2020年6月14日日曜日

ロックダウン解除とはいえ、またパリで1万5千人超えのデモ フランスは、なぜデモを止められないのか?


Image

 
 13日(土)、パリでは、1万5千人を超える人が、先日から続いている警察の暴力と人種差別に抗議するデモに参加しました。このデモは、前日から、すでに、午後2時半にリパブリック広場からオペラ座に向けての行進と見られており、近隣の店舗、レストラン、カフェなどは、危険回避のため、ロックダウン解除後に、せっかく再開し始めた店舗をこの日は、閉店することを余儀なくさせられました。

 最終的に、デモ隊は、リパブリック広場に集結し、2時間ほどの抗議集会が行われました。近隣の建物の上からは、「JUSTICE POUR LES VICTIMES DU RACISME ANTI-BLANC(反白人種差別の犠牲者のための正義)」と書かれた大きな垂れ幕が降ろされ、人々は、人種差別と警察の暴力について、訴えました。

 そもそも、前日からわかっているこのような集会が、10人以上の集会は、禁止とされている中で、なぜ止められないのかは、フランスの複雑な事情によるもので、10人以上の集会は、禁止できても、デモ(抗議活動)を禁止することができないのは、人々の口を塞ごう、抗議・意見を主張する機会を奪うと見なされ、それこそ人権問題に繋がるという厄介な問題なのです。

 ロックダウン解除直後にデモ禁止に反対するデモという厄介なデモも起こりましたが、マナーを守って?デモをする限りは、フランスでは、デモを完全に否定することはできないのです。


Image
警察のバリアにより立ち往生するデモ隊の人々







 
 結局のところ、警察がデモ、スタートの地点から、バリアを張り、デモの進行の妨害をしたことで、根気負けした人々は、リパブリック広場に到達する前に退散したので、当初の予測では、1万5千人から2万人と言われていた人出も、1万5千人程度でおさまりました。(おさまったという数字ではありませんが・・)

 夕刻になって、集会も終盤に近づいた頃、デモが緊迫した状態に達し、迫撃砲や投射物を投げ始めた段階で、警察もそれに反撃して、催涙ガスを発砲し始め、デモ隊が暴れ始めたことを機に、警察が一気にデモ隊を解散に追い込み、パリのリパブリック広場でのデモは、思っていたよりも早く?に収束しました。

 通常のデモ?は、夕刻になって、薄暗くなる頃から、デモ隊が興奮し始めて、ゴミ箱を燃やしたり、周囲の店を壊したりの凶暴な行動に発展するのですが、今回の場合、暗くなり始める前に、一気に収束に向かったのは、むしろ、警察側がデモ隊が騒ぎ出すのを待って沈静化したという、ある意味、デモを禁止できない警察側の作戦であったのかもしれません。結果、このデモでは、26人が逮捕されています。

 ちなみに、このデモは、パリだけでなく、リヨン、マルセイユなどの地方都市でも同日に起こっています。

 とはいえ、今は、コロナウィルスの危険もまだ残る状態であり、このようなデモによる感染拡大の危険は、常に存在しているのです。このデモを見ていた医療従事者が、「コロナウィルスによって、どれだけの人が犠牲になり、どれだけ苦しんできたか、忘れないでほしい、まだ、ウィルスは、消えてない!」と叫ぶように訴えていました。

 フランスは、多くの犠牲を強いてロックダウンをして、感染を抑えてきたのです。人種差別や警察の暴力について訴えたい気持ちは理解できますが、未だ、色々な制限下にある生活をしている状況での数万人規模のデモは、どう考えても、コロナウィルスによる犠牲者を増やすことに繋がっているとしか思えないのです。

 それにしても、こう激しやすい人々をロックダウンできたということは、大変なことだったんだな・・と改めて、思わせられます。


<関連>「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html
 








 




0 コメント: