 また、ノエルの会食に際しては、6人以内が好ましいとしていますが、この6人には、子供はカウントしないことになっており、6人の大人プラス子供となれば、結構な人数になります。人数制限があることから、家族の集まりを数回に分けて行う予定にしているという家庭もあります。

 とはいえ、大晦日の夜間外出が禁止になったことで、ノエルで感染した人がさらに別のコミュニティで集まり、さらに感染を拡大させるリスクは少し減りました。とはいえ、外出さえしなければ良いのですから、8時までに集まって、家でパーティーをして、翌朝帰るということになるのでしょう。

 結局、ノエルを止められない甘々なロックダウン解除となりましたが、そんな弱くて緩いところもフランス人の人間らしさを感じられるところでもあるような、私の中にもそんな気持ちがどこかにあることも否定できません。あまりにキッチリしすぎることが苦しく感じ、緩い中で自分がきっちりするくらいが生きやすいような気もしているのです。

 とりあえず、15日からは、外出証明書もいらなくなり、3時間以内という時間制限も20km以内という距離の制限もなく、自由に出かけられるようになることには、煩わしさがなくなり、少しホッとしています。


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「フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」」

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2020年12月10日木曜日

リサイクルショップ・エマウスがノエル前に繁盛しているフランスの一面

 


 今日、買い物に行ったら、意外にも繁盛しているお店があってビックリしました。

 それは、エマウス(Emmaus France)というリサイクルショップでした。フランス人は、車などは、中古車の方が売れているくらい、中古品にあまり抵抗がないこともあり、また、蚤の市なども、盛んな文化的な背景もあり、時には、掘り出し物があったりもするので、この手のお店は、珍しくはありません。

 エマウスは、フランスでは有名なリサイクルショップで、その商品は、全て寄付された日用品、衣料品、装飾品から食器類、書籍、玩具、家具に至るまで広範囲のものを扱っています。売り上げは、全て生活困窮者に向けての寄付にまわされ、そこで働く人々も社会的弱者の社会復帰を目的としています。 

 寄付された衣料品などは、選別され、全てきれいにクリーニングされています。


季節柄クリスマスの飾りなども

             

   


 私も家の中を片付けて、不用品が出ると、このエマウスに寄付しています。家具などの大きなものに関しては、頼めば、取りにも来てくれます。

 リサイクルショップで不要なものを寄付という形で処分できる、また、買い物すれば、その分は、社会的弱者への寄付になる・・そんなシステムがフランスには、定着しています。もちろん、リサイクル品なので、値段も安いので、倹約家のフランス人には、人気があるのかもしれませんが、それが、寄付にまわるということが、彼らのハートを一段と満足させるのです。

 個人主義で利己的で身勝手なことを主張するイメージのあるフランス人ですが、意外にもフランス人は、困っている人には、とても親切な一面があります。弱い立場の人には、特に親切で、寄付をするということが日本よりも身近な行為であるような気がします。

 このエマウスというシステムは、倹約家でありながら、寄付ができるというフランスらしいシステムなのです。

 そんなリサイクルショップがこのノエル前の買い物をする時期に結構、繁盛しているところは、なかなかフランスの好ましいところでもあります。

 年末になると、土曜日などは、スーパーマーケットの前には、ビニール袋を持った人がいて、「生活に困っている人のために、何か買ったものを入れて寄付してください」という団体がいて、出口には、寄付される食料品を回収する人が待機していたりします。意外と品物は集まっています。

 

こんなものを買って寄付してくださいというポスター

 日頃は、やたらと権利を主張し、勝手だなぁと思うことも多いフランス人ですが、こんな一面があるから、どこか憎めない気もするのです。

 



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「フランス人はロックダウンでも着々とノエルの準備をしている」

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「メルカリとルボンカン(フランス版メルカリ)に見る、やたら礼儀正しい日本人とめんどくさいフランス人」

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「ロックダウン解除後のフランス版メルカリサイトの人気商品」
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2020年12月9日水曜日

フランスのコロナウィルスワクチン接種



 

 イギリスでヨーロッパ最初のコロナウィルスのワクチン接種が行われ始めたことで、フランスのワクチン接種はどうなるのかが注目されています。

 フランスでのコロナウィルスワクチン接種に対しては、政府は、15億ユーロ(約1900億円)を投じて、国民健康保険加入者には、全額無料、しかし、強制ではなく、希望者のみに行うとしています。

 フランスは、検査も無料なら、ワクチンも無料、そんなところは、とても助かります。

 ワクチン接種は、12月29日から、高齢者を優先に、まず高齢者施設の入居者100万人を中心に開始されます。その後、2月を目処に心臓疾患や糖尿病などのリスクの高い人1400万人への接種が開始され、一般の人に浸透していくのは、2021年春頃と、3段階にワクチン接種を進めていく予定にしています。

 ところが、世論調査によると、ワクチンを接種すると言っている人は、フランス人の53%のみ(ワクチン接種をしないと言っている人が61%)で、他国(日本69%、アメリカ64%、イギリス79%)と比べても、かなり低い数字です。

 フランスが使用するとされているファイザー社やビオンテック社のワクチンに関しては、このワクチンの元になっているRNA(遺伝物質)が非常に壊れやすいために、マイナス80℃での保管が必要で、解凍してから5日以内に投与できるようにする必要があり、その保管体制等にも厳重な管理が必要で、フランスにそれがきっちりとできるかと思うと、私自身も疑心暗鬼になってしまいます。(基本的に信用していない)

 フランスでは、一般の?ワクチンなどに関しては、処方箋をもらって、自分で薬局にワクチンを買いに行き、それを持って注射してもらいに行くという方法が取られていますが、コロナウィルスワクチンに関しては、保管の問題もあり、特定の病院などが、ワクチン接種に指定されるものと思われます。

 フランス人が容易に新しいものを受け入れないのは、国民的な気質でもあります。

 ましてや、コロナウィルスが登場してから、僅か1年足らずで開発されたワクチンです。その効果は、95%と発表はされていますが、副作用などに関しても、まだ、はっきりと明らかになってはいません。

 このワクチンは、RNAという遺伝物質を人工合成して作られているワクチンで、体内の細胞を抗ウィルス薬を製造する細胞として利用するというものです。

 このパンデミックの勢いで、すがるような気持ちで多くの国がワクチン獲得に躍起になっていますが、この後、ワクチンによる事故が起こらないとも限りません。

 以前、母が「薬を飲むなら、昔からある薬にしておけば、リスクは少ないわよ・・なぜなら、もう長い年月を経て、人体実験が行われてきたのだから・・」と言っていたことを思い出しています。一番、感染リスクの大きい高齢者を優先にワクチンの接種を行うのもわかりますが、ワクチン自体の安全性を考えると、高齢者に限ることも少々、疑問でもあります。

 いつまでも、現状が続くのもしんどいですが、とりあえずワクチン接種が始まって、少なくとも、しばらく様子を見てから・・という人も多いと思います。とりあえずは、マスクとある程度の衛生管理で回避できるのであれば、当分は、ワクチンには、尻込みする気持ちもわからないでもありません。

 どちらにしても、一般人にワクチンが廻ってくるのは、来年の春以降、それまでにワクチンの効果も問題もいやでも目にするようになると思うので、当分は、成り行きを見守りたいと思っています。

 ワクチンをしても、副作用もなく、以前のような生活ができるようになるのであれば、やはり、魅力的でもあります。

 ほんの一年前には、たとえ遠いとはいえ、行こうと思えば、明日にでも日本へも行けたのにと思うと、すぐにワクチンを打ってもらいたいとも思います。長い海外生活の間には、4〜5年、日本へ行けなかった時期もあるのですが、行けないと思うと、やたらと行きたいと思うのです。

 私は、日常生活であまり外出ができないことや、人と会えないことは、それほどストレスでもないのですが、気軽に旅行ができないことが、辛いのです。

 ワクチンの開始で、うっすらと明るい兆しが見え始めましたが、まだまだ普通の生活に戻れるには、長い道のりのようです。


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「無料で受けられるフランスのインフルエンザのワクチン」

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「フランスの医者の大盤振る舞いな薬の処方」

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2020年12月8日火曜日

15日のロックダウン解除は無理 フランスの感染減少が止まった

 

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 11月6日には、一日の新規感染者数が6万人を突破したフランスは、その後、ロックダウンの効果が比較的順調に現れ、11月末には、1万人前後にまで減少しました。

 正直、ここまで急速に減少したのは、奇跡的なことだと思っていましたが、マクロン大統領は、この感染の減少を受けて、11月24日に段階的なロックダウンの解除を発表しました。

 このまま、減少していくかと思いきや、新規感染者の減少はピッタリと止まり、(止まるどころか若干上昇傾向にあります)マクロン大統領が提示したロックダウン解除の条件の一つである、「一日の新規感染者数が5000人以下になっていた場合」をクリアできない可能性が高まってきました。

 15日までには、残すところ、あと一週間と迫り、先週の一日の新規感染者数は平均10,500人程度、一週間で半減することは、まず不可能です。

 考えてみれば、1万人に迫った時点で、ロックダウンを緩和し、小売店が一斉に営業許可になり、人がより外に出るようになり、毎週のように数万人単位のデモが起こり、気温も一段と下り、ロックダウンを緩和した状況で、感染がこれ以上減少する理由は一つもないのです。 

 にもかかわらず、フランス人は、ノエルを家族で迎える気、満々で、一度は、今年の家族の集まりはなしにしよう、あるいは、リモートにしようと言っていた人々も、やっぱり、家族で集まろうと計画し直している家庭が多いのです。

 年配の人ほどリスクが高いにもかかわらず、あと何回ノエルを家族と過ごせるかわからないと思うのか、ノエルを家族と過ごすことに執着しています。しかし、命がけのクリスマスを楽しめる気持ちが私には理解ができません。

 昨日、現在のこの感染状況を受け、保健総局長であるロックダウンおじさんことジェローム・サロモンが会見を開き、感染減少がストップしている状態を説明しました。

 折しも、11月末にサンクスギビングデー(Thanksgiving Day)(感謝祭)を制限なしに祝ったアメリカで、再び、コロナウィルス感染が広まり、一日の新規感染者数が17万人を突破し、一日の死者数が1,000人以上を記録し、特に感染状態の深刻なカリフォルニア州は、再び、ロックダウンになっています。一日に17万人が感染とは、恐ろしい状況です。

 このサンクスギビングデー後のアメリカの状況は、充分、ノエル後のフランスにも起こりうる状況です。

 とはいえ、フランス政府は、恐らく、今さらノエルを家族で祝うことを禁止する勇気はなく、ノエル以外の制限解除、「映画館・劇場・美術館等の再開」を中止するか、外出制限の時間帯を変更するか、少なくとも24日と31日は、時間制限なしに外出が許可されるという点を廃止する方向に進むのではないかと私は、考えています。

 現在の段階では、水曜日には、マクロン大統領が国防会議を開くことが報じられていますので、その会議で、15日のロックダウン解除がどのように変更されるかは、今週中には、明らかになると思われます。

 わずか一ヶ月間で6万人から1万人前後まで感染が減少したフランスは、2週間で1万人から5千人に減少することも不可能ではないと考えていましたが、やはり、今回も事態を甘く見ていました。気温が1度下降するごとにウィルスは活発化し、感染率が上昇することは、もはや明らかで、現に、気温が低い地域での感染拡大が深刻になっています。

 こうなってくると、ヨーロッパ内が制限緩和に移行し始めた中、唯一、手綱を緩めなかったドイツの対応が正しかったのではないかと思うのです。

 どちらにしても、ノエルと年末年始の後の年明けには、第2波がおさまる前に第3波がやってくるのは、確実で、今回のこのノエル問題への政府の対応によって、第3波の波の高さが変わってきます。どうか厳しい措置をとって欲しいと思っているのは、私だけなのでしょうか?


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「コロナウィルス第2波 制限を緩和していくフランスと手綱を緩めないドイツ」

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2020年12月7日月曜日

フランスの配送事情の救世主 配送品取扱システム モンディアル・リレーとポアン・リレー


Point Relais®


 フランスの配送事情の悪さは有名で、これまで私が日本へ送った荷物、日本から送ってもらった荷物が何度となく、紛失しています。特にクリスマス前の季節などは、失くなる可能性が高く、娘が小さい時など、娘がこっそり日本のパピー(おじいさんのことをフランス語ではパピーと言います)に頼んで送ってもらったゲームのソフトなどは、かなりの確率で失くなり(盗難)ました。

 配送品を記入する欄には、NINTENDOなどとは、絶対に書かないで!と言っていたのに、父はうっかり?書いてしまうのです・・。

 NINTENDOのソフトでも、開けてみたら、日本語のソフトだったとわかった犯人も開けてビックリがっかりだったでしょうが、一回盗んだものを返してくれるわけもありません。

 特にクリスマス時期は、盗難が多く、この時期に何かを送ってもらうことは、辞退していたくらいです。

 国内の郵便物でも下手をすると日本へ送った郵便物よりも時間がかかったりすることもありました。

 家にいるのに不在通知を入れられたりすることもしばしばで、再送してもらうように電話をすると、近いんだから(実際には、ちっとも近くはなかった)、取りに来いと言われたこともありました。(配送料を払っているのだから、配達してくれと言い返して、結局、届けてもらいましたが・・)

 不在通知を入れられるのが嫌で、しばらく私は、配送先は、日中、必ず人がいる勤務先の会社にしていたくらいです。

 そんな感じのことが度重なったので、私は、フランスの配送事情は全く信用しておらず、長いことネットショッピングなども、最小限に控えてきました。

 しかし、最近になって、フランスでは、配送品の中継ポイントとなる場所を設けて荷物の配送を行うモンディアル・リレー(ルレ)(Mondial Relais)やリレー(ルレ)・コリ(Relais Colis)、クロノショップ(Chrono shop)などのシステムが急成長し、荷物を送るのも、受け取るのも中継地点の代理店が管理してくれるようになったので、配送に関わるストレスが少なくなりました。

 この代理店は、荷物だけを扱っているお店もありますが、その多くは、一般の商店、(多くは、タバコ屋さんやキオスクなどがメインですが、手芸品店やパン屋さんなどが副業としてやっている場合があります)また、大手のスーパーマーケットの受付などで請け負っている場合もあります。

 買い物をして配送を頼む場合は、予め、自分が受け取りに行ける中継地点を指定すれば、あとは、荷物が届いた連絡が来たら、自分の好きな時に受け取りに立ち寄ることができます。また、配送する場合は、ステッカーを自分でダウンロードして、荷物に貼り付けて中継地点に置いてくればいいようになっています。自分で印刷できない場合はQRコードを提示すれば、その代理店がステッカーを印刷してくれます。

 配送料金も郵便局の半額以下で、小さい荷物なら、3ユーロ以内の料金で済んでしまいます。

 中継地点の代理店が荷物を管理するために、自宅配送にかかる人件費がかからず、しかも、盗難のリスクも激減したわけです。

 私は、もっぱら、最近はフランス版メルカリで売れた商品の配送にこのシステムを利用していますが、11月末から、この荷物の中継地点を請け負う代理店は、本業以上にお客さんが多いのではないかと思うほど、時には行列ができています。

 このメルカリの場合は、買い物をする側の人が配送機関を指定し、配送料も支払うようになっているので、相手が指定したモンディアル・リレーかリレー・コリ、クロノショップ、もしくは郵便局のいずれかに持っていくのですが、配送料が倍以上かかる郵便局を指定してくる人は、ごくごく稀です。

 先日は、配送用のステッカーをダウンロードしようとしたら、「今、配送の注文が立て込んでいるので、少し経ってからもう一度トライしてください」という表示が出て、いかにこのシステムが利用されているかを思い知らされました。

 このモンディアル・リレーの代理店は、フランス国内には1万店以上にも膨れ上がり、最近では、スペインに2900店舗、ベルギーに1200店舗、オランダに500店以上の加盟店が加わりました。

 おかげで最近は、配送に関わるストレスが減りました。日本では、当たり前のように自宅に届く荷物。フランスでは、この配送品中継地点ができたことで、自分で荷物を取りに行くことでようやく荷物が無事に届くようになった状態。

 まだまだ日本のレベルには、遥か及びませんが、これでもフランスでは大きな進歩なのです。

Mondial Relay https://www.mondialrelay.fr/ ・Relay Colis https://www.relaiscolis.com/

 

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「高い配送料金を取りながら、ちゃんと品物が届かないフランスの配送事情」

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2020年12月6日日曜日

ブラックブロックがパリを破壊する フランス全土で5万人超えのデモ

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 つい数日前にシャンゼリゼに立ち寄って、イルミネーションの圧巻の美しさに「パリにいるのも良いものだ・・」と思ったばかりです。

 先週末もフランス全土で大規模なデモが起こり、大変な騒ぎでした。コロナウィルス感染も心配ですが、もうここのところ、デモのあまりの暴力化から、土曜日の午後にパリで外出することは、危険を感じるようになりました。

 依然としてグローバルセキュリティ法に反対する動きは根強く、この日は、フランス全土で5万2350人(パリでは5千人)がデモに参加したと内務省から発表されています。先週のデモに比べれば、政府がグローバルセキュリティ法・全面書き直しを発表したこともあり、人数的には、少なくなりましたが、破壊行動の被害は、一向に治ることはありません。

 デモ隊は、午後2時過ぎに、平和的?に行進を開始しましたが、デモが予定されていたルートに沿って、散発的に火が放たれ、ゴミ箱や、バイク、車(少なくとも6台)、トラックなどが燃やされ、近隣の商店が壊され、銀行までが燃やされました。

 前回同様、ブラックブロックと呼ばれる黒い覆面と服装に身を包んだデモに便乗しては、破壊行動を繰り返す集団の犯行です。この破壊行動に及んだ人は、400人〜500人いたと発表されています。この日のパリのデモ隊の規模は、5千人と言われていますので、人数から言えば、約1割がブラックブロックだったわけです。

 デモを行うには、予めそのルート等を申告し、警察の許可を取ることが義務付けられていますが、ブラックブロックの集団もそのルートを元に計画的に破壊行動を計画していることがわかります。

 5000人が参加したと言われるパリのデモは、最終地点のリパブリック広場に到着できたのは、午後6時すぎ、半分以下の2000人でした。彼らは、表向きはデモ隊に参加しているかのように振る舞い、グローバルセキュリティ法反対などのプラカードを掲げたりする役割の人もいるのですが、その実、デモをぶち壊していることは明白です。

 街中に炎が立ち上り、黒煙が立ち昇り、催涙ガスが蔓延し、放水車が人を攻撃し、ガラスが割られ、ブラックブロックと警察の治安部隊が戦う光景は、もはやデモではありません。パリはどうなっちゃうんだろうと不安にかられます。

 ブラックブロックは、2016年頃から登場し始めていますが、その破壊行為は、どんどんエスカレートしています。コロナウィルスによるロックダウンのストレスもあるかもしれません。

 私もフランス生活が長くなるにつれて、時にデモも必要なことではないかと思い始めてはいますが、昨今のような、デモといえば、ブラックブロックが便乗して暴力を振るい、破壊行動を繰り返してデモをぶち壊してしまう現状では、デモをこのまま容認することは、不可能ではないかと思っています。

 近隣の商店などは、デモはもう辞めて欲しいと憤りを露わにしています。

 表現の自由を叫び、自分の意思を表現することが尊ばれるフランスだからこそ、このようなコロナ禍でさえ、デモが認められているのですが、この暴力集団が破壊行動を繰り返す限り、こんな状態が続けられるわけはありません。

 今回のデモでは、42人が逮捕されています。実際に破壊行動をしていたと言われる人々の1割程度です。警察は、徹底的にこのブラックブロックの輩を追跡して、暴力ではない警察の力を見せつけて欲しいです。

 だいたい、ロックダウンの効果でコロナウィルス感染も減少してきたとはいえ、未だ、フランスでは、新規感染者が一日1万人以上いるのです。ノエルを家族で祝いたいんじゃなかったの? こんな状態が続けば、感染者も確実に増加するはずです。


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「グローバルセキュリティ法・全面書き直しとブラックブロック」

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2020年12月5日土曜日

ブラックフライデーと娘の携帯

  

ブラックフライデーでも20%off 今さらながら赤いテープが痛々しい


 娘の携帯電話が危うくなり出して、ヤバい状態が続いていました。前回、帰省した際にも時々、調子が悪くなり、時々、急に画面が消えたりすると言っていました。彼女は、どうにもアクシデントの多い人で、かなり派手な自転車事故を起こして、自転車の修理に行ったら、よくかすり傷で済んだと驚かれたり、忘れ物、落とし物も多く、帰省するときに家の鍵を忘れてきたり、お財布を忘れてきたり、しっかりしているかと思えば、妙に抜けているところがあるのです。

 当然、携帯も数回、失くしており、うっかり落とすこともしばしばで、つい先日も、携帯を落として画面を割って修理に出したばかりでした。画面の修理から戻ってきて、しばらくすると、今度は、本格的に電源が入らなくなった・・画面の修理をした際に接触が悪くなったのかも・・と再び、修理に出しましたが、いよいよ修理不能とのこと。

 今の彼女の世代は、何から何まで携帯で用事を済ます世代、日常生活で何がなくて困るかと言えば、携帯がないことというくらい、携帯電話に依存した生活を送っています。(まあ、今は誰でもそうかも?)現在の彼女の住まいは固定電話というものもなく、テレビもなく、学校や友達との連絡はもちろん、買い物をするのも、銀行口座の管理も映画やドラマを見るのも全て携帯です。

 ネット環境はあるため、パソコンは使えるのですが、実のところ、そのパソコンでさえ危うい状態。もしも突然、パソコンがダウンすれば、いよいよ携帯を買うことさえ容易ではありません。

 彼女は、学生でありながら、現在は、スタージュでフランスのある大手企業の研究部門で働いて稼いでいるので、携帯ぐらい、楽々、買えるはずなのですが、今のところ、貯金が趣味の彼女(普段は、携帯で自分の口座を毎日眺めながら、ニマニマしている)・・どうにも二の足を踏んでいるのです。

 それならば、「クリスマスプレゼントに買ってあげる!」と提案したところ、ご機嫌に快諾。しかし、倹約家の彼女らしく、ブラックフライデーまで待つと言うのです。娘のスゴいところは、それがたとえ、親に買ってもらうものであっても、少しでもいいものを安く買おうとすることです。私が若い頃には、親や祖父母に買ってもらえるとなったら、値段の心配などしたことはありませんでしたから・・。

 コロナウィルスのために一週間延期されていたブラックフライデー、どの程度、値段が下がるかは、疑問でしたが、彼女は絶対に安くなると言い張るので、ブラックフライデーを待っていたのです。

 私は買い物に出たついでに、同じコマーシャルセンター内のお店を少し覗いてみましたが、すでに店舗が営業開始になった時点で、半額セールなどをやっていた上に、これまでセールをやっていなかったお店も20%offなどと、堂々と掲げ、あまりインパクトはない様子。

 営業再開と同時に半額・50%offなどという表示を見てしまっては、どうにも拍子抜けです。

 それでも、ブラックフライデーまで待っていた人は結構いたと見えて、買い物袋を下げている人をけっこう見かけました。このようなコマーシャリズムに乗る人もフランスにも結構、いるものだと感心しました。

 結局のところ、娘が目をつけていた携帯は、ブラックフライデーには、値下げにはならなかったようで、観念した彼女から、カードナンバー教えて・・とメッセージが来ました。携帯電話は、一週間で届くそうで、一週間後には、彼女は溜まっているはずの彼女の口座残高をニマニマしながら眺めることでしょう。


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「フランスの休日営業とショッピング」

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2020年12月4日金曜日

2020年コロナ禍中でもシャンゼリゼのイルミネーションの美しさは圧巻 パリにいて良かったと思う瞬間

 


 パリ中心部に用事があって、ついでにノエルのデコレーションを見て帰ろうと思って、パリの中では、一番好きなヴァンドーム広場のノエルのデコレーション・イルミネーションを見に行ったら、今年は、自粛なのか、経費節減なのか、まったく、いつものような華やかさはなく、ガッカリしたので、このまま帰るのも悔しくて、せっかく近くまで来たのだからと、ちょっと足を延ばして、シャンゼリゼのイルミネーションを見て帰ることにしました。

 シャンゼリゼのイルミネーションは、すでにテレビやネットで見ていて、もう点灯しているのもわかっていたので、こちらは肩透かしを食うことはないと思ったのです。

 友人から、「今年は、シャンゼリゼなんて、誰もいないってよ!」と、聞いていたので、それならそれで、いいじゃない・・人が少ない方がいいし・・・と負けじとヴァンドーム広場からコンコルド広場を抜けて、シャンゼリゼへ歩いて行きました。


シャンゼリゼの下の通り・昔、この辺りにJALの支店がありました

 いつもは、シャンゼリゼの通りの下の方に立ち並んでいるマルシェ・ド・ノエル(クリスマス市)はなく、例年のような賑わいは全くありません。いつもなら、毎年、同じようなものが並び、取り立てて面白いとも思わないのですが、この時期に全くないとなると、それはそれで寂しいものです。

 それでも、散歩がてらなのか?ポツポツと歩いている人はいました。

 自慢じゃないけど、シャンゼリゼには、普段、用もなく、ほとんど行くことはありませんが、クリスマスのイルミネーションが点灯している間は、ちょっと近くまで行けば、足を伸ばしてノエル気分を味わいに行きます。だから、シャンゼリゼに行くのは、一年に一度くらいのものです。

 しかし、シャンゼリゼのイルミネーションは毎年、色もデザインも変わるので、今年は、どんなかな? と見てみたくなるのです。




 人が少ないと同じ場所を歩いていても、なんだか距離感が崩れます。なんだか、いつもは、長く感じられる距離がけっこう、すいすい歩けてしまいます。

 今年のシャンゼリゼは、飲食店がテイクアウトを除いて一切、開いていないこともあり、また観光客もいないこともあって、ノエルのイルミネーションが点灯されているというのに、人の少なさはきっと記録的、逆に考えれば、ゆったりと楽しむことができます。

 同じようなことを考えているのか、シャンゼリゼに来ている人は、悠々と写真を撮ったりして、結構、楽しんでいます。


 


 お店もゆったりと眺めることができます。デモでめちゃくちゃにされたロンシャンのお店がすっかりきれいになっていたり、ノエル仕様なのか、シックな店構えに変わっているH&M、まるでLIDOか?と思われるような店構えになっているSEPHORA(化粧品店)、相変わらず商売っ気満々のピエールエルメなどなど、買い物はしなくても、結構、人の少ないならではのシャンゼリゼを楽しんで来ました。




いつもより目立たない気がするルイヴィトン


 シャンゼリゼは17時に点灯されます。まだ、日が暮れかからない薄暗い中に少しずつライトが灯っていく様子は、ちょっと感動的です。フランスでの生活は、頭に来ることも多くて、スムーズにことが運ばないことも多くてストレスも多いのですが、この美しい街並みに接すると、パリにいて良かったな・・と思う瞬間でもあります。

 コロナならではのこんなに空いているシャンゼリゼ、来年には、去年は空いてて良かった・・と思えるようになっていたらなぁ・・とやっぱり思うのです。




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「シャンゼリゼで起きていたマカロン戦争」

2020年12月3日木曜日

パリは観光地だったんだ・・ お店は開いてもお客はいない

 

お店は開いているものの、ガランとしたヴァンドーム広場の店舗


 寒くなってきて、お天気も今ひとつだけど、パリの中心部に用事があったので、週末から来週にかけては、さらに天気が悪い模様・・やっぱり、今日、行くしかないな・・ノエルのデコレーションもちょっと楽しみだし、たまには、パリの街を歩こうと出かけてきました。

 ところが、もはや12月に入って、準備が遅れている?というわけでもなかろうに、どうにも今年のパリのデコレーションは控えめです。

 いつも通る、ノエルでなくても、きれいにデコレーションされているようなところでさえ、さっぱりなのには、少々ガッカリ・・今年は、自粛ムード?それとも、経費節減なのでしょうか? 

 ガッカリしてから、自分が、実は、デコレーションを結構、楽しみにしていたことに気がつきました。

 用事を済ませて、ノエルのデコレーションなら、ヴァンドーム広場のデコレーションが洗練されていて、毎年、きれいだから、ヴァンドーム広場を通ってみようとオペラ通りから、ルー・ド・ラペを通って、ヴァンドーム広場へ歩いて行きました。

 オペラ通りは、ずーっと前から、通りの商店街?の店舗のオーナーの集まりの方針で(要はケチ)、オペラ通りとして統一されたノエルのデコレーションはなく、有名な通りながら、ノエルは比較的、地味なのですが、それにも増して、このコロナの経済危機の煽りを受けてか、潰れてしまっているお店もチラホラ・・実際に、「閉店のお知らせ・長い間、ありがとうございました・・」などの張り紙がしてあるのを見ると、ずっしりとこのコロナの経済危機を目の当たりにさせられます。

 オペラ通りから、ヴァンドーム広場に抜ける道すがらは、高級な店舗が多く、きれいにショーウィンドウを飾っているので、飾られている洋服などを眺めながら、久しぶりにウィンドーショッピングを楽しみました。

 お店で買い物はしなくても、贅沢な雰囲気の空間に浸るだけでも心地よいのです。おしゃれな人も多く、お店だけでなく、通りを歩く人を見ているだけでも楽しいのです。パリは街の景観を大切にしている街ですが、街の景観を壊すような身なりの人もこの界隈には見当たりません。

        

なにげに写真を撮っても、景色を邪魔する人はいない


 歩きながら、ふと、お店は開いているものの、(飲食店は開いていませんが・・)お客さんがあまりいないことに気がつきました。まあ、平日の昼間だし、そんなに買い物する人もいないか?・・と一瞬、思いかけて、いやいや、いつもは、平日の昼間だろうと何だろうとお客さんはいたな・・と、日常の通りの様子を思い出したのです。

 考えてみれば、そのあたりの高級な店舗のお客さんの多くは、観光客だったのです。それでも、今は、ノエル前でケチなフランス人がバカンスの次に散財する季節です。なので、お客さんが皆無とは言えませんが、高級店舗になればなるほど、お客さんは、観光客なのです。

 「そうだ!パリは観光地だったんだ・・」そんな妙なことを思いながら、ヴァンドーム広場へ着くと、それぞれのお店の前には、統一されたクリスマスツリーが並んでいるものの、いつものようなキラキラした広場全体を包むデコレーションはありません。

 ヴァンドーム広場は広くゆったりとしているので、日頃から、人がいっぱいになることはありませんが、宝飾品をはじめとする、パリでもより抜きの超高級店舗、ショパール、カルティエ、シャネル、ディオール、ルイ・ヴィトンなど、高級ブランド店ばかりのこの場所は、お客さんが少ないどころか、店舗の中にいるのは、退屈そうな店員のみ・・。

 これでは、ノエルのデコレーションどころではありません。

 この近辺は、高級なホテルも沢山ある地域ですが、ホテルも軒並みほぼ休業状態、この機を利用して改装中のところもチラホラ・・。

 夏の数ヶ月を除いては、今年は、ほぼほぼ観光客のいないパリ、こんな状態がいつまでも続けられるはずはありません。

 パリに観光客がいないという厳しい現実をあらためて思い知った久しぶりのパリ散歩でした。


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「ロックダウン緩和でようやく営業許可が下りた店舗」

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2020年12月2日水曜日

スキー場オープンか否かで統一が取れないヨーロッパ フランスがダメならフランス人は隣国へスキーに行く

 


 ノエルと年越しをどうやら家族で祝えることになったフランスは、今度は、スキーがOKになるかどうかが騒ぎになっています。

 隣国のスイスやオーストリア、イタリアなどでは、制限付きでスキー場がオープンになることになったことから、フランスもスキー場を開けろ!と騒いでいるのです。

 スキー場側からしたら、スキーシーズンは限られているため、このシーズンに開けられないのは、大打撃になるのです。

 たしか、前回のカステックス首相の発表では、スキー場は開けてもいいが、リフトはダメという話だったと思いますが、リフトがなければ、事実上、閉鎖と大して変わらない状態です。

 スキー自体は、屋外のスポーツであるし、許可されても良さそうなものですが、リフトの混雑状態やスキーによって、人が集まる状態を危惧しているのです。そして、スキーに行くということは、アフタースキーの空間もあるのです。

 地続きのヨーロッパの中でも、スキー場に関しては、統一が取れていませんが、中でもドイツは、一番毅然とした態度で、スキー場の閉鎖を宣言し、また、ヨーロッパ全体にもスキー場は、閉鎖して欲しいと呼びかけています。

 フランスは現在のところ、ドイツに準ずる姿勢をとっていますが、スイス(ヨーロッパではないけど)やオーストリアなどは、「クリスマスには、リゾートでスキーも食事も楽しむ」と真逆の方向に進んでいます。

 いくら、フランスのスキー場が閉鎖になっても、そんなことで諦めるフランス人ではありません。

 第1回目のロックダウン中の4月のイースターの休暇の時期、気候がよくなってきたこともあり、フランス人は、ロックダウン中にも関わらず、国境を超えて、スペインのリゾート地などへ出かける人が後を経ちませんでした。

 あの頃は国境も閉鎖されていて、イースターの休暇の時期は、警戒体制も厳重に張られていた中、強行に国境を突破したり、中には、プライベートジェットまで使ってバカンスに出かける人まで現れました。

 フランスでスキーができなければ、近隣のスキー場がオープンしている国へ人が流れることは必須です。今回は、ロックダウン状態でもなく、おそらく、12月15日以降は、長距離移動も許可されます。

 国外であろうと、地続きの隣国へは、国境の通過もハードルが低いのです。

 マクロン大統領は、このノエルのバカンス時期に海外でスキーをしたいフランス人を思いとどまらせようと、バカンス突入前に、「制限的かつ説得力のある措置」を取ることを発表しています。

 レストランにしても、スキー場にしても、オーナー側がいくら衛生措置を整えても、お客側が衛生環境を尊重しきれない、感染を防ぎきれない場所でもあります。ましてやスキー場、ウィルスの大好きな気温の低い場所でもあり、感染の危険は高いのです。

 第2回目のロックダウン以来、感染状況は、減少してきていますが、ロックダウンが解除になり、ノエルのバカンスで皆が移動を始め、家族でノエルや年末年始を祝います。そのうえ、スキーにまで出かける人が出ては、無事に済むはずはありません。

 フランスのロックダウンの段階的な解除のカレンダーによると1月20日頃には、レストラン営業開始(感染状態が抑えられていた場合)とされていますが、年末年始が終わって、約2週間後、フランスのコロナウィルス感染は、再び増加状態にあると、私は思っています。

 

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「バカンス好きにもほどがある!フランス人の国をまたぐコロナウィルス外出禁止違反」

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2020年12月1日火曜日

グローバルセキュリティ法・全面書き直しとブラックブロック


 



 フランスで2週間に渡って行われていたグローバルセキュリティ法反対のデモは、それを前後して発覚した警察官による暴力事件により、フランス全土での大規模なデモに発展し、特にパリでは、夕刻にはデモが暴徒化し、大騒動になりました。

 翌日のレピュブリックから、バスティーユにかけての界隈は、騒動により、店舗やキオスクが壊されたり、信号が壊されたり、キャッシュディスペンサーが壊されたり、挙げ句の果てには、フランス銀行まで燃やされ、本来ならば、ノエルのデコレーションでキラキラしているはずの街が廃墟のようになってしまった様子は、悲しいばかりです。

 13万人超えの人々が抗議をしたグローバルセキュリティ法に関しては、警察官による暴力事件による警察への反発もあいまって、簡単なことではおさまりそうもない気配で、このデモは当分、続くだろうとウンザリとしていました。

 ところが、そんな国民の気配を感じてか、昨日、国会のLREM会長(la République en marche・前内務大臣)クリストフ・カスタナーより、「グローバルセキュリティ法・第24条を全面的に書き変える」ことが発表されました。どのように書き変えるかは、また次の問題ですが、とりあえず、法令の施行には、ストップがかかったのです。

 デモという世論が政治を動かしたわけです。

 今回、物議を醸したグローバルセキュリティ法・第24条は、警察官を守るための法律であり、彼らの顔を撮影することを禁じ、それを公開した場合に対して罰則を与えるというものでしたが、撮影自体を禁止したものではなく、公開する場合などには、顔をボカすなどの必要があるという内容なのですが、それを全面的に撮影禁止と受け取ったり、また、映像の加工等の必要から、映像の公開へのハードルが上がり、表現の自由を損なうものであるという反対意見や警察の暴力を抑えるためには、あくまでも映像の公開が必要だという意見などがあります。

 たしかに、先日のような暴力事件があれば、暴力を振るうのが、一般市民であろうと、警察であろうと、気軽に誰もが携帯などで撮影できるようになったことは、後の証拠として残されることから、とても心強いことでもあります。

 ましてや、今回の警察官の事件のように、偽りの報告書で済まされようとしていたことを考えれば、撮影は不可欠とも考えられます。

 しかし、今回のデモを暴徒化させ、騒動を大きくしたのは、ブラックブロックと呼ばれる黒づくめの服で覆面をした暴力集団です。

 今回のデモにも100名前後のブラックブロックが出現しました。彼らは、デモなどの騒ぎに乗じて、破壊行動を起こし、壊した店舗から金品を強奪したり、警察を攻撃したり、破壊行動そのものを目的とするブラック集団です。

 今回のグローバルセキュリティ法の書き変えが、彼ら(ブラックブロック)の行動を正当化するものとなってはなりません。

 グローバルセキュリティ法が国民に受け入れられるように、わかりやすく書き変えられることは必要ですが、彼らの暴力行為が国民の求める結果を勝ち取ったようになってしまわないように彼らの暴力も厳しく追求しなければなりません。

 フランスは、警察の暴力もブラックブロックの暴力も同時に断固として制圧する道を探さなければなりません。

<関連>

「騒ぎに乗じて暴れるフランスの暴力集団の存在 ブラックブロック」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/blog-post_25.html

「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_17.html