2020年1月4日土曜日

お国柄が現れるフランスの中華料理




 世界中、どこへ行ってもあると思われるチャイニーズレストラン。類にもれず、フランスにもチャイニーズのお店は、山ほどあります。

 多分、一番多いのは、気軽に食べることができて、テイクアウトもできる中華とベトナム、タイ料理などのアジア系の料理がミックスされたようなお店です。最近は、その中に日本食と思われるものも混ざっていて、エビフライをTEMPURAなどという名前で売っていたりします。

 フランスで、共通する一般的なチャーハン(Riz Cantonais / リ・カントネ)は、なぜか、味の素が大量に使われた、炒り卵とハムとグリンピースを入れて炒めてある、全体的に白いイメージのボヤッとした味のチャーハンで、パエリアと並んで、冷凍食品として売られていたり、学校の給食にまで登場するので、フランス人には、人気のメニューなのだと思われますが、はっきり言って、あまりおススメではありません。

 私は、普段、出不精なので、あまり、外食はしないのですが、中華料理だけは、中華街に買い物に行くついでに、食事に行くことも多いのです。
 何より、中華料理は、家庭の調理器の火力では、できない強火でサッと調理された野菜の炒めものなどが食べたいからです。

 私がよく行く中華料理のレストランは、値段もお手頃で、頃合いを見計らって行かないと並ばないと入れない、中国人シェフが腕を振るう人気のお店で、中国人のお客さんが多い中、フランス人のお客さんも結構いて、入れ替わるお客さんや、お料理のオーダーや配膳の人が慌ただしく行き交う中、ロゼのワインなどを飲みながら、悠々と食事をしています。

 フランス人が中華のレストランで必ずと言っていいくらい注文しているのは、鴨料理(Canard laqué / カナール・ラッケ)(うっすら甘い五香粉の香りのするソースをつけながらじっくり焼かれた鴨)なのです。

 うちの主人なども、中華料理に行けば、必ず、カナール・ラッケを食べます。

 皮がパリッと焼けていて、五香粉の香りと、鴨のしっとりとした、それでいてなかなか食べ応えのある肉がフランス人には、人気なのでしょう。もともと、鴨は、フランス料理でも、マグレ・ド・カナールなどでも親しまれている料理でもあり、フランス人の味覚には、合うのかもしれません。

 中華料理を食べに行っても、取り敢えず、フランス料理にも近いメニューを選ぶところも、フランス人らしさを感じ、同時に、フランス人の味覚は、かなり保守的なのだなあと思わされます。

 そう考えてみると、カナールラッケは、デコレーション等を変えて盛りつければ、ヌーベルキュイジーヌとして、フレンチにも出てきそうな気さえします。

 そして、私には、もう一つ、中華料理を食べるフランス人に関して、不思議に思っていることがあります。
 
 中華料理といえば、ある程度以上の人数で食事に行けば、みんなで小皿に取り分けて、分け合って食べるイメージがあるのですが、フランス人は、みんなで分け合って食べたりせずに、一人一人が注文して、それぞれが、自分の注文したものを別々に食べるのです。

 自分の食べたいものを自分が注文して、自分のものを自分で食べる。

 中華料理の食べ方にもフランス人の気質が見えるような気がするのです。






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