2022年1月13日木曜日

日本の鎖国延長についてのフランスの報道の中で気になったこと

   


 フランスの新型コロナウィルス感染は、とどまることを知らず、2日連続、1日の新規感染者数は、36万人を突破しています。それでもフランス政府報道官ガブリエル・アタルは、「ウィルスが蔓延していても、できるだけ、普通に生活を送ることができることを目標としています」と語っています。

 そのため、「特に学校は閉鎖しない」ことを目標に、非常に厳しい検査と隔離の方針を立ち上げ、このあまりの煩雑さに音を上げた教職員組合がこれまでに例のないほどの規模でのストライキを予定していたりしますが、基本的な「普通に生活を送ることができることを目標とする」姿勢は、摩擦は起こっているものの、このなんとかして学校を存続させようという姿勢に表れています。

 また、イギリスとの国境規制の緩和についても、数日中に発表される予定になっています。どちらかと言えば、この感染者数にも関わらず、規制緩和に動きつつあるのです。

 そんな中、正直、遠い国である日本の国境規制については、それほど大々的に報じられているわけではありませんが、(まさにそれどころではない状況)それでも、完全にスルーされているわけではなく、各国のコロナウィルス(特にオミクロン)対応について、少しずつ紹介されている中、日本のこの「鎖国延長」については、海外のニュースの中では(ヨーロッパを除く)比較的大きく扱われている方でした。

 その中で、かなり辛口のものがあったので、参考までにその報道について、書いておきたいと思います。

 「日本は、ほとんどの外国人の入国制限を2月末まで延長し、オミクロン対策として集団予防接種センターを再開すると発表」

 岸田文雄首相は記者団に対し、「人道的見地から必要な措置を講じ、国益を考慮しながら、2月末まで国境管理措置を維持する」と述べた。

 「地元メディアは、日本人の親族を持つ外国人や留学生を対象に、厳しい措置の例外を検討していると報じたが、結局、正式な発表はなかった。」

 「駐在は凍結され、建設現場は中断され、学習計画は半減し、家族は2つに分断される...。」

 「このニュースは、観光客だけでなく、ここで働くビジネスマン、エンジニア、学生などの外国人をも激怒させた。しかし、現地の人々は拍手喝采である。88%の日本人が、国境を守るため、そして彼らにとって苦痛のない閉鎖を認めている。」

 「日本は、検疫期間や入国者への頻繁な検査など、厳しい国境管理を実施している。しかし、こうした取り組みもオミクロン変異株の蔓延を防ぐことはできず、日常的に報告される件数は急増している。全国レベルでは、先週の週次平均が10倍になっている。」

 「グローバル化しながらも内向きな国、日本」「このパンデミックは、この列島がいまだに孤立主義を培い、外国人を統合しようとしないことを明らかにした。」などなど、事実とともに、かなり辛辣な報道もあります。

 これまで世界的なレベルから考えれば、奇跡的とも思われるほどに、感染を抑えてこられた日本としては、水際対策を強化し、これ以上に感染が蔓延することを抑えようとしていることは理解できますが、「人道的見地から必要な措置を講じ、国益を考慮」と言いながら、日本人の配偶者でさえも、外国人の場合は入国できないという非人道的な対応は、海外からすると理解はできないのが普通の感覚です。

 永久に日本が鎖国措置を続けるわけではないにせよ、このあまりに長く続くパンデミック禍中で、この日本の閉鎖的な対策には、かなり批判的な声が多いのは確かです。

 日本以上に感染が蔓延している国からの入国者に慎重になるのは、必要なことではありますが、外国人に対しては、隔離を自己負担にしたり、日本人が入国する場合と同じ感染対策義務などの方策をとれば、不可能なことではないはずです。

 家族が日本人である場合はもちろんのこと、留学生に対しての措置も同様に、外国人であるということで、入国を制限するのは、世界からは、理解されていません。

 フランスはもちろんのこと、多くの海外の国々は、国によって、隔離の期間や条件が異なることはあっても、留学生の受け入れも続けています。もちろん、日本からの留学生も海外では受け入れられています。

 留学生の受け入れについては、パンデミックのさなかに、我が家の娘も2度にわたり、日本の大学への留学を拒否され、ついに、そのチャンスを逃してしまったので、恨みつらみが募っています。

 「日本で学びたい」と真剣に考えている学生を断ち切ってしまうことは、日本にとっての大変な損失です。将来、もしかしたら、日本で働きたいと思ってくれるかもしれない、少なくとも、日本を知りたい、日本に興味を持ってくれている外国人をシャットアウトしてしまうのは、大変、残念なことであり、大変なイメージダウンです。

 日本は、パンデミックの最中にオリンピックを開催することができた国です。留学生の受け入れも、きちんとした隔離対策さえ取れば、可能なはずです。「なぜ、オリンピックならできて、留学生にはできないのか?」これは、この鎖国延長による日本の閉鎖的な対応がどれほど日本にとってダメージになっているかということは、私は、結構、大きな問題である気がしています。

 最近、「日本政府は、世界のニュースを見ているのか?」「子供の将来、日本の20年先、30年先の未来を考えているのか?」と感じることが多くなりました。

 いみじくも、「グローバル化しながらも内向きな国、日本」と酷評された日本政府は、現在の日本国内にいる日本国民にしか目が向いておらず、世界からのイメージのダメージには、無関心な気がしてなりません。これが進めば、世界の中での日本の役割は減少していきます。

 いざという時に日本のことしか考えない国を世界は、信用しなくなります。

 1日30万人もの感染者を出し、2ヶ月後には、2人に1人が感染している状況になると言われている国にいる人間が言うことではないかもしれませんが、長引くからこそ、数々の摩擦を起こしながらも、日常生活に近い生活を送ろうとしているフランス、ヨーロッパの姿勢を私は、嫌いではありません。

 日本政府には、日本国内だけでなく、世界の中にある日本であるということや、その未来をになっていく若者の将来、未来の日本を考えてほしいと思っています。


日本の鎖国延長


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