2022年5月10日火曜日

ロシアの戦勝記念日とマクロン大統領の「欧州政治共同体」提案

   


 未だかつてないほど世界中が注目していた今年のロシアでの戦勝記念日は、様々な予想をよそに、あまり例年と変わらなかったどころか、例年よりは控えめでした。危惧されていたような特別なことも起こらず、プーチン大統領も開戦宣言をすることもなく、航空機によるパレードも天候のために中止ということで、予行演習の際には登場していた「週末の日の飛行機」と呼ばれる特別機「イリューシン80」も登場することはありませんでした。

 今回のロシアの戦勝記念日は、身構えていた世界中をまた逆に驚かせ、それでも、戦争が終わるわけではなく、フランスの報道でも喧々轟々と議論されており、プーチン大統領の内向きな演説を読み解こうと、在仏ロシア大使館のロシア政府報道官や在仏ウクライナ大使などにもインタビューを行いながら、今後の戦争の行方を話し合っていました。

 各国に駐在しているロシア大使館の外交官のインタビューなどを時々、目にしますが、苦し紛れの言い訳が、見るに堪えない感じがしていましたが、昨日のフランスのテレビでは、インタビュアーの方から、途中で、「今日はインタビューに答えていただきありがとうございました」と打ち切ってしまう潔さ?これ以上聞くに堪えない視聴者の気持ちを代弁してくれたような感じで、それはそれで妙に納得がいく気がしてしまいました。

 海外からの要人が訪れることもないロシアの戦勝記念日にロシアの孤立化が鮮明になったとの声も上がっていましたが、一方、戦禍のウクライナには、アメリカ大統領夫人やカナダの首相が電撃訪問など、世界からのVIPが来訪している様子は、まことに皮肉なものを感じます。

 プーチン大統領の真意はわかりませんが、今回のような戦勝記念日のセレモニーで開戦宣言もしなかったのは、世界中から孤立している中、ロシア国民に背を向けられたら終わりという気持ちからだったような気がしています。

 一方、マクロン大統領は、ストラスブールの欧州の将来に関する会議で再選後初の欧州に関する演説を行い、EUをより効率的で独立したものにするための欧州条約の変更に賛成であり、それなくして我々の民主主義の正統性はない」と述べています。

 また、彼は、ウクライナのEU加盟には「数十年」かかると警告し、その間にイギリスのような国も受け入れることができる「欧州政治共同体」を提案し、後にベルリンでオラフ・ショルツ氏との共同記者会見を行い、「もう一つの協力の形」を提供できるだろうと述べ、「我々の一連の価値観を信奉する民主的な欧州諸国が、政治協力、安全、協力のための新しい空間を見つけることができるだろう」と語りました。

 「この組織は、我々の一連の価値観を信奉する民主的なヨーロッパ諸国が、政治的協力、安全保障、協力のための新しい空間を見出すことを可能にする」と説明しています。

 また、「この組織に参加することは、将来のEU加盟を妨げるものではないし、EUを脱退した人々に対して閉鎖的になるものでもない」とも述べました。

 マクロン大統領は、来月23日と24日に予定されている欧州首脳会議で、加盟27カ国の首脳とともに「必要な大胆さと自由さをもって」この問題に対処することを望んでいます。

 しかし、さすがにこれは、そう簡単に通る話でもなさそうで、これには、すでに13カ国が「EUにさらなる権限を与えたり、その機能を修正したりするような、取得が複雑なこのような変更に反対する意向」をすでに示しています。


 

 ポーランド、ルーマニア、フィンランドを含むこれらの国々は、署名国であるスウェーデンが月曜日に配布した文書によると、「我々は、熟考されていない早まった手続きを開始しようとすることに賛成しない」と発表しています。

 EU(欧州連合)、NATO(北大西洋条約機構)など、さまざまな組織が重なって存在している中、さらにまた新しい組織というのも、より複雑で収集がつきにくくなるような気もするのですが、今、ヨーロッパ全体の在り方を見直す必要があるということは、必須なのかもしれません。

 あくまでも今後の話し合いのための提案であるので、この提案により欧州の国同士が険悪になるとは思いたくはありませんが、マクロン大統領がヨーロッパをより強靭なものにしたいという前のめりな気持ちがこの提案から伝わってくるような気がします。

 この戦争を見ていると、各国の政治家の話すチカラに驚かされます。マクロン大統領の口がたつのは有名ですし(時には、それが過ぎて、逆に反感もかってしまうこともある)、国によっては、失言としか思えないような発言が気になるところもありますが、全世界に発信を続けて味方につけてしまうゼレンスキー大統領などのアピールするチカラ、牽引力は見事なものだと思っています。

 それを考えてみると、日本には、世界に向けて説得力のある話ができる政治家がいるかな?と思ってしまうとともに、「理論立ててしっかり話をして相手を説得する」というような教育が日本にも必要なのではないか?とも思うのです。

 

ロシア戦勝記念日 欧州政治共同体


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