2019年6月13日木曜日

パリの幻想



 さすがフランス!さすがパリ!と、どれだけフランスは思われていることでしょうか?

 娘が小さい頃、彼女が着ていた洋服を見て、”まあ、可愛い!さすがパリ!”と良く言われました。ところが、実際は、娘が小さい頃、私は、ほぼほぼ、彼女の服をパリで買ったことは、ありませんでした。
 
 娘の着ていた洋服は、日本にいる母や叔母が送ってくれたものがほとんどだったのです。それでも、私たちがパリに住んでいると知っている人たちは、娘の洋服を見て、”さすがパリ!”と言うのです。これには、苦笑してしまいました。

 日本のデパートに行く度に思います。どれだけ、フランス語を使った名前のお店が多いことか!?しかも、それが、正しくないフランス語であることも少なくありません。

 せっかく、お店の名前をフランス語でつけるなら、せめて、それが正しいフランス語であるかどうか、確認くらいしても良いのではないか?と思ったりもします。

 また、フランスは美食の国とも言われています。確かに、フランスにはワインやチーズやパンなど、美味しいものも沢山あります。

 しかし、実際のフランス人の食卓は、日本人の食卓(まあ、家庭にもよるとは思いますが、)に比べたら、かなり、シンプルな家庭が多いし、皆がミシュランの星付きのレストランのような食事をしているわけではありません。一般的な食事は、日本の方が格段に種類も豊富でバランスも良く、コスパも良いし、良いものを食べています。

 ごくごく少数のレベルの高い人の暮らしは別でしょうが、一般の人々は、なかなか質素で堅実です。やたらと高級なブランド品を買い漁るようなこともありませんし、むしろ、ブランド品で着飾るのは、自分のオシャレができない人とさえ思われてしまいます。

 確かにパリの街並みは美しいし、パリの人は洗練されていて、おしゃれな人が多いと思いますし、街中の広告などを見てもセンスいいなあと思うことが多いです。でも、フランスは、パリは、日本人が、いや、世界の人が、フランスに対して持っている幻想とさえ思えるようなイメージに大きく支えられているような気がしてしまうのです。

 日本もまた、外国からは、素晴らしい国だと多くの人が感じています。訪日外国人が年々、増えている今日、実際に日本へ行った観光客の日本への評判には、目を見張るものがあります。

 実際に、私の身近な人も日本へ行った、行きたいというフランス人が大勢います。私が日本人だからということもあるでしょうが、日本を称賛してくれる人が急増しています。やはり、日本人としては、嬉しい限りです。

 海外に出てみると、日本の良さが改めてわかります。(逆に異常だなと感じることもありますが・)まさに、滝川クリステルが東京オリンピック招致のプレゼンで話していたことは、本当なのだと再確認します。日本では、それが当たり前のように慣れてしまっているけれど、それは、とても特別なことなのだということを海外生活を送っていると実感します。

 さすが、パリ!でもあるけれど、さすが、日本!とも感じるのであります。