2020年1月9日木曜日

カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方

                                             「カルロス ゴーン」の画像検索結果



 年末の、映画のような、派手な日本からの逃走劇から、年明け、仕事始め早々の機をてらったカルロスゴーンの記者会見を見て、日頃の私の周りのフランス人流の言い訳の仕方をいくつもを連想しました。

 身振り手振りを交えながら、ひたすらに自分の非は、一切、認めないどころか、自分を優れた経営者であることを繰り返し、印象付けながら、自分の言いたいことをひたすら訴えるのです。

 それは、規模もレベルも違いますが、私の日常に度々、遭遇する、自分の非は、おかまいなしに、ひたすら自分の言いたいことを言うフランス人と、基本的な論法は、変わらないなと思ったのです。

 自分の言いたいことをひたすらに言う勢いと熱量で、話がいつの間にか入れ替わって、結果、自分の言いたいことで結論づけて、納得させられそうになってしまうのです。

 その上、彼は、記者会見では、英語を軸として、レバノン、イギリス、アメリカ、ブラジル、フランスと、それぞれの国の記者からは、その母国語で、質問を受け答えし、その間の通訳は、入らないので、アラビア語、英語、フランス語、ポルトガル語が全部、わからない人には、一瞬、煙に巻かれたような感じになります。

 事の真実は、わからないけれど、これだけの言語を難なく使い分けて、どんどん会見を進めていくのは、やはり、さすがと思わざるを得ません。

 これをわざと英語一本に絞らなかったことも、彼の作戦なのだと思います。

 日本の記者会見のように、司会者を置いたりはせずに、自分主導で記者会見を進めて、自分のペースに引き込んで行くのです。もちろん、用意した原稿はあるのでしょうが、日本人のようにそれをただ、読み上げるような熱量とは、まるで違います。

 私は、英語とフランス語しか、わからないので、その他の言語での質問に関しては、わからなかったけれど、やはり、フランス語での応答は、彼自身の話のリズムも良く、記者の質問に対しての答えの間の取り方なども絶妙でした。

 特に、フランス人記者からの「フランス政府に何か期待することは?」という質問に際して、間髪入れずに、「全くありません。」と言い切った返しは、あまりに小気味よく、お見事!と思いました。

 答えたくない質問に対しては、今日は、日本からなぜ逃げたかだけを話しているので、その他のことには、答えません、と逃げるのです。

 自分が日本の司法機関、拘置所でどんなに酷い目にあったかを、切々と訴えるわりには、ベルサイユ宮殿のパーティーの言い訳などは、日産やルノーの人間が参加していないことにも、招待者側なのだから、いなくてもおかしくない、などという意外とお粗末な言い訳なのも、なんだか、日頃、私が耳にするフランス人の言い訳のお粗末さに近いものを感じてしまいました。

 つまり、スピーチの熱量のわりには、中身がないのです。

 しかし、フランス、レバノン、ブラジル以外の記者は、全て英語で質問している中、「テレビ東京の〇〇です。」といきなり、日本語で自己紹介を始めた日本人記者には、呆れました。さすがに、これは、ないでしょ!と思いました。ゴーン氏も苦笑しながら、「英語じゃなきゃ、答えないよ!」と言っていましたが、これだから、舐められるのです。

 日本のマスコミの多くは、この記者会見から排除されたと聞きましたが、せっかく入れてもらえた記者がこんな具合なのには、とても残念です。

 本当なら、日本人の記者が一番、熱量のある質問を投げかける場面であるのに・・。こういう場面は、日本人の苦手とするところなのかもしれませんが、国際的なこんな場面に負けずに切り込んでいける人がいてくれたらと思います。

 これから、ゴーン氏は、どうなっていくのかは、わかりませんが、彼が、そんなに優れた経営者なら、なんなら、フランスに来て、RATP(パリ交通公団)やSNCF(フランス国鉄)をなんとかしてくれないかと思うのです。www

 

















 

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