若者の失業、または就業できない問題についての緊急措置として、マクロン大統領は、16歳から25歳の若者向けに、 「青年エンゲージメント契約」を開始することを発表しました。
これは、すでに昨年の段階での若者への就職支援から、かなりの手応えがあり、パンデミックの最盛期から始まったこのプロジェクトの前身の支援をさらに強固に、具体化したものになります。
手応えがあったとはいえ、依然として若者の失業率は高く、それに伴う若年層の貧困も深刻な問題のままです。
マクロン大統領は若者に向けてSNSを使って「現在、フランスは、エネルギー、電気自動車、航空機、宇宙、文化など明日の未来を築くことができる分野に多額の投資を行っています。これらの産業には、多くの技術や知識を持った人材を必要としています。
この「青年エンゲージメント契約」は、これまで、これらの全ての仕事に携わるための教育を受けて来なかった人のために、パンデミックのために途中で進学を断念してしまった人のために、また、これまで、その機会を得られなかった人々のために、そのための教育、トレーニングを受ける機会と場所、それに伴う支援を行うものです。
未来を描く人々の全てが仕事に就き、自分たちの生活を築くことは重要なことで、若者のそれぞれのプロジェクトを達成するために国家はある!」と、語りかけています。
具体的には、2022年3月1日から16歳から25歳の全ての若者は、登録さえすれば、週に15〜20時間のサポートを受けて、職業を見つけ、そのためのトレーニングを受けることを条件に、月額500ユーロまでの支援金を受けることができます。
この「青年エンゲージメント契約」は、若者が仕事の世界で、より良い訓練を受け、未来を築いていくための支援をこれまでのシステムを補完し、より簡素化したものになります。
そして、具体的には、中退した学生を支援するために2万人の学生の雇用(週10時間の4ヶ月契約(12月から3月まで)が提供されます。
また、経済的に非常に不安定な学生に対しては、CROUS(大学及び学校の地域センター)から宿泊施設と食事の緊急支援が行われます。
フランスの失業保険に関しては、これまでも若者に限らず、失業後にさらに新しい就職の機会を得るために訓練を受けることを希望する場合は、失業保険の待遇が上乗せされる等のシステムが既に存在していますが、今回の「青年エンゲージメント契約」に関しては、この改良版と考えることもできます。
将来のある若者の深刻な失業率を鑑み、16歳から25歳の若者に特化して、それまでに就業経験がなくとも、新しく仕事に就くために、その訓練と援助を受けることができるシステムを具体化したものです。
現在のフランスには、仕事がないわけではありません。仕事を見つけることができない若者をどのように仕事に導くかを考慮して、フランス政府が手を差し伸べている政策の一つです。
マクロン大統領は、これに続くさらなる若者支援策を来週にも追加で発表する予定であることを同時に予告しています。
しかし、考えてみれば、そもそも16歳から25歳といえば、本来、高校から大学などの教育を受けている年齢、つまり、学校からもドロップアウトし、勉強もせず、仕事もせずに失業者と換算される人がどれだけ多いかという、これもまた格差社会の一面が表れている気がします。
16歳から25歳の若者支援
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