2021年4月4日日曜日

フランス人にとってのロックダウンの意味

     


 今回のフランスの学校閉鎖を伴う3回目のロックダウン強化がマクロン大統領から発表されたのは、水曜日の夜だったので、ここのところ、その手の規制強化の発表は、木曜日の夜で、金曜の夜から週末に入る前のタイミングで、規制が切り替わるようになっていたところ、1日繰り上げての発表だったので、この現在の急激な感染悪化に1日でも早く対応しなければならない緊急性を持ったものであると思っていました。

 マクロン大統領の発表の時点では、学校が閉鎖になる日程は、発表されていたものの、具体的な長距離移動が禁止になる日付は曖昧で、蓋を開けてみると、実際のイースターの祝日前の週末までは、結果的に長距離移動がギリギリ認められるというものでした。

 学校が閉鎖になる前に、リモートワークが不可能な親や、リモートワークとはいえ、子供を抱えながらの仕事が難しい家庭では、子供を地方に住んでいる両親(ワクチン接種が済んでいる場合)に預ける家族が子供を預けに行くというケースもあり得るので、このような日程になったことも理解できないわけではありません。

 また、リモートワークなら、狭いパリのアパートではなく、地方にあるセカンドハウスや実家に移動する人も少なくありません。

 しかし、実際には、ロックダウンで長距離移動ができなくなる前に、この祝日を含んだ連休の間に最後の機会をなんとか満喫しようと移動する人も多く、ロックダウンになるということは、ロックダウン直前までの猶予期間に、その後に禁止されることをできるだけ楽しもうとする、ロックダウンの意味をはき違えている逆効果の現象がロックダウン前には必ず起こります。

 実際にこの週末にはパリジャンの4分の1が地方に移動したと言われています。それだけ、ウィルスが全国規模にばら撒かれたと言うことです。

 今回のロックダウンは、地域的なものになると思いきや、比較的、危険度がそこまで高くないと思われていた地域まで、営業停止になってしまう店舗を含めて、全国的には、15万店舗がロックダウンのためにクローズ。

 危険地域ではなかった地域の生活必需品とは認められない服飾関係、アクセサリーなどのファッション業界なども、まさか営業停止になるとは思わずに、春夏物の仕入れをすでに済ませてしまっている店舗などは、大打撃を受けることになり、本当に泣きながらインタビューに答えていました。

 そこまでの犠牲を強いてまで行われるロックダウンの悲劇に嘆く人がいる一方で、ロックダウンになる寸前まで、バカンスを楽しもうとする人多くの人が国内を移動し、この週末のうちにウィルスは、国内全域にばら撒かれた感があります。

 また、若者の間では、未だレストランやカフェなどが営業されているスペインへ出かけるのが流行?しており、 フランスでは失われている日常を満喫しています。

 多くの店舗を閉店に追い込む制限をする一方、バカンス時期の移動はギリギリのタイミングまで許可し、実際の日常生活も10㎞以内の移動は、これまでと変わらずの甘々の対応で、「昨年のロックダウンのようには、もうこれ以上は、耐えられない」と言う国民を甘やかし、現在のフランスの感染状況は、天井知らずです。

 だいたい、「もうこれ以上は耐えられない」という意味がわかりません。今は、制限のある生活をしなければ、犠牲者が雪だるま式に増えていくのです。

 しかも、昨年の今頃とは違い、ワクチンができた以上、いくらワクチン接種が遅れているとはいえ、ある程度は、先が見えている状態なのです。このワクチン接種が浸透するまでのもう少しの状況を耐えなければ、この状況が長引くばかりなのです。

 フランス人にとって、ロックダウンは、ロックダウンまでの猶予期間をいかに楽しむか?(結果的には、そのタイミングでさらに感染が拡大する)、ロックダウンになったら、その規制の隙間をついて、いかに楽しむか?です。実際は、ロックダウンしなければならないほど、危険な状態であるということなのに・・。

 しかし、より厳しい規制になるところなのですが、パンデミック以来、1年以上が経過した今、フランス政府は、国民の反発を恐れて、より厳しい制限さえもできなくなっている情けない状態なのです。

 唯一の希望は、4月に入って、マルセイユやパリ近郊の大きなスタジアムを使って大規模なワクチン接種が開始されたことで、これが、せめてもの救いです。

 昨年の今頃は、パリ近郊にあるランジス市場が遺体安置場に使われていたことを思えば、今年は、スタジアムがワクチン接種場になっているのですから、すごい進歩です。

 フランスでは、もはや中途半端なロックダウンの結果を期待するよりも、充分なワクチンが1日も早く届いて、ワクチン接種が進むことを祈るしか無いような気がします。


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