先日のマクロン大統領の演説のメイントピックは、65歳以上を始めとする3回目のワクチン接種の必要性についての話でしたが、その中には、子供たちの学校でのマスク着用が再び義務化されるという内容も含まれていました。
夏のバカンス突入とほぼ同時に発令されたヘルスパスによる規制のために、フランスでは、夏のバカンスを心置きなく過ごそうとする人々が一気にワクチン接種に走り、ワクチンの接種率も上がり、レストランやカフェ、映画館や美術館、遊園地などの娯楽施設・文化施設、スポーツジムなどがヘルスパスによって入場制限されたことにより、感染状況も小康状態を保ち続けていたため、9月に新年度を迎えてまもなく、10月4日からは、感染発生率が住民10万人あたり50例未満である47地域の小学校でのマスク着用義務が撤廃されていました。
マスク着用が子供たちの学習、理解、集中力に影響を及ぼしている可能性、マスクによる苦痛を考慮し、感染の状況が許す限り、マスク着用義務を撤廃する方針をとったようです。
しかし、残念ながら、10月の半ば過ぎから、フランスの感染状況は再び上昇モードに転じ、また、近隣のヨーロッパ諸国での深刻な感染拡大の状況から、大人の3回目のワクチン接種の強化を始め、フランス全土にわたる全ての小学校でのマスク着用の義務化で、再び、警戒体制に入るということに他なりません。
もともと、小学生といえば、12歳以下の子供で、まだワクチン接種が不可能な年代の子供たち(フランスでは12歳以下のワクチン接種に門戸を開いてはいません)の学校内(学級内)でのマスク義務化の撤廃には、疑問の声も上がっていました。
大人ですら、1日中、マスクをして生活をすることは苦痛を感じるところですが、この際、子供がワクチン接種を受けずに感染のリスクを減らすのは、基本的なソーシャルディスタンスやこまめな手洗いなどの衛生管理とマスク着用に頼るしかないのです。
12歳以下の子供たちはワクチン接種をしていないことから、ヘルスパスにより守られることもなく、非常に無防備な状態であると言えるのです。
マクロン大統領の演説の翌日、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、TF1のインタビューで、「1週間で感染者数が40%増加しているフランスの現在の状況は、明らかに第5波の始まりのようだ」と述べています。
各々、ワクチン接種時期がずれていることによって、ワクチンによって保護され、ヘルスパスによって守られている人口が多いことでまだ救われていますが、再び感染拡大の顕著な数字があらわれ始めた今、大人が3回目のワクチン接種をしなければならないのと同様にワクチン接種のできない子供はマスクをしなければならないのは、致し方ないことなのかもしれません。
3回目のワクチン接種とそれに伴うヘルスパス有効期限の設定と小学生のマスク着用義務、どうやら第5波の波がきているフランスのこの波をどうにか小さな波として越えられるための政策の一貫なのです。
小学校マスク着用義務化
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