2020年6月25日木曜日

FAUCHON(フォション・パリ)破産申請 コロナの経済打撃は、パリの老舗にも・・





 パリの老舗である高級食料品店「FAUCHON」フォションは、裁判所に破産申請を提出しました。本社と、パリのマドレーヌ広場にある3つのパリの店舗(ブランドの象徴であり、130年以上にわたってブランドを象徴するもの)とオテルフォション(ホテル)のティールームがこれに該当します。(ホテル自体は、別経営)

 フォションは、日本では、紅茶やジャム、パンや焼き菓子などで有名ですが、パリの店舗では、むしろ、デリカテッセンや、フォアグラやトリュフ、生ハムのような高級食材、ワイン、チーズ、ケーキ、香辛料、チョコレートなど広範囲にわたる食材を扱う高級食料品店で、娘が小さい頃に、日本でフォションのお店を見つけて、日本には、フォションのパン屋さんがあるんだ・・と驚いていたことがありました。

 黒とピンクを使った独特なフォションの店舗の外観は、マドレーヌ界隈でも、一際目立つ存在でした。

 同じくフォションと目と鼻の先にあった競合店(同じく高級食料品店「HEDIARD」エディアールは、2013年の段階で、破産申請が行われており(現在は、オンラインショップと海外店舗の運営)、その時点では、フォションだけが生き残ったように思われていたのですが、実際の経営は、パリの店舗での売り上げは、全体の10%にも満たない状態で、経営危機に瀕していたのです。

 以前は、日本からの観光客もパリに来れば、フォションの紅茶(特にアップルティー)を買い漁っていた時期もあり、パリの街中ではよく、観光客がフォションの目立つ紙袋を持って歩く姿を見かけましたが、今や、パリで紅茶を探すといえば、Mariage Frères マリアージュフレールか最近は、KUSMI TEA(クスミティー)で、観光客の客足も激減していました。

 追い打ちをかけるように、2015年のテロ、2018年〜2019年にかけての黄色いベスト運動や年金改革反対の暴力的なデモ、そして、昨年末から今年にかけての大規模な交通機関のストライキ、そして、コロナウィルスのためのロックダウン。

 マドレーヌ界隈は、黄色いベストなどのデモが暴徒化した際の通り道でもあり、被害は、甚大であったと思います。

 134年も続いた老舗フォションの破産申請には、多くの人が驚き、ショックを受けていますが、実際に、私にとっては、ここ数年のフォションは、派手なパッケージとブランドばかりが鼻につく、やたらと高いわりには、大したことない(失礼!)印象がありました。それでも、マドレーヌ界隈に行けば、時には、店内をのぞいてみたりしていましたが、一昨年のノエルの際には、結構な値段のキャビアやスモークサーモンを値段も見ずに買っている年配の男性などを見かけてびっくりしたのを覚えています。

 しかし、考えてみれば、私がたま〜に買う高級食料品?である生ハムやチーズ、チョコレートなどもフォションのような高級食料品のデパートのようなお店で買うことはなく、それぞれ別の好みのお店で購入するのです。その場で焼いている焼き菓子や紅茶やジャムなどを別にすれば、フォションの商品は、パッケージがフォションなのであって、名前で売っているようなもので、当然、その分、値段は上がり、品質も安定しないこともあり、客足は、遠のきます。

 必ずしも関係はないかもしれませんが、以前、頂き物のフォションのボジョレーヌーボーのコルクがプラスチックだったことに驚いたことがあります。ボジョレーヌーボーは、もともと安いワインですが、それにしても、フォションのような老舗がプラスチックのコルクのワインにフォションのラベルを貼って売っていることに、とてもガッカリしたことがあります。(これは、私の勝手な印象で、プラスチックのコルクがそんなに悪いものではないのかもしれませんが・・)

 今回のフォションの破産申請は、再建型破産申請で、これから再建のための措置がとられ、一先ず、130名の従業員がその対象になるとのことですが、マドレーヌのお店が全く消えてしまうのか? なくなるとなると、色々、文句を言いつつも、やはり、マドレーヌ界隈が寂しく感じられるようなパリの街の一部であるようなフォションのお店です。

 フォションのようなお店でも、こんなことが起こるのですから、どれだけ、コロナによる経済危機が大変なことなのかを、日々、感じます。ロックダウンが解除になって、営業できるはずのお店が閉店したままだったり、開店したかと思えば、閉店セールをしていたり、あれだけ、テラスだけでなく、店内での営業許可を求めていたカフェやレストランの客足も今ひとつだったり・・。

 これがいつまで続くのか、長引けば長引くほど、経済は、停滞していきます。ごくごく、あたりまえだった日常が失われていきます。

 ちなみに、フォション・ジャパンは、存続するそうです。


<関連>「ロックダウンによる業績悪化・ルノー15000人削減・モブージュで従業員数千名による大規模デモ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/15000.htm


















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