2019年6月26日水曜日

国際結婚の夫婦喧嘩





 国際カップルの家庭は、どちらの言語で会話しているのでしょうか?
 
 私と主人は、日本で出会ったので、その頃から、基本、英語で会話していました。
そして、その後、アフリカに転勤になり、私がフランス語の勉強を始めてからは、フランス語も少しずつ混ざるようになりました。

 そして、娘が生まれてからは、さらに複雑になり、娘は私とは、日本語、パパとは、フランス語、主人と私は、英語。基本、娘は、フランスの学校に行っているので、フランス語は良しとして、娘の日本語、英語の習得を基本に考えていました。
 
 ですから、5〜6才の頃からは、私と主人の英語での会話にも、娘はフランス語で参加するようになっていました。最初は、娘には聞かれたくない話をする時には英語にしていたのですが、すっかりわかるようになってしまったのです。反面、パパに聞かれたくない話は、娘とは日本語でしていましたが、主人は結局、大して、わかるようにはなりませんでしたが・・。
 こんな具合でしたので、しまいには、一体、自分が何語で話していたのか、わからなくなることもありました。

 主人は、転勤で、日本に4〜5年住んでいましたが、仕事上は、ほぼ、英語かフランス語で済ませることができていたので、ほとんど日本語が必要ではなかったため、日常の最低限の日本語が少しわかるくらいでした。そんな感じだったので、フランスに戻って、主人の日本語はいよいよ危ういものになっていきました。
 娘を朝、学校に送って行ってくれるのは、パパでしたが、ある朝、二人でアパートの玄関を出るのを見送る私に、二人揃って、大きな声で、”いっただっきまーす!” と元気に大声で挨拶してくれた時には、思いっきり、ズッコけたものでした。

 しかし、これが夫婦喧嘩になると、また、話は違います。
 
 もともと、私は、どういうわけか、日本語で話す時よりも、英語やフランス語で話す方が口調がきつくなりがちで、これは、やはりその言語を使う国での生活の仕方や国民性にも関係があるのだと思うのです。(欧米では、物事はハッキリ言わないと暮らしていけないし、逆に日本では、あまり、ハッキリ言うことがはばかられるような風潮もありますよね。)

 まあ、単に私の語学力が圧倒的に日本語 対 英語・フランス語となると、語彙力から何から格段の差がありますから・・どうしても少ない語彙力で話すとストレートになりがちなのかもしれませんが・・・。

 そんなわけで、いつの間にか、私たちの喧嘩は、それぞれの母国語で言い合うことになっていきました。怒ると思わず辛辣な言葉で相手を傷つけてしまうこともありますよね。そのうち、私は、喧嘩する時は、日本語で、主人は、フランス語になるようになっていきました。結局は、お互いが言いたいことを言い合っても、ちっとも相手の話を聞いていない・・というか、理解できない・・だから、相手を傷つけない、傷つかない。だからこそ、私たちは、別れずに済んできたのかもしれません。

 もちろん、話し合いが必要な時には、冷静に話しますが、喧嘩の時は、お互いが怒っているということがわかれば、お互いに、言いたいことを言って、一晩寝たら、スッキリする。翌日には、持ち越さない。

 だいたい、私たちの夫婦喧嘩なんて、大した原因でもないのです。後になったら、何が原因だったか思い出せないことさえあります。

 芯のところで、しっかり、繋がっていれば、それで良いのです。相手を深く傷つけることもなければ、傷つくこともありません。私は、口数は多い方ではありませんが、どうにも日本語だと、一言で、相手を刺すようなことを言ってしまいそうな気がするのです。その点では、相手が日本人でなくて良かったのかもしれません。

 しかし、気の毒なのは、娘です。私たちは、興奮して、言いたいことを言ってスッキリするのですが、それを側で聞いている娘だけが、冷静に、日本語もフランス語も完全に理解して聞いているのですから・・。

 後日、娘は私に言うのです。”パパもママも全然、違うこと言ってるんだよ!”と。
ハーフに生まれ育った娘の苦労はこんなところにもあるのです。

 反省。