2021年9月3日金曜日

フランスの学校の新年度の始まり フランスの新学期手当とワクチン接種と唾液検査

   


 約2ヶ月間の長い夏のバカンスも終わり、フランスの学校の新学期が2日(木)から始まりました。毎年、カレンダーにもよりますが、なぜか木曜日スタートが多いというのも、フランスの不思議なところでもあります。

 9月の新学期は、フランスでは新年度の始まりでもあり、子供を持つ親には、9月は何かと忙しい月でもあります。

 入学式や始業式などの学校でのセレモニーはなく、しれ〜っと始まるのですが、そのしれ〜っと始まる新年度の前には、学校から、必要なものを揃えるようにと毎年毎年、前もって細かいリストが送られてきます。

 教科ごとに必要なノート類(サイズから、様式、ページ数まで指定)、画用紙、筆記用具(ボールペンの色や時にはメーカーまで指定)、定規や電卓(年齢ごとに変わっていく)などなど、なかなか細かくて、フランスの学校に通ったことのなかった私にとっては、最初は見慣れない文房具、ノート類などの学用品を揃えるのは、なかなか厄介なことでした。

 これだけ、同じものを揃えるなら、いっそのこと学校で纏めて揃えてくれればいいものを学校の先生は、子供に勉強を教えることだけ・・というフランスでは、一切の余計な業務は請け負わないのです。

 それでも、業者が介入して、一切を取り仕切れば、なかなかのビジネスチャンスだとも思ったりもするのですが、不思議なことに、そんな習慣はあまり変わることがなく、夏休みが始まるとともに、スーパーマーケットには、新年度のための文房具などの学用品のコーナーができます。まあ、これもフランスの夏から秋にかけての風物詩のようなものでもあります。



 そして、学校が始まり、教科書をもらってくると、教科書は1年が終わると返還しなければならないため、教科書一冊一冊にカバーをかけるのもフランスならではです。(汚したり、破いたり、失くしたりした場合は弁償させられます)合理的と言えば、合理的なフランス、日本などは、海外に住んでいても申請しておくと、日本人の子供ならば、毎年、新しい教科書をもらうことができるので、国によって、ずいぶん違うものだ・・と思います。

 この新年度の準備のために、フランス政府からは、1人でも子供のいる家庭には、新学期手当( L'allocation de rentrée scolaire (ARS))が支払われます。

 2021年は、6〜10歳の子供1人あたり370.31ユーロ(約48,000円)、11〜14歳の子供1人あたり390.74ユーロ(約51,000円)、15〜18歳の子供1人あたり404.28ユーロ(約52,500円)が8月末に支払われます。

 このお金は、子供のための援助金ではありますが、安くあげようと思えば、安く済んでしまうものでもあり、子供にあまりお金をかけない子供がたくさんいる家庭などには、ちょっとしたボーナスのようになっていて、その使途について、問題視する向きもないわけではありませんが、細かいチェックは難しいのが現状です。

 この時期には、学校だけでなく、学校以外のお稽古事などのアクティビティの申し込みも一斉に行われるため、なかなかな出費の多い月でもあるため、大変、ありがたい制度でした。(結局、これだけではとても足りないのが普通?ですが・・)

 このお稽古事などの申し込みは、一年間を通してのものなので、パンデミック以来、「ロックダウンなどになった場合でも返金はしない」などの項目が追加されたりしています。

 昨年の秋には再び感染爆発を起こしたフランスでは、学校の衛生対策にも特別に気を配らなければないところですが、9月からの学校の授業では、もしも感染者がクラスに出た場合でも、ワクチン接種をしている子供は授業をそのまま続けることができ、ワクチン未接種の子供に関しては、当面の隔離、リモート授業に切り替わることが決定しています。

 同じクラスの中でもワクチン接種をしている子供としていない子供で、隔離措置が違ってくるわけです。致し方ないことでもありますが、なんだかここでもクラス内で不穏な空気が流れそうで、なかなか微妙ではあります。

 また、学校では、週60万回の唾液検査が実施されることになっていると同時に12歳以上のワクチン接種が可能な年齢の子供たちに対してのワクチン接種(両親の同意書が必要)の強化、学校単位でのワクチン接種なども検討されています。

 ヘルスパスの適用範囲が広がる中、教師は、ヘルスパスの提示は必要でも、ワクチン接種が義務化されている職業ではありません。世論調査によると国民の74%は、「教師もワクチン接種を義務化するべき」と感じているという結果が出ています。

 しかし、現在のフランスでは、子供を持つ親にとっても、学校再開は、それほど神経質に危険視されてはおらず、すでにヘルスパスの起用により、ほぼ日常生活が戻っている事情が反映されています。

 とはいえ、特にワクチン接種ができない12歳以下の子供などは、引き続き、心配な要素が多いことも現実です。

 フランスでの次の学校のバカンスの休みは10月23日から、(Vacances de la Toussaint ・万聖節・ハロウィン)です。それまでの2ヶ月弱、無事に学校生活が落ち着いてスタートしますように・・。


フランス新年度手当 


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