2022年5月13日金曜日

冷凍ピザ死亡事故に見るフランスの食品衛生管理

  



 すでに事件は3月に起こっていたようですが、大手食品メーカーの冷凍ピザから、溶血性尿毒症症候群(HUS)と毒素産生性大腸菌(STEC)の感染症が56件確認されたことから、このピザを製造している工場には、3月の時点で2度の徹底的な衛生検査が行われ、4月1日には、この工場でのピザの製造は禁止されていました。

 これらの検査により、食品衛生管理のレベルが悪化していることが明らかになった」と報告が上がっており、特に、「ネズミが存在し、害虫の侵入を防ぐ効果的な手段や食品活動に適応した害虫駆除が行われていないこと」、「製造、保管、通路エリアのメンテナンスと清掃が行われていないこと」などが指摘されています。

 この冷凍ピザはフランスのスーパーマーケットなら、どこでも売っている有名なメーカーの製品。決して、激安の怪しげな商品ではありません。

 これまでに2人の子供がこのピザを食べて死亡しており、この事件は、5月に入って、パリ検察庁に捜査が移管されました。この司法捜査は、「過失致死罪、14人に対する過失傷害罪、人や動物の健康を害する製品に関する偽装、食品に使用される食品が偽造または破損して健康を害する展示または販売、健康を害する製品を市場に出して他人を危険にさらす容疑」で行われています。現段階では、同ブランドのFraich'upシリーズのみが懸念されていると、検察庁は発表しています。

 その後の捜査でこの食中毒は合計75件発生しています。その大半が子供で、そのうち2人が死亡。この捜査がパリ検察庁の手に渡ったことで、再びこの騒動はクローズアップされ、このピザを食べて死亡した子供の両親などの証言も報道されています。 

 冷凍ピザはフランスでは、かなりポピュラーな存在。フランスでは共稼ぎの家庭がほとんどのため、仕事が終わって、帰宅後に簡単に食べさせることができる冷凍ピザの買い置きをしている家庭は多いのです。しかも、みんなが大好きな食品です。

 その冷凍ピザを食べて、まさか子供が死んでしまうとは・・想像もつかない悲劇です。しかし、以前、この工場で働いていた従業員の証言や公開された映像からは、ちょっと信じられないほどの不潔な状態には目を覆いたくなる酷い状況です。



 しかし、私の日常で食品工場を目にする機会はないものの、ネズミに関しては、もともとあまり驚かないフランス人、以前、働いていた会社(食品関係ではない)にもネズミ駆除の薬を置きに来る人が定期的に出入りしていましたし、大きなゴミ箱を回収に来ていた時にゴミ箱からネズミが出てきたのをたまたま目撃して、私が悲鳴をあげたら、ゴミ収集の人に、「ここは、どこだと思ってるの?パリだよ!」と笑われたこともありました。

 また、食品を扱っているお店に勤めていた知人が仕入れたキャラメルの袋がネズミに食いちぎられた跡があり、メーカーにクレームを入れたら、「ネズミも食べたがるほど、美味しいってことだよ!」と言われたと驚愕していたことがありました。食品の管理状態をさほど気にしていないことがうかがわれます。

 しかし、一方では、パリでレストランをやっている知人によると、食品衛生の検査は、とても厳しく、店内、厨房にいたるまで細かくチェックされ、冷凍してある食品の状態まで厳しくチェックされ、改善命令が出るとこの改善が確認されるまで、営業停止になってしまう・・ものすごく厳しい・・という話も聞いたことがあります。

 しかし、今回、問題が起こったのは、食品工場、このような状態のまま放置されている場合もあるということが驚愕です。

 このピザを食べて被害に遭っているのは、ほとんどが子供ですが、いずれも大腸菌を原因とする溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断されており、ピザを食べて数時間後に腹痛を起こして救急車で運ばれて、あっけなく亡くなってしまったとのこと。

 冷凍食品とはいえ、火を通して食べるものでありながら、こんなことが起こりうると思うと恐怖でもあり、それを食べさせてしまった親の後悔の念も計り知れません。

 私自身もたまに、焼くだけで簡単に食べられる冷凍ピザを利用することがありますが、この映像を見てしまったら、しばらく冷凍ピザは食べる気がしなくなりました。


冷凍ピザ食中毒死亡事故


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