パンデミックが始まって以来、ヨーロッパの中では、常に優等生であったドイツが1日の新規感染者数5万人突破(50,196件)するという、これまでにない感染拡大の局面を迎えています。
フランスと比べれば、これまで常に感染を抑え続け、被害も桁違いに少なく、周囲のヨーロッパ諸国が相次いで医療崩壊を起こしていた時も、常にドイツは医療崩壊を起こすこともなく、周囲の国を助ける(フランスもずいぶんと助けられてきました)役割を果たしてきたドイツのこの急激な感染悪化には、フランスでも驚きと警戒を強めています。
2021年以来のドイツの感染状況 |
私もこれまでは、さすがにドイツ人、しばしば日本人と気質が似ていると言われることもあるように規律正しく、きっちりしているんだ・・と思っていたのです。
しかし、やはりこのウィルス、生半可なことでは太刀打ちできないようです。
ドイツ政府のスポークスマンは、「パンデミックは再び劇的に広がっている」とし、特に影響を受けたいくつかの地域でワクチン未接種の人々を対象とした新たな対策を講じることを発表しています。
10月以来のこの変化は顕著であり、特にザクセン州、バイエルン州、ごく最近ではベルリンなどの地域では著しく影響を受けています。
今週に入って、ベルリンは、ワクチン未接種の人々が、特にテラス席のないレストラン、バー、スポーツホール、美容院へアクセスすることが禁じられました。ワクチン接種済みであるか、感染から回復したことを証明できない場合、これらの公共の場所へのアクセスは許可されなくなります。
これを聞いて、「えっ?ドイツでは、今まではOKだったの?ドイツではフランスでのヘルスパスのような規制をしていなかったの?」と驚いた次第です。
そして、現在のドイツの感染急拡大は、意外にもドイツのワクチン接種率が比較的低いことにも起因していると言われています。
現在のフランスのワクチン接種率(2回接種済み)は約75%、これに対してドイツは67%とかなり低いのです。もともとドイツの人口はフランスの1.3倍程度ですから、ワクチン接種を行なっていない33%の人口は、フランスよりもかなり多い計算になります。
ドイツ病院協会によると、10日の時点でコロナウィルスによる入院患者は1週間で40%増加し、集中治療室の患者は15%増加し、1日の死亡者が200人を突破していることを発表し、感染拡大は、ワクチン接種がより少ない地域で高い発生率を示していることも併せて報告しています。
ドイツの地域ごとの感染状況 |
ワクチン接種率が最も低いザクセン州(ワクチン接種率57%)は、国内で最も高い感染発生率を記録し、10万人中 483.7人という高い陽性率を記録しています。
ヨーロッパの中でも高齢者が比較的多いドイツでは、ワクチン接種をすでに行なっている人々でも、時間が経過すれば、その効果が薄れ始めることで、この感染拡大の影響が多くの高齢者にも及ぶことを懸念しています。
昨年末から年明けにかけて、ドイツはフランスと比べるとかなり厳しく手綱を緩めない印象がありましたが、ワクチン接種が開始され、ある程度、広まり始めてからは、途中でヘルスパスを起用したフランスとは、いつの間にか、逆転状況にあったようです。
こう考えてみると、フランスはヘルスパスの起用により、ワクチン接種率も大幅に上昇し、レストランやカフェ、娯楽施設、文化施設、スポーツジムなどのあらゆる場所はワクチン接種をしていない人はシャットダウンされ、守られている状況にあったことがこのドイツの状況を見てわかります。
きっと、ヘルスパスによる規制がなければ、フランスはドイツ以上の被害を出していたことは間違いありません。
こうしてドイツが現在、劇的な感染拡大の局面を迎えていることを目の当たりにすると、フランスがとってきたヘルスパスの起用は、発表当初はかなり衝撃的で強引な印象ではありましたが、結果的には、非常に有効な政策であったと思わずにはいられません。
とはいえ、フランスの新規感染者数もここのところ、余裕で1万人超えの状況、決して気を緩めることはできません。このため、つい先日、マクロン大統領が演説を行い、3回目のワクチン接種を強いる方針を示し、ヘルスパスの効力(3回目のワクチン接種の拡大とヘルスパスによる公共の場所での安全性を維持する)を持続させる努力をしています。
しかし、フランスとて、未だワクチン接種をしていない人々は25%もいるのです。
急激な感染拡大が見られるドイツとの出入国制限に対する規制が何もないのは、不思議でなりません。
そこへいくと、日本への入国はいつまでも厳しく、一時帰国がなかなかできない身からすると歯がゆいのですが、それが日本を守っていることに繋がっていると思わせられもするのです。
ドイツ感染拡大
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