2022年5月21日土曜日

ヨーロッパで相次いで症例が報告されているサル痘がフランスにも上陸した

   


 これまで聞いたことがなかった「サル痘」(Monkeypox)という病気が、ここ数日でヨーロッパで広まっているというニュースを聞いて、ギョッとしています。

 正直、また、ヨーロッパを中心に感染拡大・・と思ったら、カナダやアメリカ、オーストラリアでも、症例が報告され始めて、これは、欧州だけではないらしいことがわかりました。

 もともと、西アフリカの風土病であったサル痘がアフリカ大陸の外で拡大するケースは稀なことで、WHO(世界保健機構)は、このサル痘に関する緊急会議を召集しています。

 しかし、私が以前、西アフリカにいた時、サル痘なんて、聞いたことありませんでした。あの時は、とにかくマラリアが怖くて・・夫は数回、マラリアにかかって苦しんでいました。

 この病気(サル痘)は、最初の段階で、発熱、頭痛、関節や筋肉の痛み、リンパ節の腫れなどの症状が現れ、第2段階では、水疱を伴う発疹ができ、多くの場合、顔から始まり、手のひら、足の裏、性器など体の他の部分に広がるとのこと。特定の治療法はないようですが、天然痘のワクチンが有効であるとも言われ、大多数の患者は隔離され、自然に回復するとされています。しかし、一方で、一部の疫学者の間では、「サル痘の死亡率はコロナウィルスよりもはるかに高い」と警告しています。

 今回のサル痘の蔓延は、5月6日にイギリスで確認されたのを皮切りに、5月14日以降、ヨーロッパでは、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イタリア、ベルギーでの症例が報告されており、とうとうフランスでも、5月20日に、イル・ド・フランス地方で初めてサル痘の患者が確認されたと、保健当局とSanté publique France(SPF)が発表しました。



 このフランスでの患者は29歳の男性で、過去にウイルスが流行している国への渡航歴はないと、保健当局が発表しています。患者は、感染症が疑われた時点ですぐに保護され、現在のところ、自宅で隔離されています。

 ウイルスは、病人の皮膚病変部や粘膜に直接触れたり、飛沫を介したりして感染し、また、病人の生活環境(寝具、衣類、食器、バスタオルなど)との接触でも感染するとされています。

 また、現段階での感染経路の追跡によると、感染者やその体液(唾液など)との接触による感染が目立ち、「感染が疑われる症例は、性交渉の際に粘膜を介して感染が起こった例が多い」ことが指摘されていますが、現段階では「感染のダイナミクスをより理解するために適切に調査する必要がある」とされています。

 潜伏期間は5日から21日。発熱期は1〜3日程度続きます。通常は軽症で、2~3週間後に自然に治癒することが多いということです。

 しかし、総じて、この病気は人間同士の感染力はそれほど強くないことから、コロナウィルスのようなパンデミックには陥りにくいだろうと予測されていますが、一方では、にもかかわらず、明らかなアウトブレイクが多発していることに、WHOや欧米各国の保健当局は警戒を強めています。

 マスク、手洗いなどの最低限の感染対策の日々はまだまだ続けなければならないようです。

 まったく、次から次へと未知の病気が出てきて・・という風にも思いますが、逆にコロナウィルスによるパンデミックを経験して、これまでよりも感染症に対する警戒が強まったために、このような報告が浮上してきているのかもしれないとも思うのです。


サル痘 Monkeypox 


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