2020年1月11日土曜日

フランス人の熱量





 よく、血の気が多いとかいう言い方をしますが、「やっぱり、フランス人は、血の気が多いなぁ・・」と感じることがあります。

 それは、単に激しやすいとか、怒りっぽいとかいうことではありません。

 よく言えば、感情表現が豊かで、ストレートに感情を表現することが多いので、良い時は、賞賛の嵐、また、非常にロマンチックで情熱的な演出に繋がるのですが、好き嫌いをシンプルに顔に出すので、逆の場合は、冷たい態度の表現も強烈なので、感じ悪いこと、この上ありません。

 血の気が多いというと、一見、いわゆるキレやすい性格のような印象がありますが、それは、ちょっとニュアンスが違います。
 別に、彼らは、キレやすいというわけではありません。

 街中で、また、店内でクレームをつけて、キレたりするのは、むしろ、日本の方が多いような気がします。

 それよりも、ひとたび、感情を動かすスイッチが入った時の熱量が根本的に違う気がするのです。まあ、良くも悪くも、激しいのです。

 彼らは、普段から、第二のフランス語とも言えるような、独特な身振り手振りをつけて(彼らの身振り手振りには、言葉のような意味があります。)話すので、慣れるまでは、いちいち大げさに、芝居じみて見えます。

 場合によっては、コミカルでもあり、高圧的でもあります。

 先日のカルロスゴーンの記者会見などは、内容はともかく、確かに、彼の熱量は半端ありませんでした。(実際には、彼は、レバノン系ブラジル人とレバノン人のハーフで、フランス人ではありませんが、彼は、主な教育をフランスで受けて育っています)

 たしかに、彼自身の無実?と日本の司法にいたぶられたことをアピールしたい気持ちが強かったとは思いますが、それを、「身振り手振りをつけて大げさにアピールしていた」と報じている日本のマスコミほどには、フランス人は、彼のスピーチを大げさとは、受け取ってはいないと思います。

 なぜなら、彼ら自身も感情が高ぶれば、同じようなジェスチャーをつけて話すからです。

 フランスで、度々、起こるデモの迫力を見慣れていると、日本のデモなどをたまに、テレビの映像で見かけたりすると、あまりの熱量の違いに愕然とさせられます。

 日本のデモってこんな感じだったっけ???
 なんだか、ピーチクパーチク言ってる感じ・・説得力が足りない・・と。

 だから、日本人が国際的な場面に臨む場合は、この熱量に照準を合わせないと、外国人にとっては、私が日本のデモを見て感じたように、日本人が、なんかピーチクパーチク言っている・・・としか映らず、伝わりにくいかもしれません。

 度々、このデモが過激化して、暴動のようになることにも、熱量の違いを痛感させられます。それこそ、血の気が多いなぁ・・と。

 私がフランス人の主人と付き合い始めた頃は、なんて、大げさな、芝居じみた話し方をする人だろうと思ったこともありましたが、フランスに慣れてくると、それは、決して、大げさなのでも、芝居じみているものでもありませんでした。

 ただ、何かに感動して、喜ぶときにも、何かに怒るときにも、その熱量は、明らかに日本人とは違い、そんな主人がいる家の中も、きっと、普通の日本人の家庭とは、違うのだろうなと思います。

 いつもいつも、喜んだり、怒ったりしているわけではありませんが、最近の私は、熱量が高い方が、少なくとも、楽しいことを、より楽しめるような気がしているのです。


 

 













 




 

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