一昨年前の年末あたりから、「学校の閉鎖は最終手段」という方針を貫き通しているフランス政府は、今回の感染爆発ともいうべく感染の急激な増加の中でも、学校を予定どおりの日程で再開しました。
しかし、特にワクチン接種を受けていない小学生以下の学校再開には、特に感染対策が強化されています。
この学校における感染対策の主な柱は、生徒たちの検査をより徹底したものにすることに焦点を当てられています。
登校初日には、必ず検査(PCR検査・抗原検査)を受け、陰性であることが確認された生徒だけが登校、学校再開後には、陽性例が確認され次第、クラスの生徒全員が抗原検査またはPCR検査を受けなければならず、保護者からの「書面」での証明と、陰性であることが確認された場合にのみ授業に復帰することができます。
また陽性になった者については、陽性が確認された当日から1日おきに、4日間で3回のテストを行う必要があるとしています。この対策は、ウイルスが感染してから症状が出るまでに3〜5日かかるという潜伏期間をより考慮したものです。
この検査をスムーズに行うために最初に実施した検査の後は、各家庭で2回、薬局で無料のセルフテストを受け取れるようになっています。
フランス政府は、昨年末の段階で、すでにこの検査を徹底して行うことを可能にするために、充分な検査キットを大量に発注済みであると説明しています。
また、教員に関しても、生徒と同じルールが適用されることになっています。そして、保護者会などに関してもすべてリモートにすることが義務付けられています。
この検査の増加に加え、「換気の必要性」をよりよく測定するために、できるだけ多くのCO2センサーを配備するよう学校に呼びかけています。
政府によると、現在までのところ、この小さな箱を備えているのは小学校の「約20%」に過ぎないそうで、これは中学校よりも多いのですが、まだ全然足りない状態です。
注意点として、保健当局は、ウィルスが浮遊できる空気を新しくするために、1日に少なくとも10分から15分、定期的に窓やドアを開けることを勧めています。
また、教育現場でさらに心配されるのは、感染や陽性者との接触があった場合、他の人と同じように厳しい隔離ルールが適用される教員の欠勤です。科学委員会の試算によると、学年の始めに30%の教員が陽性であるか、感染した子供の世話をしている可能性があると想定しています。
ジャン・ミッシェル・ブランカー教育相は、1月が「緊迫状態の月」になることを認め、「ワクチン接種を受けた大人(教員)は、子供と同じ、反復テストを適用する」ことを発表しました。
また、大量欠勤のリスクを減らすための対策として、病気以外の欠勤原因、例えば「現任訓練」を停止することを挙げています。この施策は、「代理教員」の募集と連動して行われます。
小学校では、これにより「9%から、学校によっては12〜15%」補充能力が高まると目論んでいます。
また、学校でのワクチン接種キャンペーンの促進も視野に入れられており、昨年7月、10代に向けたワクチン接種キャンペーンが開始された時に、中学校では校内にワクチン接種センターが設置されたように、5歳からの全児童にワクチンが開放された今、「各学校と接種センターがペアになり、ワクチン接種を拡大していく予定になっています。
小学校の子どもたちには、「学校長や教師に予防接種の手順を説明するメッセージが送られる」ことになっていますが、「ワクチン接種の予約や接種の際の付き添いは家族が行うもので、すべてのケースで「親の承認」が必要になると念を押しています。
このように、かなり厳しい制限下での学校再開も、やはり、蓋をあけてみると、最初の混乱は、教員の欠勤で、基本的に「教員不在のために生徒を他のクラスに割り振ることはできない」としているために、予め、連絡がないまま学校に行ってみると、子供のクラスの先生がおらずに、慌てて両親のどちらかがリモートワークに切り替えて、子供を家に連れ帰らなければならないようなケースが出たり、逆に教員の突然の欠勤に慣れている親にとっては、いつもと違って、代理教員が割り振られて、助かった・・などと様々な声が上がっています。
中学生以上に関しては、小学生と違って、生徒たちにも、かなりワクチン接種が浸透しているため、同様の対策が取られているものの、小学生ほどには、緊迫した状況ではありません。
いずれにせよ、まだまだ始まったばかりの学校から、さらに大きな波がおこるかどうかは、これから数週間後に結果が表れてくると思われます。
もはや、周囲にも感染者は珍しくなくなっている現在のフランスの状況から見ると、個人的には、オミクロン株は、どうやら潜伏期間が人によってはかなり長く、感染してからも、すぐに検査を受けても陽性とはならないところがややこしいところで、この感染してから、陽性反応が出るまでの間にさらに1人が10人は感染させるという勢いで感染を広げてしまうのに、その隙間の期間に隔離できないために、一体、いつ、どこで感染したのかもわかりにくいことも始末の悪いことです。
しかし、年末年始には、本当に、どこから湧いてくるのかと思うほど、人で溢れていた場所がたくさんあったのに、いざ、新年が始まってみると、今度は、いたるところに感染、感染者との接触のための隔離による欠勤者が増え、現在のところ教員の10%程度が欠勤、フランス国鉄の長距離便などは、10%が欠便、いつもは渋滞しているところが、車もすいすい動いていたりして、明らかに人の動きが減少していることに、どうにもしっくりこないものを感じるのです。
学校再開のための感染対策
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