2021年9月26日日曜日

11週目のヘルスパス反対デモ・動員数大幅減少 

   


 ヘルスパス反対のデモは、11週目を迎え、未だ続いているものの、動員数は、内務省の発表によれば、63,700人と大幅に減少しています。

 ヘルスパスの起用が発表されたのが7月12日、ヘルスパス(ワクチン接種2回摂取済証明書、72時間以内のPCR検査の陰性証明書、6ヶ月以内のコロナウィルス感染証明書)がないと身動きが取れなくなるような、限りなくワクチン接種義務化に近いような内容に、国民は、慌ててワクチン接種に走り、また政府の強制的なやり方に反発を感じた人々は、バカンス期間中にも関わらず、異例のデモが始まりました。

 一時は、21万人を超える全国的な規模の(8月7日がピークだった・・)デモの拡大に、これは、皆がバカンスから戻ってきたら、デモは一体、どれほどのものになってしまうのかと思いきや、8月中にワクチン接種率が急激に上がり、それにつれてウィルスの感染率もみるみる低下を始め、ヘルスパスの結果が表れ始めるにつれ、デモは毎週、続いているものの、動員数は、少しずつ減少していきました。

 結果的に、当初、反対していた人々も「背に腹はかえられない」というのが正直なところで、実際に結果が出始め、ほぼ日常の生活を取り戻し始めると、ヘルスパスに反対する理由がなくなってしまったのです。

 結果として、人々が望んでいたのは、ヘルスパス云々以上に、コロナ前の日常を感染者を増やすことなく取り戻すことで、それが達成されつつある以上、このヘルスパスを認めざるを得ないことになったのです。

 2回のワクチン接種の間には、一定期間をおかなければならないので、その間は、PCR検査を受けることで、なんとかヘルスパスを保持することも可能だったわけですが、現時点では、国民の83.2%がワクチン接種済みで、それさえも必要なくなってきたわけです。

 このヘルスパスが実際に起用されてからは、年齢による猶予期間を設けることや職域にわたるヘルスパスの義務化に猶予期間が設けられ、また、9月半ばには、医療従事者のワクチン接種の義務化という、いくつかのハードルがあったわけですが、その度に、「もしかしたら、デモがヒートアップするかもしれない・・」という心配をよそに、それでも、ワクチン接種率は順調に上昇し、逆にデモは、縮小していく結果となりました。

 この後、10月半ばには、PCR検査の有料化というハードルが待っていますが、今となっては、ほぼヘルスパスのためにPCR検査を受け続けている人はごく少数で、しかも事情があってワクチン接種を受けること(アレルギー等で)ができない人や、実際に自覚症状が見られる人などに対しては、医者の処方箋があれば、これまでどおり検査は無料で受けることができるため、大した反発を生むとは考え難い状況です。

 フランスでのヘルスパスは、国民をワクチン接種に向かわせるためのものであったと同時に、実際に人の集まる場所や飲食店等での感染回避の役割も果たしていたわけで、この一筋縄ではいかないフランス国民をよくもここまで導き、結果を出したと感心するばかりです。

 ヘルスパスの制度は、スタートしてから、その適用範囲の増減など若干の修正を加えながら進められてきましたが、今後は、さらにコロナ前の日常に近づける方向に向けて、修正されていくものと思われます。

 ワクチン接種率が8割を超えた現在は、大規模なワクチン接種場も閉鎖されていく見通しです。

 今後の問題は、2回のワクチンの有効性が下がり始めるという時期の見定めと3回目のワクチン接種に関してですが、悲観的に考えれば、6ヶ月間程度と見られているワクチン接種の有効性が下がり始める時期が、大多数の人がワクチン接種を受けた7月〜8月の半年後、真冬のウィルスが一番活発化する時期と重なることです。

 しかし、これまでの、時には、かなり強引でもあった経験を踏まえて、臨機応変に対応していってくれるのではないかと思っています。


フランス ヘルスパス反対デモ


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