2020年1月26日日曜日

フランスの学校の飛び級と落第






 娘が小学生の頃、主人は、度々、娘に飛び級をさせたいと言い出して、その度に私は、反対して主人を止めました。

 飛び級というのは、成績が優秀で、一般的に定められている学年を飛び越して進級することで、フランスでは、学校と相談して、IQテストの結果や日常の学校の成績などを参考にして、希望する生徒は、飛び級をすることができるようになっています。

 現に、娘の友人で、飛び級をしてきた子がクラスに何人かいましたので、彼らは、実際には、娘より一つ年下だったわけです。

 また、希望者には、飛び級をさせてくれると同時に、落第の方も容赦なく、成績が芳しくない場合は、同じ学年を再びやることになります。

 実際に、娘の口から、あの子は、ソテ(sauter la classe 飛び級)してきている子だとか、あの子は、ルドゥーブレ(redoubler la classe 落第)しちゃったとか、わりと良く聞くことがあったので、飛び級や落第は、小学校の時点から、そんなに珍しいことではありませんでした。

 主人は、娘の成績がわりと良かったこともあり、やたらと飛び級をさせたがりましたが、娘が学校の授業が簡単すぎて、退屈すぎるほどに優秀とも思わなかったし、何もそんなに急がなくとも、勉強だけでなく、その年齢にできる、一見、無駄と思えるようなことをするのも必要だと思っていたので、私は、頑なに反対しました。

 「一体、どうして、そんなに、飛び級をさせたいの?」と、主人を問い詰めると、彼からは、信じられない答えが帰ってきました。

 「落第したときのために、飛び級できる時にさせておいたほうが良い。」と。

 はっきり言って、私は、主人が娘に過大な期待をしすぎているのではと心配していたのですが、彼の回答は、私にとっては、あまりにズッコケたものでした。

 落第するのは、その必要があるからするわけで、そこで、一年、余計に時間がかかろうと、構わないと、私は、思うのです。

 その落第したときのために、本来、娘が過ごすはずの学年で体験できるはずのことを一年飛び越えてしまうなど、あまりにナンセンスで、即、却下しました。

 娘の成績の良し悪しに関して、ほとんど、私は、口出しすることはありませんでしたが、一応、年度末には、「進級できる?」とだけ、娘に確認していました。

 娘の方もまた、傍若無人というか、自信過剰なところがあり、「私が進級できなかったら、進級できる人は、誰もいない・・」などと、のたまい、でも、「もし?落第したら、どうする?」と聞く私に、「一度、やったことだから、簡単で楽でいいかな?」と、まさかの余裕の発言。

 飛び級も落第も、親が思うほどには、重大事でもなさそうでした。

 結局、娘は、小・中・高と、飛び級も、落第もすることなく、終わりました。

 長い人生のうちで、一年早く行こうが、遅く行こうが、大差はないと、私は、思っているのですが、落第したときのために、飛び級をさせたいと言った、主人のセコさが、私としては、気になったのです。

 















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