バゲットコンクール・グランプリを獲得したお店はいたって普通のパン屋さん |
毎年、パリでは、バゲットコンクール(Le Grand Prix de la baguette de tradition française)が開催され、その年の最高のバゲットが選ばれ、グランプリ・優勝したバゲットを作るパン屋さんは、賞金4,000ユーロを獲得し、その年、一年間、そのバゲットはエリゼ宮御用達のバゲットとなります。
パリ市によって行われるこのバゲットコンクールは今年で28回目を迎えます。
Makram Akrout, fils de boulanger, gagne le concours de la "meilleure baguette de Paris" #AFP #AFPTV pic.twitter.com/eaIpiKvAL6
— Agence France-Presse (@afpfr) September 25, 2021
このコンクールに出品されるバゲットは、サイズは55〜70 cm、重さは250〜300グラム、塩分は小麦粉1キロあたり18グラムという厳しい規定をクリアしていなければならず、その上で、味、香り、焼き上がりの外観など総合的に判断されます。
厳しい審査のために、今年は、測定、計量、塩分チェックの段階で、54本のバゲットが審査から省かれてしまったそうです。
そして、今年、出品された173点のバゲットの中から、見事、グランプリを勝ち取ったのは、パリ12区で Les boulangers de Reuillyを営む42歳のパン職人でした。
彼は、審査の結果の報告を受けて、「最初は、冗談かと思った・・信じられなかった・・しかし、父も私もずっとパン作りをしてきた。この結果を非常に誇りに思っている」と語っています。
これまでにコンクールでグランプリを獲得したパン屋さんには、「〇〇年のバゲットコンクールグランプリ獲得」というパネルが掲げられ、その店舗の栄誉をその後、何年にもわたって、誇りにしています。
パリに来て以来、さすがにパンを食べる機会が格段に増え、その中でもバゲットは、フランス人の主食と言って良いほどの存在で、さすがに美味しいものも多く、フランスで、一番簡単で、手軽で、美味しいものは、パンとバター、チーズ・・だと思っている私にとって、その年のグランプリを取ったバゲットを見過ごすわけにはいきません。
昨日、グランプリを取り立てホヤホヤのそのパン屋さんに、さっそく、そのバゲットを買いに行ってきました。
近くまで行って、「あれ?たしか、この近所に数年前にバゲットコンクールでグランプリを取ったパン屋さんがあったはず・・」と思いつつ、今年のグランプリを取ったお店を見つけましたが、それは、あまりに普通のお店で、まだコンクールでグランプリを取ったことも何も表示されておらず、ごくごく普通の風情で逆にそのことに驚いたくらいでした。
お昼時だったためか、特にグランプリを取ったからと言って私のように野次馬根性で訪れている感じの人も見当たらず、周囲のお客さんたちは、普通にサンドイッチやパン・オ・ショコラなどを買っているので、なんだか、「ホントにここ??」と何度もお店の名前を確認してしまったほどです。
しかし、それが特別きらびやかなお店でもなく、ごくごく普通のどこにでもありそうなパン屋さんであったことは、逆に好印象で、その、今年のフランスのバゲット界の栄誉に輝いたバゲットを買うときも、「これが、グランプリを取ったバゲットなの?」と確認すると、「ちょっと恥ずかしそうに、「そうですよ!」と微笑むお姉さんに、「まぁ、おめでとうございます!」と言うと、嬉しそうに「ありがとうございます!」と顔を赤らめて答えるあたり、その素朴な感じがますます微笑ましい感じでした。
グランプリを獲得したそのお店のバゲット・トラディショナルは、1本1.2ユーロ(約150円)で、わりと大ぶりで、何よりも、受け取った時から、その香りの良さは、家に帰るまで食べるのを我慢するのが苦しい感じでした。
見事、今年のグランプリに輝いたバゲット・トラディショナル |
焼きたてのバゲットの程よく焼けた部分と適度に空気を含み、中は絶妙なしっとり具合とモチっとした感じは、さすがに絶品のバゲットでした。
あえてナイフを使わずちぎったバゲットの断面 |
個人的には、塩分がもう少しあっても良いかとも思いましたが、とりあえず、今年最高のバゲットをさっそく食べることができて、大満足でした。
日本ではフランスパンとまで呼ばれるバゲットは、フランスの伝統的な食文化の代表選手でもあり、その文化を競い合わせ、毎年毎年、最高のバゲットに称号を与えることは、フランスの伝統文化の継承に大きく寄与しています。
日本にもしも、このようなコンクールがあったなら、マスコミが囃し立てて、大変な騒ぎになっていそうなところ、静かにいつもどおりに営業しているパン屋さんに、かえって地に足がついた奥深さをしみじみと感じたお店の雰囲気と同じの素朴な味のバゲットでした。
⭐️Les Boulangers de Reuilly
54 Boulvard de Reuilly 75012 Paris 月〜土 6:00~21:00 日曜休み
メトロ6号線 Bel-Air または、Dugommier
パリ 2021年バゲットコンクール
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