2022年5月6日金曜日

中国とともに赤塗りされた日本の鎖国 6月にはようやくG7並みに水際対策緩和と発表

   



 3月1日から日本の新型コロナウィルス感染対策のための水際対策が緩和され、フランスからの入国についても、入国後の隔離が撤廃されたり、公共交通機関の利用などができるようになって、ずいぶんと日本も入国制限が緩和されたような気になっていました。

 しかし、考えてみれば、これは日本人、日本国籍を持った人に対して、また観光目的以外の外国人に対してのみのことで、一般的には、外国人に対しては、依然として鎖国を続けています。

 先日、仏紙で「強制検査、検疫...予防接種を受けていても、旅行者の入国を制限している国はあるのか?」という記事を見かけて、ギョッとさせられました。

 新型コロナウィルス感染も多少、落ち着きを見せ始め、多くの観光客が夏休みを前にして、旅行先を検討する時期に入って、多くの国で国境規制が緩和されました。それでも多かれ少なかれ入国制限を課しています。

 「中には、自国への入国を全面的に禁止している国もあります」(記事の中では日本は名指しされてはいませんが・・)、色分けされた世界地図を見れば一目瞭然、全面的に禁止している国は真っ赤に塗られた日本と中国、そしてトルクメニスタン(中央アジア南西部の小さな国)、かなり特異な感じで扱われています。

 この世界地図を見てもわかるように、濃いブルーはワクチン接種済みの人に対しては制限なし、薄いブルーの国は、出発前の検査を義務付けています。

 例えば、ニュージーランドでは、5月1日(日)以降、フランスを含む約60カ国の観光客に対し、予防接種を受けた場合の入国を許可しています。ニュージーランドに加え、EU諸国、カナダ、メキシコ、アルジェリア、チュニジアなどがこのグループに入っています。

 また、アメリカ、モロッコ、インド、アフリカ諸国の半数は、ワクチン接種を受けた旅行者に依然として陰性検査を要求している国のグループに入っています。

 そして、アジアの一部の国では、ワクチン接種を受けた旅行者が、出発前の検査で陰性であることに加え、到着後に隔離期間を設けることを現在でも要求している。例えばマレーシアでは、当局が指定するホテルに24時間隔離しなければなりません。

 中国については、国内でさえもかなり厳しい感染対策措置がとられているニュースが報道されているので、問題外としても、日本はその中国と同じ分類の「問答無用に入国を認めない鎖国を続けている国」なのです。

 そもそも、同じワクチン接種をしていながら、外国籍だから入国させないというのは、おかしな話です。だいたいウィルスは国籍の区別をするわけではありません。何もウィルスは今さら外国からだけ入ってくるわけではありません。

 せめて、最低でも、日本人に対して入国の際に行なっている検査等を同様に行えば、外国人とて入国を許可するべきだと思います。

 在外邦人の方々は心あたりのあることかもしれませんが、ただでさえ、アジア人というだけで、いっしょくたにされがちで、中国と日本の区別もよくついていないフランス人(ヨーロッパの人)も少なくない中、あらためて、この地図を見せつけられて、ますます同一視されかねない嫌な感じがしているのです。

 20年ぶりの円安の中、外国人観光客には、本来ならば、日本に旅行するチャンスです。パンデミック前までは、日本行きの飛行機はほぼフランス人でいっぱいだったほど、日本はフランス人に人気の旅行先でもありました。

 こちらの知り合いにも、「私も一度は日本に行ってみた〜い!」という人はたくさんいました。この日本人気が消え去らないうちに、なんとか外国人に対してもいつまでも鎖国などせずに、必要ならば検査を義務付けても、扉を開いてあげてほしいです。

 一部では、日本はグローバル化を叫びながら、いつまでも内向きな国だという酷評も受けています。

 さらに言わせてもらえば、日本人に対して行なっている現在の水際対策でさえ、機内で濃厚接触したからといって、隔離させておきながら(現在は家族のみということになっているらしい)、隔離解除には検査も義務付けないというザル方式。これでは「やってます感」だけをアピールしているとしか思えません。

 しかし、昨日、ヨーロッパを訪問していた岸田首相がロンドン滞在中にシティでの講演で「新型コロナウィルスのための水際対策を緩和すること」を発表。「G7(主要7カ国)並みに円滑な入国がとなるようにさらに緩和していく」「日本は今後とも世界に対してオープンだ」「みなさん日本にお越しください。最大限のおもてなしをします。」と宣言しました。

 講演後の記者会見では、この水際対策緩和について、「連休後の感染状況を見極め、6月にも専門家の意見も踏まえて水際対策を含め新型コロナ対策を段階的に見直す」「さらに日常を取り戻して行きたい」と語りました。

 ヨーロッパ首脳との会談とともに、ヨーロッパですっかり日常が戻っている様子に刺激を受けてくれたのか・・足並みを揃えるのが得意な日本・・岸田首相が鎖国解禁を思い直してくれるきっかけになってくれて、よかったと思っています。

 贅沢を言わせてもらえば、せっかく緩和するならもっと早くしてくれればいいのに、なぜ6月から?6月は燃油サーチャージが大幅に値上げされるタイミングです。

 しかし、ようやく日本の鎖国も終わる兆しは、やはり朗報です。

 これで円安緩和も少し期待できるかもしれません。


日本の鎖国 水際対策


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