2022年5月8日日曜日

パリでのベランダ菜園 本格的な種まき開始 ベランダでの野菜の育て方

  


 私がベランダで野菜を育て始めたのは、最初にアフリカに住むことになってからで、現地でどんな食料が手に入るかもわからず、また、距離的にも、早々簡単には日本には戻れないことから、「現地で手に入らないなら、自分で育てればいいじゃない・・」という母のアドバイスから、いくつかの野菜の種を荷物に忍ばせて渡航したのが始まりでした。

 今から考えると、アフリカでは大きなベランダがあったにも関わらず、まずはフランス語を勉強しなければ・・と、他のことに必死で今から思うに大変もったいないことをしたと思います。

 それでも、ベランダのほんの一角に枝豆を育てた記憶があるのですが、あまり期待もしていなかったこともあり、毎日、水をやる程度で、大した世話もしなかったのに、手がかかるわりには、大した収穫もない・・などと、あまり魅力的なものには感じませんでした。

 今から思えば、やり方が適当すぎたのですが・・・。

 その後、主人の仕事の関係でフランスに転勤になり、娘が小さい頃には、通勤に時間がかかっていたこともあり、仕事と子育てで一杯一杯で、野菜を育てるなどという時間の余裕もなく、ベランダで野菜の栽培を始めたのは今の住まいに引っ越してきてからでした。

 それがいつだったか、はっきりと記憶もないくらいなので、もう10年以上は経っていると思いますが、その間、色々な野菜を育ててきました。

 基本的には、フランスで手に入りにくい野菜が中心で、特に紫蘇や三つ葉、小ネギなどの「やくみ系」の野菜は欠かせなく、たいていは、前年にこぼれ落ちた種や冬になって枯れたと思われても春になると自然と復活してくれるので助かります。

 今年は新しく山椒の苗を手に入れたのですが、どうやら今のところ枯れずに順調に育っています。和食を作ったりした時には、このやくみの面々があるかないかで、ずいぶんと食卓が引き立ちます。

 フランスの気候とベランダのような狭い場所でも栽培できる野菜には限界があり、広い庭があったら、大根やキャベツ、とうもろこしなどにも挑戦したいところですが、これまでかなり収穫ができたのは、春菊や水菜、小松菜などの葉野菜(これらは比較的簡単です)、そして何より我が家のベランダ菜園でのメインイベントは「きゅうり」です。

 


 これは、今までに失敗した経験から、まずは種まきの時期が大事で、春先に種を蒔くのですが、3月、4月は暖かくなったから、そろそろいいかな?などと思っても、また急に寒くなったりもするので、5月を過ぎて、天気予報を見て、ある程度、気温が上がる日が続きそうなことを確かめてから、プランターに少々、土に肥料を混ぜて土を盛り、5㎝ほどの間隔をあけて、指で穴を作り、2〜3粒ずつの種を植えて行きます。

 発芽して、本来ならば、間引きをするらしいのですが、もったいないので、私はある程度、その2〜3本の芽が10㎝くらいまでに育ってきたところで、根分けして、もともとのプランターからはみ出した分は別のプランターに植え替えます。

 土はできるだけ根につけたまま、植えかえると、根付きやすく、その後、しばらくすると、それぞれにスクスクと育ち始めます。それから、ある程度を過ぎると、きゅうりは本当に毎日の変化が目に見えるように、ジャックと豆の木みたいにぐんぐん育つので、成長が楽しみになります。

 ある程度まで育つと蔓(つる)が出てくるので、その時点で支え棒を脇にたててあげると、蔓を巻いてぐんぐん伸びて行きます。自分の脇に棒がたっているのに、となりの棒を横取りしようとするものもあったりして、人間でもこう言う人いるよな・・と思ったりして、それはそれで面白いです。

 途中、土が沈んでいくので、土を足してあげると良いです。

 夏の暑い間は、ベランダ一面が緑で囲まれ、ここのところ数年にわたる夏の猛暑の際にもよい日除けになります。育ってくるにつれて、かなり大量の水が必要で、朝晩、かなりの水をやる必要があります。

 しかし、ある程度、育ってくるとハトがやってくるという恐怖もあり、一時はハトが巣作りを始めて、朝起きると小枝が盛ってあり、避けても避けても翌朝になると小枝が・・ということもありましたが、アルミホイルを細く切って、支柱にからめてたなびかせておくと、ハトが寄って来なくなることがわかってから、そんなこともなくなりました。

 5月の初旬に種を蒔くと、7月初旬には、黄色い花がつき始め、7月中旬くらいから収穫できるようになります。

 特に2年前のロックダウンの際などは、3月から4月にかけてのことだったので、外出ができない中、ベランダでの野菜の栽培は気持ちを和らげてくれて、実際に食料にもなり、大変、助かりました。

 太陽と土と水のチカラってすごいんだな〜〜とそんなことに感動していると、なんだかゆったりした気持ちになるのです。

 フランスでもきゅうりは売っているのですが、大きなきゅうりで日本のきゅうりのようなカリッとした食感ではなく、フランス人の主人に言わせると水分が少ないきゅうり・・などと言うのですが、なるほど、そう言う感じ方もあるのか・・と思いながらも日本のきゅうりが断然好きな私としては、毎年きゅうりを育てるのは、ここ10年ほどの年中行事になっています。

 その他、にら、なす、ししとう、さやえんどう、スナップエンドウなども、育てやすいです。



 

 特ににらは多年草なので、数年にわたって、切っても切っても生えてくるので、とても便利です。我が家はにらが伸びてくると餃子やニラ饅頭を作ることにしています。ただ、時に小さな土と見間違えかねないような黒い虫がついてしまうこともあるので、その時には、殺虫剤はできるだけ使いたくないので、牛乳を水で薄めたものをスプレーすると、虫がいなくなります。

 今年もきゅうりの種まきの頃合いを見計らっていたのですが、どうやら今週末から来週にかけては気温が上昇するらしく、昨日、ここぞとばかりにきゅうりの種を蒔きました。

 一応、発芽まですれば、きゅうりの場合はたいてい順調に育ってくれるので、今年もうまくいくことを願っています。

 狭いベランダですが、夏はきゅうりにほとんどのスペースを用い、1シーズン200本近いきゅうりが収穫できます。この夏に収穫できるきゅうりのために、我が家はパンとビールでぬか床まで作っています。

 あまりにたくさん採れすぎて、キューリのキューちゃんまで作ったこともありました。

 最近では、秋から冬にかけて、野菜が育たない時期には、次の年のために、前年に使った土をほぐして、野菜くずなどを混ぜて翌年の栽培のための土を準備するようになりました。

 我が家のベランダはせいぜい一畳ちょっとほどの小さなベランダですが、植物がそだっていくのは楽しいことで、そのうえ食べる楽しみもあり、今では、私の海外生活には欠かせないものになっています。 


ベランダ野菜栽培


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