2022年5月9日月曜日

5月8日のフランスでの戦勝記念日とG7の会議

  


 翌日には、世界中が注目しているロシアの戦勝記念日の前日の5月8日はフランスは1945年の戦勝記念日として、凱旋門の下でセレモニーが毎年、行われています。

 ロシアの戦勝記念日には、軍事パレードが行われるようですが、フランスの軍事パレードは7月14日のパリ祭(革命記念日)で、シャンゼリゼを華やかにパレードする光景は華やかで美しく、沿道には大勢の人々が集まります。

 パリ祭に比べるとフランスの戦勝記念日はこじんまりとしたものではありますが、やはり、華やかで美しいことには変わりはありません。

 しかし、今年ばかりはウクライナでの戦争中ということもあり、美しい騎馬隊に先導されて車をマクロン大統領の乗った車が凱旋門に向かっていく様子には、いささか、もやもやとした気持ちを感じずにはいられませんでした。

  


 第二次世界大戦のために犠牲になった何百万人もの人々に対して今でも最大の敬意をもって悼むという意味では、美しいセレモニーは尊いものであるには違いないのですが、テレビやネットなどの報道とはいえ、毎日のように、悲惨な戦禍を目にしている現在は、美しく身なりを整えている騎馬隊や兵隊を見ていると、戦争は決して、こんなにきれいなものではない・・という抵抗を感じてしまうのです。

 セレモニーは午前中の1時間程度で終わり、同日午後には、ウクライナ情勢に関するG7の会議が行われていました。今回のG7の会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加しています。

 エリゼ宮は、同日中にこの会談で話し合われた内容について、17項目にわたって詳細を発表しています。

 第二次世界大戦終戦から77年、ロシアのプーチン大統領とその政権は、主権国家に対するいわれのない侵略戦争として、ウクライナに侵攻することを選択しました。G7は、ロシア大統領の行動は、ロシアとその国民の歴史的犠牲の上に不名誉をもたらすものであり、ロシアは法の支配に基づく国際秩序、特に第二次世界大戦後に戦争の惨禍から将来の世代を守るために起草された国連憲章に違反しているという確認を致しました。

 プーチン大統領と、ベラルーシのルカシェンコ政権を含むこの侵略の立案者と共犯者に、国際法の下で責任を取らせるために、国際刑事裁判所の検察官、国連人権理事会が委任した独立調査委員会、欧州安全保障協力機構の専門家ミッションなどによる、この分野での継続的な調査と証拠収集の作業を支持いたします。

 G7は、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナが自由で民主的な未来を確保できるよう支援し、同国が今日の自衛と将来の侵略行為を抑止できるよう、新たな約束を引き続き行う意思を再確認し、ウクライナ軍への軍事・防衛支援を継続するとともに、ウクライナのネットワークをサイバーセキュリティ事件から守るための支援を継続し、情報セキュリティも含めた協力関係を強化し、ウクライナの経済とエネルギーの安全保障を強化するために、引き続き支援を行うことを約束しました。

 プーチン大統領の戦争は、世界のエネルギー供給、食糧および肥料の供給、そしてより一般的に世界のサプライチェーンの機能に影響を与え、深刻な世界経済の混乱を引き起こしており、最も脆弱な国が最も大きな打撃を受けています。私たちは、世界中のパートナーとともに、この紛争がもたらす否定的で有害な影響に対抗するための努力を強めることで同意。

 ロシアの石油の輸入を徐々に削減または禁止するなど、ロシアのエネルギーへの依存を段階的に解消することを約束し、世界が代替エネルギー源を見つける時間を確保し、クリーンエネルギーへの移行を加速させることを含め、安定的かつ持続可能な世界のエネルギー供給と消費者にとって手頃な価格を確保するために、お互いに、またパートナーと緊密に協力することを確認。

 これらは、ロシアが依存する重要なサービスの供給を禁止または阻止するための措置をであり、経済のあらゆる分野でロシアの孤立を強化するものです。

 内容的には、これまでのG7の発表と大きな違いはありませんが、つまりは、ロシアの侵略行為を徹底的に非難し、ロシアに対する制裁、ウクライナへの支援を強化するということです。

 決して遠くはないところで起こっているこの戦争が一体いつまで続くのか、わかりませんが、子供の頃に戦争を知らない世代と言われていた私も、現在、戦地で暮らしているわけではありませんが、「戦争を知らない」という意味を今になって、深く思い知らされる気持ちです。

 自国を守るために軍隊が必要なのは理解できますが、これまで華やかで美しいパリ祭の軍事パレードなどを見るにつけ、これが見られてフランスにいてよかった!などと思って見ていた自分が今は少し恥ずかしいような複雑な気持ちです。

 シャンゼリゼをパレードする戦車なども、人を攻撃すための兵器で、これまでのように単純に美しく華麗なパレードをうわ〜っ!かっこいい!素敵!などという気持ちでは見られなくなりそうな気がしています。


G7  戦勝記念日 軍事パレード


<関連記事>

「2021年のパリ祭のシャンゼリゼの軍事パレードが復活した!」

「2020年 フランス革命記念日・パリ祭の光と影」

「世界中の共通の敵への制裁という団結とフランスの大統領選挙」

「フランス国旗の色が変えられた理由」

「美しすぎるベルサイユ宮殿でのEU首脳会議」



 




 

0 コメント: