2020年6月3日水曜日

ロックダウン解除・第二ステージの幕開けは、2万人規模のデモというフランスの惨状

 
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 昨日は、午後から、やけにパトカーだか、救急車だかわからなかったものの、窓の外から聞こえてくるサイレンの音が途切れませんでした。コロナウィルスの感染拡大以来、ロックダウン中にも、救急車のサイレンは、頻繁に聞こえてきていて、また、誰かが搬送されているんだ・・と思いながら、感染の恐怖を家の中で感じていました。

 ここ数日は、それも少し、おさまって、サイレンの音がずいぶんと減って、感染の度合いもおさまってきたのだな・・と感じていた矢先でしたので、サイレンの音がまた、切れ目なく聞こえてくるのを、「また、感染爆発? まさかね・・」などと思っていました。

 ロックダウンが解除されたわけで、交通事故などもあり得るとは思いながらも、そのサイレンの音がいつまでも続くのには、何かが起こったのだ・・と思わざるを得ませんでした。案の定、事件は、起こっていました。

 ロックダウン解除の第2ステージ(さらなる解除段階)に突入したその日に、パリの裁判所前で、2016年7月19日に警察の逮捕の約2時間後に亡くなったという24歳の黒人男性アダマ・トラオレの死への抗議と正義を訴えるために、約2万人の人が集まり、大規模なデモ・抗議が起こったのです。4年前に起こった事件です。

 これは、明らかに、アメリカで起こったジョージフロイドの警察官による死亡事件に触発されており、彼らは、「アメリカで起こっていることは、フランスで起こっていることを反映している!」と訴えています。

 昼過ぎから始まったデモ・抗議行動は、夜になるにつれてエスカレートし、午後9時頃には、石が投げられ、アメリカの旗がポールに吊りあげられてデモ参加者によって焼かれ、ゴミ箱が焼かれ、パリ(17区)の路上のあちこちに、炎が上がりました。

 物々しいバリアを持った防護体制の警察や憲兵隊、消防が駆けつけ、数時間後には、沈静化しました。

 ロックダウンが解除されたとはいえ、パリは、まだレッドゾーンで、10人以上の集会は禁止されています。10人以上の集会の禁止など、どこ吹く風で、2万人とは、もう呆れ果てて言葉がありません。全く、禁止事項など、意に介していない人が、少なくとも2万人もいるのです。長い監禁生活のストレスもあると思いますが、禁止されているデモが2万人に膨れ上がるまで放置するということは、警察がまともに機能していないということです。

 ロックダウン解除がさらに進んで、フランスには、少しずつですが、日常が戻りつつあります。公園も解放され、レストランやカフェのテラスでは、ようやく取り戻した日常に満面の笑みを讃えて楽しいひと時を過ごす人で賑わいました。

 しかし、残念ながら、こうしたデモや暴動もフランスの日常のひとつなのです。
これで、パリにコロナウィルス感染の第2波が来なかったら、奇跡です。

<関連>「フランス人の熱量」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_11.html


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