2019年6月7日金曜日

フランスの教育・学校・バイリンガル教育 ①




 私の娘は、運よく、カトリック系の私立の学校に小学校から、高校まで通わせて頂きました。そもそも、私たちが今のアパートに引っ越して来てすぐは、近所の事情もあまりわからずに、ひとまず、公立の ecole maternelle エコール・マテルネル(日本でいう幼稚園の年齢ですが、こちらでは、学校扱い)に通わせていました。

 ご存知の通り、フランスは、ストライキの盛んな国で、それは、学校までにも及び、その年は、学校で一ヶ月にもわたるストライキがあり、働いている私としては、学校がというよりも、託児所がなくて、途方に暮れるという感じでした。

 また、私の職場の近くに、たまたま、かなりレベルの低いと思われる学校があり、その学校の子供たちの様子を見るにつけ、こんな学校に入ってしまったら、大変だ!!という危機感が常にありました。

 そんな、きっかけもあり、家の近くの私立の学校(私立の学校はストライキをしません)を探したところ、私たちの住む地域には、一つしかなく、せめて、ecole primaire (エコール・プリメール)(小学校)からでも、入学させてもらいたいと、申し込みをしましたが、すでに、その時点では、定員オーバーとのことで、ウェイティングリストに載せておきます、との返事が帰って来ました。

 こちらの学校では、小学校の時点では、日本のような、お受験はないのですが、たまたま、その頃、マテルネルで、彼女の中での最高の成績表を取って来たので、(学校扱いなので、幼稚園の段階から成績表があります)主人と ” これを送ってみよう!!”と試しに送ってみたところ、希望を出していた学校から、面接に来てくださいと連絡があり、入学することができたのです。本当にラッキーでした。
 
 今から考えると、それが娘の人生の大きな分岐点になったかもしれません。

 面接に行く道すがら、その学校の生徒たちを見て、一目で思いました。
あの学校の子たちとは、顔つきが全然違う!!と。(あの学校とは、私の職場の隣の学校ですが) 
 その子たちの顔を見て、私は、これなら、大丈夫、と思ったものです。

 そして、面接に行くと、ディレクトリス(校長先生)が毅然と座っていらして、無邪気に”ボンジュール!”と挨拶した娘に、しっかりと、娘の目を見て、”ボンジュール、マダム”というのですよ。”と静かに、おっしゃいました。
 なんとなく、ピンと張った背筋がさらに伸びる感じがしました。

 そんな過程を経て、娘は、小学校からその学校に通学することになり、結局、高校卒業までお世話になりました。入学してから知ったのですが、その学校は、結構な進学校で、バカロレアの合格率が100バーセントを誇る学校で、逆に考えれば、できない子は、容赦なく、追い出されるということです。なんとか、追い出されることなく、高校までその学校にいられますように・・と祈るような気持ちでした。

 当時は、パパはフランス人なので、学校全般担当、私は、学校ももちろんでしたが、むしろ、娘の日本語教育に必死でした。とにかく、私は娘との会話は、日本語のみ。テレビは一部を除いて日本のビデオのみ。日本語のカードを作ったり、絵本も毎晩読んで聞かせました。

 読み書きも日本語の読み書きを出来るだけ、億劫に感じないように、学校でフランス語の勉強を始める前に、そして、私以外の日本人との接触の機会も与えられるようにと公文に通わせて、鉛筆の持ち方から、公文の先生に教わりました。

 仕事から帰ると娘を迎えに行き、食事の支度をしながら、娘の公文の宿題を見て、夜には日本語の本を読んで寝かせつける。全く、怠け者の私が今、振り返るとよく頑張ったと思います。

 私が娘の日本語教育に必死になったのは、私がこちらで仕事を始めた際に職場にいた、日本人とフランス人のハーフの若い男の子のおかげ!?でした。その子がお母さんが日本人にも関わらず、全くといっていいほど、日本語ができなかったのです。

 そうなんです。このような機会(フランス語も日本語もできるようになれる環境)があるのに、それをしようとしない親が結構いるのです。私としては、これには、本当にビックリでした。だって、自分の子どもに自分の母国語を教えるのは、当然だと思っていたからです。

 周りにいた日本人の同僚にも、ずいぶんと言われました。
 ”放っておいたら、日本語、できなくなっちゃうよ!”と。
 ”だって、普通にフランスで生活しているんだから、日本語は必要ないんだから !”とも。そう言えば、そうですよね・・。

 特に、フランスは、他の国の言語に対して排他的なところがありますから。
 そんなわけで、その頃の私は、とりあえずは、娘に日本語を植え付けることに一生懸命でした。

 私の母は、英語が好きで、得意で、小さい頃から私に英語を教えてくれていました。おかげさまで、私は、ネイティブとは言えませんが、あまり、英語で苦労した記憶がありません。娘も恐らく、日本語を苦労して覚えたとは、感じていないことでしょう。

 やはり、ある一定の年齢の期間なら、最も効率的に苦労を感じずに言語を習得できるという時があるのです。これを活かさないのは、あまりにもったいないと思いませんか?

 言語は、その子の世界を広げる一つの大切なツールです。そのツールを持つことで、その子の世界は、グッと広がります。同時に可能性も広がるのです。
小さい子を持つ親御さん! 頑張ってみませんか?

 今日は、この辺で、子育て、教育の話はまだまだ、続きます。

 続きは、後日、また、書きますね。

バイリンガル

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