パリの外食は高いです。パリにいる時は、外食の値段を日本円に換算しようものなら、バカバカしくて、本当に嫌になるので、しないようにしていますが、逆に日本に行って、外食の値段をユーロに換算して考えると、たちまち目が輝いてしまいます。
日本でもそれなりに高級なレストランならば、これまたなかなかなお値段ではありますが、一般的に言って、日本での外食は、恐ろしく安くて、嬉しくはあるものの、これでどうやってやっていけるの?とそれはそれで、このしわ寄せが必ずどこかに行っている(正当な対価が支払われていない部分がある)ところが、現代の日本の別の問題の一面であるような気もします。
例えば、パリでランチを食べようと思えば、安くて15ユーロ程度(約2,000円程度)は、余裕でかかります。パリでまずまずのフレンチを食べようと思ったら、なかなかな値段なわけです。
そんな中、パリのこのシャルティエ(Chartier)というレストランは、なかなか庶民的なお値段で、凝ったメニューではありませんが、ごくごく一般的なフレンチを楽しめるお店で、前菜、メイン、サイドメニュー、デザートなどが細かく注文でき、ちょい飲みしようと思ったら、サイドメニューを数品頼んで後は飲む(飲むことばかり考えている)ようなこともできます。
この日、前菜に頼んだロゼットとセルリレムーラード |
お値段もとてもお手頃で、テリーヌ3.5€、キャロットラペ(人参サラダ)1€、セルリレムーラード(セロリアック・セルリラブ根セロリのサラダ)2.7€、フライドポテト2.5€、ニシンのフィレのオイル漬け3.8€、エスカルゴ(12個)14.8€、などなど、ごくごく一般的にどこの家庭でも食べているようなものでありながら、本格的な味を楽しめます。
ビール・カクテル類も3.5€前後、ワインもハーフボトルで6〜10€程度です。
メインはお魚のメニューは少ないですが、お肉料理はステーキからローストチキン、鴨のコンフィ、シュークルート(アルザスの名物料理でキャベツなどの野菜と肉類を煮合わせたもの)、豚足料理、ビーフブルギニヨン(牛肉の煮込み料理)などなど、ガッツリと食べることができます。(こちらも6.5€から11€程度)
そして、何よりもこのお店が楽しいのは、1896年創業という歴史ある店内の作りで、入り口の回転扉から一歩、足を踏み入れると、当時にタイムスリップしたような、まるで映画のセットかと思ってしまうような当時と同じ雰囲気の空間が楽しめることです。
お店の入り口は回転扉 もちろん手動 |
白いシャツと黒いベストに身を包んだウェイター(女性も少数ですがいます)がお出迎え、席に案内してくれます。テーブルには、白い紙のテーブルクロスが敷かれ、席に着くと、メニューとグラスとパンが運ばれてきます。
メニューは一応、日替わりとなっていて、日によって多少、違いますが、レギュラーの人気メニューはほぼ不動です。このお店の面白いところは、オーダーをその紙のテーブルクロスにボールペンで書いていくことで、自分が何を注文しているのか、確認することができます。(もっとも、字が汚いので、解読不能な場合も多い)合理的といえば、合理的なこのシステム、パリでは他のお店では見たことがありません。
オーダーは紙のテーブルクロスに手書き |
フランスのレストランでは、パンは水のような扱いなので、頼めばもっと持ってきてくれますが、まあほぼ充分過ぎる量なので、パンのおかわりをしたことはありません。
天井の高い広いお店で一部、一階席を見渡せる2階席部分もありますが、大変な人気店のため、食事時には、お店の前に行列ができ、常時、行列用の赤い太いロープが用意されています。
行列前提で、並ぶためのロープが常設されている |
大混雑していて、かなりざわざわした感じながら、閉塞感がないのは、この広いホールのような高い天井のせいかもしれません。
地元のパリジャン・パリジェンヌはもちろんのこと、ヨーロッパからの観光客にも人気のお店のようで、先日、行った時はドイツ人のご夫婦と相席でした。
気取らずに、どこか大衆食堂のようでありながら、しかし、どこか格調高い雰囲気もある古き良きパリの空間がそこだけ現代に残っているようなそんな気分を料理と共に味わうことができます。
トイレの前の駅のような看板 |
パリにいらした際には、星付きの高級レストランも良いですが、こんな感じのレトロな雰囲気を味わえる庶民派レストランも地元の民の雰囲気が味わえて楽しいです。
レストラン シャルティエ パリ
⭐️BOUILLON CHARTIER Grands Boulvards
7 Rue du Faubourg Montmartre 75009 Paris
11:00~23:00(月〜金)、11:00~00:00(土・日)
メトロ8・9号線 Grandes Boulvardsから徒歩1分
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