2020年12月30日水曜日

フランスはどこまで甘いのか? 年越しに関する制限は、現状どおり

  


 昨日、コロナウィルス感染拡大に関する防衛評議会がエリゼ宮で開かれると聞いていたので、私は、微かな期待をしていました。

 目前に控えた大晦日、年越しの日への何らかの対策を発表してくれると思っていたからです。

 その日の夜のニュース番組に出演した保健相オリヴィエ・ヴェランの回答は、全く失望するものでした。

 「現在のところ、フランスの感染状況の数字は、横這い状態であるため、現在のところは、ロックダウンもその他の行動に関する制限に関する変更もしない」とのことでした。

 現在、フランスで、特に感染拡大が深刻になっているのは、グラン・テスト、オーヴェルヌ・ローヌ・アルプ、ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ、アルプの4地域です。これらの地域を中心に、20の地域での、1月2日からの夜間外出制限を現在の20時から18時にすることを検討中だそうです。

 それが、なぜ?1月2日からなのか? 今、差し迫って大問題なのは、皆が行おうとしている大晦日の年越しのパーティーなのです。

 これに対して、科学評議会は、この年末年始の人の集まる行事(ノエル、年越し)の後、1月には、フランスの感染状態がコントロール不可能な状態に陥ることを警告しています。

 オリヴィエ・ヴェラン保健相は、ノエルの前のPCR検査もフランスでは、ヨーロッパの中でも最も検査数が多く、皆、充分に気をつけて、ノエルを過ごしたと思う。今後の対応は、あくまで、その時の感染状況に対しての対応をすると話していました。

 しかし、これでは、まるで、感染状態が悪化するまで待っている、第3波が完全に波に乗るのを待っているということで、波に乗ってしまってからでは、遅いことを、第1波、第2波を過ぎ、6万4千人以上の犠牲者を出している今でも学んでいません。

 特に大晦日、年越しに関しては、ノエルが家族での集まりがメインであったのに比べて、友人同士というさらに広範囲の歯止めの効かない集まりで、若者たちの多くは、当然の権利のように、年越しパーティーを行うことを憚らずに公言しているのです。

 「若者は安全だ」という神話が、今となっては、仇となっています。確かに重症化するリスクは低いかもしれませんが、自分が感染を撒き散らして、人の命を奪うことに加担していることを想像できないことは、悲しいことです。

 ノエルを過ごすことは許可したのだから、もう一つの年末の行事くらい我慢してもいいではありませんか!

 せめて、この日、1日だけでも厳しく制限することで、どれだけの感染が防げるかと思うと残念でなりません。

 国民が国内大移動をして、ノエルを家族と過ごした結果はまだ出ていないのです。

 気温の下がっているこの時期に、大勢の人が行き交い、感染状態が悪化していない理由は、一つもありません。

 実際にイギリスでの感染拡大が深刻化し、多くの国が警戒体制を取っている中、この上、年越しを20時以降の外出禁止だけで、済ませようとしているフランス政府が私には、全く理解できません。


<関連>

「心配の種は尽きないフランス ノエルの後は、年越し」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_27.html

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