2019年6月23日日曜日

シャンゼリゼで起きていたマカロン戦争




 久しぶりにシャンゼリゼに行ったら、結構な、珍しいものを見つけました。もう、このお店がオープンして、一年以上経っていたようですが、私は、全然、気がついていませんでした。昨年から、続いている黄色いベスト運動もあり、なんとなく、シャンゼリゼから、足が遠のいていたのです。

 なんと、ピエールエルメとロクシタンのコラボショップがオープンしていたのです。しかも、シャンゼリゼで、その上、道路を挟んで、ラドュレの真ん前の場所に!




 これは、なんとも挑戦的というか、ピエールエルメのしたたかさを感じずにはいられませんでした。しかも、ロクシタンとコラボするとは・・。

 ピエールエルメはフォションのパティシエから、ラドュレを経て、独自のブティックをオープンし、2001年にパリ6区のサンジェルマンデプレにブティックをオープンしたあたりから、大ブレークし、今では全世界にその名を知られるようになりました。彼は、パティシエ・ショコラティエですが、何と言っても、マカロンの人気がダントツなことは、言うまでもありません。マカロンを食べ慣れているパリの人たちも、ピエールエルメのマカロンが一番美味しい・・と言う話も耳にします。・・がお値段もかなりのもの。

 スイーツが特に好き!というわけではない私には、マカロンにこの値段??と思ってしまって、余程のことがないと手を出しません。
 もともと、フランスで、マカロンは、お母さんが子供のオヤツに作ってあげるような、材料費もさしてかからない手軽なお菓子なのです。

 一方、ラドュレは、1862年創業の超老舗。ピエールエルメが登場する前は、パリでマカロンといえば、ラデュレで、あの薄いペパーミントグリーンの紙袋を手にした観光客が街中をウロウロしていたものです。(もちろん、現在も健在ですが)
 こちらも高級パティスリーとあってかなりのお値段であることは言うまでもありません。ラドュレの方は、サロンド・テにもかなり力を入れていて、軽食等も食べられるようになっており、安定した人気を獲得していて、やはり、老舗の重厚さを感じられます。

 ピエールエルメのロクシタンとのコラボは、確かにシャンゼリゼという立地もあり、(しかも、シャンゼリゼの真ん中あたりにある、絶好の立地条件)、観光客(特に日本を含むアジア系の観光客が主なターゲット)目当てのお土産物としては、未だ絶大な人気を誇るロクシタンとのコラボで、双方とも、商品は飛ぶように売れていました。また、シャンゼリゼに出店となれば、それなりのステータスでもあるでしょう。

 広い店内の中央の円形のスペースには、マカロンを始めとしたピエールエルメのスイーツがキラキラと並び、それを囲むようにして、四方の壁伝いに並ぶロクシタンの数々の商品。店員の約半分は、ターゲットであるアジア系の観光客を見込んでのアジア系のスタッフ。確かに、観光客集客には、もってこいの戦略なのかもしれなません。

 しかし、私は、なんとなく、商魂たくましすぎて、えげつなささえ感じてしまったのです。急成長を遂げているピエールエルメは、この先は、何を目指しているのだろうか?とさえ思ってしまったのです。

 老舗のラデュレなら、ロクシタンとのコラボなど、あり得ない話でしょう。老舗としての誇りと歴史を守っているからです。

 ここ、10年ほどで急成長したピエールエルメが今後、生き残って、老舗となっていけるのかどうか? 興味本位ではありますが、行方を見守っていきたいなと感じた次第であります。