2022年5月29日日曜日

マクロン大統領、今度はドイツのショルツ首相と共にプーチン大統領との電話会談

  


 これまで、ウクライナ戦争の危機が起こって以来、定期的に粘り強く一人でプーチン大統領との会談に臨んできたマクロン大統領は、昨日は、ドイツのショルツ首相とともに、プーチン大統領との80分にわたる電話会談を行ったことをエリゼ宮が伝えています。

 マクロン大統領とショルツ首相は、プーチン大統領に対して、「できるだけ早く、ウクライナのゼレンスキー大統領と真剣に直接交渉し、紛争の外交的解決策を見出し、「戦争のいかなる解決策も、ウクライナの主権と領土の一体性を尊重しつつ、モスクワとキエフの間で交渉されなければならない」と強調したと伝えています。



 そして、ウクライナとロシアの話し合いのためにも、ロシアのウクライナに対する攻撃を停止し、ロシア軍を撤退させることを求めています。

 同時に、フランス・ドイツ両首脳は、世界の食糧危機を回避するために、黒海経由でウクライナの穀物輸出を可能にするために、オデッサの封鎖解除の緊急性を主張しました。

 この提案に対し、プーチン大統領は、「黒海の港からウクライナの穀物を含む、妨げのない穀物輸出のオプションを見つけるのを助ける準備ができている」と述べたとされており、フランス・ドイツ側は、ロシア大統領が、「同港の地雷除去を行えば、ロシアに軍事利用されることなく穀物輸出のための船舶アクセスを認めると約束した」と発表していますが、一方では、プーチン大統領は、「世界の食糧危機は、「西側諸国の誤った経済・金融政策と、これらの国々によって課せられた反ロシア制裁」によって引き起こされたこと」でもあるとし、ロシアの肥料や農産物の納入が増えれば、国際農産物市場の緊張が緩和される可能性があり、モスクワに対する「もちろん、適切な制裁の解除も必要だ」と強調しています。

 マクロン・ショルツ両首脳は、このプーチン大統領との約束を国連を介して早急に進めるとしていますが、プーチン大統領の言っている「ロシアに対する適切な制裁の解除が必要」という部分については、言及されていません。

 もともと、今やロシアとの間に約束というものが成り立つものなのかどうかすら、疑問ではありますが、こうして何らかの話し合いの場がもたれることは、重要なことだと思われます。

 しかし、これまで1対1で行われてきたプーチン大統領との電話会談が2対1と客観的に見ても、対等ではない話し合いが、どの程度、プーチン大統領を圧迫するかという危険も孕んでいるとは思いますが、1対1では、どうにも埒が明かないことに業を煮やしたのか、長く続いてきたマクロン対プーチンの電話会談には、ついにショルツ首相が参戦し始めました。

 もっとも、プーチン大統領は、フランスもドイツも西側諸国の一括りに考えていると思われるところもありますが、戦争の中心はあくまでも「ロシアとウクライナ」でありながら、ロシアは一体、どこの国と戦争しているのか?と思われる節もあります。

 また、この会談では、マクロン・ショルツ両首脳は、ロシア軍によって捕虜となった約2,500人のアゾフスタル防衛隊員の解放も要求しています。

 まさかの戦争が始まって、すでに3ヶ月が経過していますが、問題は世界中を巻き込んで大きくなるばかり。とりあえず、プーチン大統領が約束したと言われている経由でのウクライナの穀物の輸出も「ロシアへの制裁の適切な解除」が行われないなら、プーチン大統領がそれを呑むとは考えづらく、結局、うまく進むとは考え難いような気がしています。

 マクロン大統領とショルツ首相は今後もこの件で緊密な連絡を取り続けるとしていますが、2対1の電話会談の方が良いのか悪いのか? 依然としても、まだまだ終結への道のりは長そうな気がしています。


マクロン大統領 ショルツ首相 プーチン大統領 3首脳電話会談


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