ワクチンパス施行を目前とするフランスでは、相変わらず、ワクチンパス反対のデモが続いています。とはいえ、前回のデモに比べると、デモ参加者は大幅に減少し、内務省の発表によると、前回の約105,200人に対して、今回は、約54,000人に減少しています。
彼らのデモでの訴えは、「ワクチンパス反対」「ワクチン接種そのものに反対」「自由」「政府の強行策に反対」など、毎週のことで、掲げられているプラカードや訴えの内容は、ほぼ同様の内容です。
しかし、今回のデモで気になったのは、そのプラカードの中に「ジョコビッチは私たちの旗手である!」というものが、混ざっていたことでした。
このデモが行われた時点では、ジョコビッチの全豪オープンの出場可否に対する最終的な決定が出ていなかったため、これは、ジョコビッチが全豪オープンに出場することになれば、アンチワクチン論者を正当化するものになってしまうのではないか?と、オーストラリア裁判所の決定を不安な思いで、見守っていました。
フランスのデモ隊にまで影響を及ぼすとは・・ジョコビッチ、恐るべし⁉︎です。
フランスでも、テニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手の一連のワクチン未接種での全豪オープン出場可否の騒ぎは、連日、報道されていたので、その影響力の大きさは、テニス界だけでなく、フランスで「アンチワクチン論者の旗手」として、まつりあげられるのは、当然といえば、当然だったかもしれません。
しかし、今回のジョコビッチ選手のワクチン接種に関しての一連の報道では、「ワクチン未接種の発覚」から、彼のビザは、取り消し、その後、同選手の弁護団から異議申し立てがなされ、「彼自身が12月16日にコロナウィルス陽性であったこと」が申告されましたが、その直後に「隔離もせずに、公の場にマスクなしでマスコミに対するインタビューや公的イベントに参加していたことの発覚」そして、「ビザ申請書は、本人が記載したものではなかった」など、見苦しい応酬が続いて、最終決定は、オーストラリア裁判所の決定に委ねられていました。
世界ランキング1位のトップアスリートである彼は、彼自身の健康管理についての強い信念をもっていることは、理解できますが、どの選手も同じ条件をクリアして参加している大会に、たとえ、彼が世界ランキング1位であろうとも、例外を認めることは、あり得ないことだと思っていました。
スポーツマンシップという言葉が適当かどうかはわかりませんが、大会が定めた(大会開催国が定めた)ルールを個人的な理由で守らないというのは、テニスのトッププレイヤーとしては、ガッカリさせられるものでした。
彼が信念をもって行なっていることなら、姑息なごまかしをせずに、なぜ、堂々とワクチン未接種を公表しなかったのか?と思ってしまいます。
結局、オーストラリア裁判所は、「オーストラリア社会に健康上のリスクをもたらす可能性がある」という理由で、ビザの撤回を支持する判決」を下しました。
この決定は、彼自身のウィルス感染のリスクよりも、この世界ランキング1位のジョコビッチの入国、大会出場が「反ワクチン感情を助長すること」や「国民の不安を増大させること」などの社会的な影響を考慮してのものであったことは、言うまでもありません。
正直、フランスのアンチワクチン論者は、助長されかかっていました。
オーストラリアは、パンデミック開始以来、感染拡大に対して世界で最も厳しいとされる規制を敷いてきた国の一つでもあります。この事実をジョコビッチが知らなかったはずはなく、ましてや大勢のスタッフを引き連れている彼の周囲の人々もどう考えていたのか?疑問は残ります。
また、パンデミック以来、テニスの世界大会はいくつも行われてきたにも関わらず、選手のワクチン接種に関するチェックをしてこなかったのかも疑問です。
次のメジャー大会は3月にインディアンウェルズ(3月10日~20日)とマイアミ(3月23日~4月3日)で開催されるマスターズ1000です。アメリカへの入国には、やむを得ない理由がない限り、完全なワクチン接種のパスポートが必要です。
フランスにおいても全仏オープンは、まだ先ですが、ワクチンパスポートの施行が始まれば、当然、テニスの試合会場などでは、ワクチンパスポートなしでは、入場できなくなります。
これで彼がワクチン未接種者であることは、全世界の周知の事実になり、今後の彼の行く先には、大きな壁が立ち塞がることになりました。
今回のオーストラリアの決定で、どんなタイトルを持つ権力者であっても例外は認められないとされたことは、少なくともアンチワクチン論者を助長させることにはならなかっただけでも正しい決定であったと思っています。
そもそも、ウィルスは、国籍も権力も地位も差別することはありませんから。
ジョコビッチオーストラリア退去
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