2020年6月12日金曜日

フランスは、いつも誰かが何かを訴え、戦っている フランスは、デモの国


           Des policiers réunis devant le commissariat du 3e - LyonMag


 いつものことですが、フランスは、ロックダウン解除以来、どうにも騒がしい事ばかりが続いています。ロックダウンという厳戒態勢が徐々に解除されて、当初は、国民も恐る恐るウィルスがまだ残る世界に出ていくことに、どのような体制をとったら良いのかを手探り状態で、子供を学校に通わせる親もごく一部に限られていました。

 しかし、時間が経ち、感染の状況が改善していくにつれ、ロックダウン解除の第2ステージに突入すると、堰を切ったように、アメリカでの人種差別の問題を孕んだ警察の暴力に抗議する動きに触発されて、フランスでも同様の被害にあった問題についての抗議のデモが始まりました。

 それにつれて、同様の被害にあったという人たちが次々と名乗りをあげ始め、訴えを起こすケースが続き、昨日は、14歳の少年をはじめとする4家族が警察の不法逮捕と警察から受けた暴力への訴訟を始め、警察の暴力が公になり、暴力を受けた少年がテレビのインタビューに、ボコボコに殴られて、腫れた顔をさらして答えたことから、事は大きくなりました。

 その少年が暴力を受けた事件は、アメリカのジョージ・フロイドの事件で世間が騒いでいる時期に起こっており、どうにも、理解ができません。ある程度の権限を持った立場である警察官のマイノリティーに対する暴力は、やはり見過ごすことは、できません。

 今の時代、事件が起これば、どこかで誰かが必ず映像を残しており、次々と出てくる映像がすぐにSNSからマスコミに広がります。

 相手が未成年の少年であることもあり、騒ぎが大きくなれば、これでは、またデモが起こるのでは・・と思っていたところに、世間の反応を鎮めるつもりで、内務大臣・クリストフ・カスタナー氏が、記者会見で、警察官の職務権限等に対する見直しを行うと発言したところが、今度は、全国の警察官の反感を買い、全国規模での警察官による抗議運動が始まりました。

 フランス各地の警察で、警察官が並んで、次々に自分の前に手錠を捨てていくというパフォーマンスで自分たちの怒りと正義の訴えを始めました。

 このような芝居じみた?パフォーマンスと抗議は、フランス人のオハコとするところで、最後は、マルセイエーズ(フランス国歌)をみんなで歌いながら、志気を高めるというおきまりのコースです。

 国に抗議しつつも、マルセイエーズを歌うのは、あくまで、フランスは、こうではあってはならないという、それぞれが、それぞれの正義を掲げて、それぞれが、上から目線の愛国心の表れであることも、フランスらしいところです。

 特に、今の時期のデモは、控えてほしいけど、抗議はしつつも、その根底には、揺るがない愛国心があるっていいもんだな・・とも思います。デモは、人権に関わる権利であり、これを禁止する事はできません。フランス人にとって主張する事は、食事をするのと同じくらい当然のことなのです。

 決して、黙ってはいない、いつも誰かが何かを訴え、戦っている、デモの国・フランスが、ロックダウン解除とともに戻りつつあることを日々、感じています。

<関連>
「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

「日本人は、黙って我慢すると思われている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_4.html

 

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