狭いコントロールルームに詰め込まれていた荷物 |
私たちの住まいは、パリのあまり大きくないアパートで、1フロアに2世帯が住んでいます。ですから、同じ階のお隣の世帯と共有?のスペースはエレベーター前の小さなスペースと電気や水道のメーターなどのコントロール機器が入っている小さな小部屋(コントロールルーム)のような場所が共有といえば、共有のスペースになっています。
先日、午後の時間にアパートの呼び鈴が鳴ったので、不審に思って(普通、外からの来客は、まず地上階にあるドアフォンを鳴らして、それに応えてから、まず地上階にあるドアの鍵を解除して、それから上がってくるので、いきなり玄関のベルを鳴らされることはほとんどありません)、ドアの覗き窓から外を見ると、アパートの管理人さんの女性でした。
彼女はアパートの見回り中に我が家の階にある小さなコントロールルームの中にたくさんの荷物が山積みになっているのを見つけて、私をその部屋に連れていき、「これ、おたくのですか?」と聞きに来たのです。
その部屋には、ドアはあるものの、鍵はありません。しかし、そんな電気系統の機器などが入っている場所は日頃は用がなく、私は工事の人が来た時などに、案内する程度で、ほとんど入ったことはありませんでした。
通りかかった時に、時々、そのドアがきっちり閉まっていないことがわりと頻繁にあるので、「閉まっていないということは誰かが開けたに違いない・・誰だろう?」とちょっと気味が悪いな・・と思いつつも、わざわざドアを開けて中を確認することもなく、ドアをきっちり閉め直すだけで、なんとなく過ごしてきたのです。
ところが、管理人さんに言われて、その部屋を覗きに行くと、そこには、山積みにされた荷物が・・それはもちろん、私のものではありません。正直、唖然としました。
隣の家は留守で、確認がとれずに、「ここに物を置くのは禁止なのよね・・」と言いながら、彼女はアパートの大元の管理会社に連絡し、荷物は撤去することに・・。彼女が一人で撤去するには、大きすぎる子供用にしては、なかなか大きな赤い車まで・・。
彼女は方々に連絡をとりながら隣人の携帯ナンバーを手に入れると、隣人に電話。幸い隣人は電話に応答、すぐにその荷物は隣人のものであることが判明しました。
さらに知らない人の荷物よりはマシだとしても、自分勝手に共有の場をまるで自分の場所のように使う隣人の正体が垣間みれてしまったことに、言いようのない嫌悪感。
管理人と話している隣人の電話の声は私にも聞こえるほどの大きな声で、「それは、私の友人が今日引き取りに来る荷物だから・・」と言っている彼女が言い訳をしている声が聞こえます。
管理人さんは、「これが最後よ!ここに物を置くのは禁止なの!明日、また見にきて、またあったら容赦なく廃棄するから・・」ときつく言う彼女と「はいはい、わかってる!わかってる!」の会話は、いかにも注意し慣れている人と注意され慣れている人という感じ。
これでは、できの悪い学生と先生の会話のようだ・・と思いながら、「管理人さんには、こんな仕事もあるのだ・・」とちょっと気の毒になりました。
私が、「時々、ドアがちゃんと閉まっていないことがあったから、ちょっと気にはなっていたんだけど、中を開けてみることはしなかったから・・まさか、こんな荷物が入れられて、知らない人が出入りしていたなんて・・と言ったら、「これは、ここの階だけじゃなくて、上の階もそうなのよ・・」と・・。
時々、その扉が開けられていた形跡があったことは、一度や二度ではないことから、彼女の言っていることは嘘であることは明白です。
公私の区別がつかない、どうにも常識的な感覚が違うということは、やはり要注意であることに違いありません。
先日もアパート内の二重に鍵がかかる自転車置き場で盗難事件が起こったばかり、なんだかいつの間にか、近辺も物騒になってきました。
私はご近所とはなるたけ穏便に過ごしていたいので、よほどのことがない限り、つかず離れずで親しくなり過ぎないようにしていますが、今の隣人が隣に越してきてからは、顔を合わせれば挨拶はするものの、ほぼ話をしたことはありません。
何より、一番、隣人を警戒しているのは猫のポニョで、それまで前の隣人が住んでいた時には、まるで自分の別宅のようにベランダをつたってポニョ一人で隣の家と我が家とを行き来していたのに、現在の隣人が引っ越してきて以来、同じ隣の家に全く行かないどころか、ポニョはベランダにさえ出なくなってしまっていたのでした。
動物の感とでも言うのでしょうか? ポニョが警戒することで、たまに顔を合わせた時の立ち振る舞いや服装の感じ、時々、聞こえてくるベランダや廊下での大声での電話の声などなどもあり、私自身も警戒はしていました。
これでさらに嫌な印象は強まってしまいました。
夜になって家の前に積み上げられていた荷物 |
夜になって、荷物が撤去されたかどうか確認に行こうとドアを開けると、隣人の家の前にはその小部屋の中にあったものが積み上げられていました。小部屋の中がダメだと言われたからと言って、家の前なら良いというものでもありません。
せめて、家の中に荷物を入れるくらいの配慮が、できないのだろうか? 規則を守らないということに何の負い目も躊躇いも感じていない隣人に、あまりの常識の違いにさらにうんざりさせられたのでした。
しかし、どこへ引っ越そうとも、場所は選べても、隣人は選べないのです。
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