2020年6月13日土曜日

フランス人のこだわり


réussir la cuisson de son entrecôte de bœuf et de ses grillades


 半分、フランス人なのに、フランス料理が苦手な娘のおかげで、我が家は、あまり、外食というものをしません。だいたい、パリの外食は、日本のように、「ワンコインでランチ」なんていうわけには行かず、10ユーロ以下で食事をできるレストランは、ほとんどありません。

 それでも、フランス人にとって、カフェやレストランは、とても大切なもので、必ずしも大したお料理ではなくとも?フランス人は、好んで外食をします。外食は、単に食べるということだけでなく、人と会って、話すということでもあるからです。

 しかし、だからと言って、フランス人が何でもいいから、外食するというのも少し違います。最近は、健康志向からか? カフェのランチなどでもサラダを食べている人が多くなりましたが、一般の庶民的?なカフェでは、メニューも、どこも似たり寄ったりです。

 簡単な、クロックムッシュやサラダ、オムレツ、ステークフリット(ステーキとフライドポテト)、ローストチキンなどなど、ごくごくシンプルなものでも10ユーロを下ることはなく、ということは、ちょっとしたランチでも12ユーロから15ユーロは、かかるので、少なくとも1500円から2000円近く、かかるということです。

 ですから、特別に行ってみたいレストランとか、たまには、ゆったりした気分を味わいたいとか、友人と会って一緒に食事をするとか、そんなことでもなければ、我が家は、あまり外食をしないのです。つましい生活です。

 その代わりと言っては何ですが、たいていのものは、家で工夫して作ります。そして、これ、「外で食べたら、いくらだろう?」などと言いながら、自己満足に浸ります。我が家は、和食?に偏りがちなので、当然、外食すれば、高くつくのですが、それを家で食材を工夫したりして作って、何だか、安上がりになった気がして、満足するのです。

 今日のお昼に、家にあったインスタントラーメンと野菜をたくさん使ってタンメンのようなものを作ったのです。ただのインスタントラーメンですが、たくさんの野菜からもいい味が出て、ガーリックパウダーや胡椒などを効かせて、我ながら、なかなか良いお味に仕上がったのです。そして、いつもの「これ、外で食べたら、いくらだろう?」を始めたのです。

 しかし、あっさりと娘は、「これは、ダメ!インスタントだから、いくら美味しくても、売れないよ!」と言うのです。そうなんです。フランス人は、ファーストフードなどは、別として、どんなにシンプルなものでも、インスタント食品には、お金を出したがりません。まあ、当然といえば、当然ですが、彼らの日常の食事のレベルを考えるとちょっと意外なこだわりでもあります。

 フランス人は、外食の場合、それが手作りであることにこだわります。フランス人に関わらず、誰でも、それなりのこだわりは、ありますが、時々、??と思うことにも、彼らは、こだわります。「手作りのもの」というこだわりにしても、例えば、パリのラーメン屋さんなどでも、しつこく、この麺は、手作りの麺なのか?と店員さんに確認している人を見かけます。まさか、ラーメン屋さんで、インスタントの麺を使っているところはないと思いますが、それでも、しつこく確認するところに彼らの手作りへのこだわりを感じます。

 だからと言って、彼らがインスタント食品を全く食べないわけではありません。むしろ、彼らは、日常では、日本人のように手間暇かけて、何品も食事の支度をしたりはしませんし、冷凍食品やチルド食品もよく利用しています。ただ、外食に関しては、それを許容しません。

 手作り以外にも、フランス人がこだわりを持っていることがあります。それは、缶ビールをどこか、下に見ていることです。若い男の子などでも、大きな顔をして、「缶ビールなんて、飲んでるの?」なんて、偉そうに言う子もいます。まだ、そんなにお酒の味をわかっていなさそうな若い子がそう言うのは、おそらく、彼の家庭で、両親がそんなようなことを言って、瓶ビールにこだわっているのでしょう。しかし、実際のところは、若者は、安い缶ビールを飲んでいるのですが・・。

 考えてみれば、フランス人は、こだわりを持つことを美徳とするようなところがあります。そして、また、それについて、とうとうと語ります。他人には、理解しがたいこだわりであっても、それぞれが自分のこだわりを大切にしています。そして、それは、時にかなり頑固で頑なでさえあり、苦笑させられることもしばしばです。

 でも、そんなこだわりへの必死さも、一歩ひいて眺めてみれば、ちょっと可愛い気もするのです。



<関連>「パリのランチ・お弁当、外食、日本食事情」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_3.html



 

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