2020年12月13日日曜日

驚異的な数の警察・治安部隊を配置してでもデモをする権利を守るフランス

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 金曜日の夜に、翌日のデモを知らせる通知が来て、「またか・・まだやるのか・・」とうんざりしていました。先週、先々週と続いて、パリ市内のデモは暴徒化し(デモ自体が暴徒化したというよりも、デモに乗じて暴れる集団・ブラックブロックの犯行)、多くのものが燃やされたり、破壊され、街がめちゃくちゃにされたからです。

 この前歴があるにも関わらず、まだ、デモを許可するのか?とちょっと呆れた気持ちになったのです。

 ところが、今回のデモには、一般の警察、憲兵隊だけではなく、先週までの3倍近い数のBRAV(Brigades de répression des actions violentes)(暴力行動抑止団)やCRS(Compagnies républicaines de sécurité)が動員されていました。

 デモの際に、これほどの驚異的な数の治安部隊が登場することは、珍しいことで、デモ開始時のシャトレ近辺の街路は、ギッシリと治安部隊でガードされていました。

 これらの治安部隊は、ポイントごとに武器が行列に持ち込まれることを防ぐために、デモ参加者の持ち物チェックを実施し、DIYツールなどの武器になりうる持ち物が多数、押収されました。

 結果、デモ開始後、1時間以内には、すでに81人が逮捕され、午後7時には、合計142人が逮捕されました。

 それでも、いくつかの暴力行為に走る人と治安部隊との間に衝突が起こり、放水車などが出動したりしていますが、先週までのような街が破壊されるような事態には、発展しませんでした。

 最終的にデモ隊の行列は、治安部隊にガードされる形で進み、最終目的地に辿り着いた時には、警察車両のブルーの回転灯がレピュブリック広場を囲む異様な光景になりました。

 今のフランスは、そこまでしないと暴力を抑えられないことも、深刻ですが、ここまでしてでもデモをする権利を守ろうとすることにも驚かされます。

 一日の終わりのニュースでは、デモ隊が訴えている内容ではなく、「今日のデモは、警察の勝利で終わりました」と報道していることに、勝ち負け? 何と戦っているのだろうか?と、ちょっと微妙な気持ちになりました。

 しかし、とりあえずは、今回は、警察、治安部隊の作戦勝ちのような形、まだまだノエルのバカンスに入るまでには、土曜日がもう一回あるので、この戦い?は、続くと思われます。

 デモは、パリだけでなく、リール、モンペリエ、ボルドー、ディジョン、リヨンなどフランス全土で起こっています。今回のパリの厳重な警戒により、このブラックブロックの集団が主な標的をパリ以外の都市に変更することも充分に考えられます。大規模な治安部隊を全国規模に拡大する必要が出てくるかもしれません。

 それにしても、そこまでしてでも物申す権利を守るフランスにもなかなか底知れぬものを感じるのです。


<関連>

「フランス人のプライド」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

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