フランス人の主人が突然、親友と絶交した理由
主人には、エディという、とても親しくしている友人がいました。
主人が前の奥さんと離婚する前に住んでいたアパートの近所に住んでいたのですが、私が、フランスにやってきた時も、主人のお兄さん夫婦の次に、彼が紹介してくれたフランス人の友人でした。
彼が、外国に転勤になって、数カ国を渡り歩いて、フランスに戻ってきて、家が遠くなっても、彼らの関係は続いており、私も彼と一緒に娘を連れて、エディの家に招かれて、食事をしたりしたこともありました。
エディは、ごくごく一般的な、会社勤めをする中流階級のフランス人で、彼には、少し年上の幼稚園の先生をしている奥さんと、当時、中学生くらいだったお嬢さんがいました。
奥様は、とても、お料理が上手で、彼と一緒に行くと、彼女の得意料理であるシュークルート(フランスのアルザス地方の郷土料理)(細く刻まれたキャベツを白ワインやシャンパンなどで発酵させた少し酸味のあるものと、ソーセージなどの豚肉の加工品と一緒に食べる料理)を山ほど作って、もてなしてくれたりしました。
彼とエディの付き合いは、長かったので、エディのお嬢さんにとっても、主人は、小さい頃から、知っている親戚のおじさんのような存在でした。
彼の奥さんは、趣味で、絵を描く人でもあり、彼女がパリで友人と開いたグループ展のようなものに行ったこともありました。
私が仕事を始めて、しばらくして、私の方は、どんどん忙しくなり、また、娘も成長するに連れて、私も彼も、お休みの日には、娘の公文の教室やお稽古事の送り迎えなどで、時間が取られるようになり、エディとは、あまり、会う機会がなくなっていきました。
それでも、主人とエディは、時々、電話をしあったり、付き合いは、続いていたのですが、それが、ある時、突然、断ち切られたのです。
それは、エディのお嬢さんから主人にかかってきた電話がきっかけでした。
私が、最初に彼女に会ったのは、彼女がまだ、中学生くらいで、小柄で、フランス人にしては、珍しく、年齢よりも幼く見えるような感じの女の子でした。
彼女が主人に電話をかけてきた時には、高校生か大学に入りたての頃だったと思いますが、電話の内容は、今まで、長いこと彼女が苦しんできた衝撃的な告白でした。
なんと、彼女は、長いこと、父親から、性的虐待を受けてきたというのです。ずっと、誰にも言えず、苦しんできた彼女は、思い余って、彼の父親のことも、自分のことも知ってくれている主人に相談を持ちかけてきたのです。
私自身は、あまり長い付き合いでもなく、なにせ、フランスに来たばかりの頃で、まだ赤ちゃんだった娘を連れて、右も左もわからない生活がスタートした頃でしたので、あまり、冷静に人を見ることができなかったかもしれませんが、少なくとも、ごくごく普通の、小柄ではあるけれど、少し威勢のいい、人のいいおじさんという印象でした。
主人にとっては、長い付き合いでもあり、少なからず、ショックでもあり、何より、ショックというよりも、激しい怒りと憤りを隠せませんでした。しかし、これまでの長い付き合いからは、そんな素振りは、微塵も見えずに、エディの家庭の問題については、全く、気がつかなかったそうです。
その衝撃的な電話以来、主人は、ピッタリとエディとは、付き合わないようになりました。その後、主人は、彼のお嬢さんが、家を出て独立することを勧め、父親から離れられるように手を貸してあげたようです。
お嬢さんからは、しばらくは、時々、連絡があったようですが、以来、エディとの関係は、プッツリと切れてしまいました。
ごくごく普通の平和そうに見えていた家庭に潜んでいた大問題に、改めて、恐ろしさを感じた出来事でした。
それにしても、自分の娘をこんなに苦しめる父親って、許せない。
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