2020年6月30日火曜日

バイリンガルになった娘の日本語 複数言語を使う生活




 娘がパリに戻ってきて、約2ヶ月が経ちました。彼女は、2年間、彼女の希望の地方のエコールに通うために、生まれて初めて親元を離れて、一人暮らしをしていました。一人暮らしといっても、シェアハウスのようなところで、数人の同居人のいる中での生活でした。

 もちろん、周りはフランス人ばかりですから、フランス語一色の生活で、2年間を過ごしてきたのです。本来ならば、エコールは、もう一年あるのですが、残りの一年は、スタージュやら留学の予定が入っているために、パリの自宅に戻ってきたのです。

 とはいっても、大部分の彼女の荷物は、パリの自宅においたままだったので、バカンスのたびに、衣替えも兼ねて、何かと言えば、戻ってきては、一週間くらい、滞在し、夏休みなどの長い休みの間は、パリの自宅からスタージュに通っていました。

 私は、彼女が生まれた時から、彼女には、日本語がきちんとできるようになってほしいと、他の勉強については、うるさく言ったことは、一度もありませんでしたが、日本語については、かなり厳しく教えてきました。何しろ、フランスで普通に生活をしていれば、日本語は、全く必要のない言語、かなり意識的に強要しなければ、日本語ができるようにはなりません。

 家の中でも、パパとはフランス語でも、私とは日本語だけ、小さい頃は、テレビは、日本語のDVDのみ、フランスの学校が始まって日本語の勉強をすることが億劫にならないようにと、2歳から公文に通わせて、鉛筆の持ち方から日本人に日本語で教えていただきました。

 夜寝る前には、毎日、必ず日本語の絵本の読み聞かせも欠かさずに続け、毎年、夏休みには、日本へ連れて行き、日本語ができない子は、日本へは連れていけないと、娘の鼻先に日本行きという人参をぶら下げていました。

 私もフルタイムでの仕事があり、送り迎えが大変で、公文は、週に一回しか行けませんでしたが、必ず一週間分の宿題をもらって、毎日、学校から帰ると私は食事の支度をしながら彼女の公文の宿題を見ていました。彼女には、日本語を話すだけでなく、ちゃんと読み書きもできるようになって欲しかったからです。

 10年くらい続けたでしょうか? 送り迎えも、夕方のバタバタした時間に宿題を見てあげるのも大変でしたが、おかげで彼女は、人並みに日本語ができるようになり、つい先日、CVに書き加えることを増やしたいからと日本語検定試験の一級を受験して合格しました。

 ところが、この3ヶ月間のロックダウンでパリに戻ってくることができず、たまに私と電話で話す以外は、全く日本語を使わない日が続き、パリに戻ってきたときには、日本語のレベルが明らかに落ちていました。「よく、それで日本語検定受かったね〜!」というほど、以前は、スラスラと言葉があとをついて出てきたのが、言葉に詰まってしまうことが増えてしまっていたのです。

 パリに戻って2ヶ月経って、彼女の日本語は、すっかり元どおりに戻りました。言語は、使っていないと錆び付くのをロックダウンでまざまざと思い知らされました。

 現在、彼女は、ロンドンの大学にスタージュに行くはずが、これまたコロナのためにロンドンには行けず、家でロンドンの大学の先生と連絡を取りながら、リモートワークをしています。彼女が小さい頃に日本語と並行して英語のカードなどを使って英語を教えようとしたこともありましたが、そのうち英語にまでは手が回らなくなって、彼女の英語は、どんななのか聞いたことがありません。

 一緒に旅行に行って、フランス語が通じない国に行くと、英語で話すしかないのですが、練習だから、話してごらん!と言っても、決して私の前で英語を話すことはありませんでした。今もロンドンとテレワークしている様子は見せてくれません。

 そんな生活なので、彼女は、パリで、私とは、日本語で、友達とはフランス語で連絡をとりながら、仕事は英語でしています。先日、英語での仕事中に私が日本語で声をかけたら、「Ah Oui(ア〜ウィ!)」と答えたので、思わず笑ってしまったら、なんだか、彼女も自分で「ア〜ウィー」と言ってしまったことが、わけがわからない様子でバツが悪い顔をしていました。

 複数言語を使っている場合、私も切り替えがうまく行かないことがあります。日本語を話していてもフランス語の単語を平気で混ぜて話していたり、特にフランス語と英語に関しては、似たような単語も多く、これ?フランス語だった?英語だった?と迷うことがあります。

 でも、私は、このいくつかの言語を使う生活が結構、気に入っています。使っている言語によって、自分のテンションも変わったりもします。そんな自分自身の変化も楽しんでいます。

 先日、テレビを見ながら、娘が、「フランス人は毛深い人が多いけど、日本人は毛浅いもんね・・」と言いました。「深い」の反対は、「浅い」と思って、使ったようです。また、「塵も積もれば・・何になるんだっけ??」とか言っています。私は、冗談で、「ゴミ!」と答えましたが、すぐに、「あ〜山だったね・・」と気付いたようです。

 すっかり元に戻ったと思った彼女の日本語、まだまだお勉強が必要なようです。


バイリンガル


<関連>
「バイリンガルに育てる方法」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_24.html

「フランスの教育・学校・バイリンガル教育」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_7.html

0 コメント: