今週、「マクロン大統領が演説をする」というアナウンスがあったのは、日曜日のこと。マクロン大統領がじきじきに、演説を行うというだけで、内容は、ほぼ、3回目のワクチン接種についての話であることは想像がついていました。
それ以来、フランスのツイッターのトレンドには、「マクロン演説」、「ロックダウン」などのワードがトレンド入りする騒ぎになっており、それだけで(まだ内容の詳細が定かではないうちから)、ワクチン接種の予約が急増し、1日の予約が97,000件を突破するという絶大な影響力を示していました。
特にWHOが第5波の震源地が再びヨーロッパであり、感染拡大の深刻な影響が考えられると発表したこともあり、(主には東欧とドイツ・イギリスなど)フランスでも徐々にではありますが、感染状態が悪化に転じていることからも、このままの状態を放置するわけにはいかないことは、皆、わかっているのです。
特にリスクが最も高いと言われる高齢者(65歳以上)の人は、早くに2回のワクチン接種が終了していることもあり、その効果が薄れ始める時期も早くに迎えることから、その対応は急がなければなりません。
マクロン大統領は、「2020年12月の初回予防接種以来、10ヶ月で1億回以上の接種が行われており、5,100万人が2回のワクチン接種が終了しており、ヘルスパスのおかげでコロナウィルスの流行をなんとかコントロールすることができてきました」と、演説を始めました。
「しかし、私たちはパンデミックに終止符を打つことができず、何万人もの人がCOVID LONG(長期コロナ感染症)の影響を受けており、味覚の喪失や持続する倦怠感、精神的な痛手などの症状に苦しみ続けています。」
マクロン大統領は、まだ1度もワクチン接種をうけていない600万人に連帯の精神を求め、「自分自身を自分の周囲の人を守るためにワクチン接種を受けてください!」と訴え、現在、ワクチン接種は12歳未満の子供を除いて誰にでも門戸は開かれており、ワクチン接種を受けた人は、重症化して病院に入院する可能性が11倍少ないと説明しています。
そして、「ワクチン接種は普通に生活できるためのものであり、フランスのような国で自由であることは責任があることを意味します」と語りました。
「新たな流行に直面している今の解決策は、3回目のワクチン接種であると判断し、65歳以上で最もリスクの高い人々を保護するために、これらの人々に対して、2回目のワクチン接種から6ヶ月以上経過している場合は、今すぐに予約を入れてください。」と言い、2回目のワクチン接種から6ヶ月以上経過している場合には、3回目のワクチン接種をできるだけ早くに済ませ、12月15日からは、ヘルスパスの有効期限を延長する必要があることを発表しました。
つまり、とりあえずは、65歳以上の人々のヘルスパスは2回目の接種から6ヶ月経過した場合は12月15日から、ヘルスパスが無効になるということです。
そして、12月初旬からは、50歳から64歳の3回目のワクチン接種キャンペーンが開始されます。つまり、現段階では、3回目のワクチン接種をしないと12月15日からはとりあえず65歳以上のヘルスパスは失効するということですが、これは、最初の2回のワクチン接種を高齢者を優先に始めて行ったのと同じ順番で、徐々に年齢を下げて、最終的には、全ての年齢枠において、ヘルスパスは3回のワクチン接種をしていなければ失効することになるということだと思います。
そもそもヘルスパスは、私たちが公共の場所(カフェやレストラン、娯楽施設や文化施設など)において、少しでも感染のリスクを減らすためのもの、ワクチンの効果が薄れている人が同じ場所に集うのでは、ヘルスパスの意味がなくなります。
マクロン大統領は、ヘルスパス適用の管理は今後も強化されるとしています。また、このおかげで、私たちは、日常生活を封じることなく生き続けることができると説明しています。
今、私たちが所有しているヘルスパスには、名前とワクチン接種をした日付、ワクチンの種類と生年月日のみが記載されています。つまり、このワクチン接種の日付と年齢でヘルスパスの失効を整理していくということなのだと思います。
マクロン大統領はこれまでのフランスの歴史を振り返っても連帯によって、多くの危機を乗り越えてきたと語り、「我々を、自分自身を、そしてフランスを信じてほしい」と国民にむけて熱く語りかけました。
7月12日のヘルスパス施行の発表の時もなかなかの衝撃で、これにより、多くの人がワクチン接種を急ぎ始めましたが、今回の「3回目のワクチン接種をしないとヘルスパスが失効する」という発表もまた、大きな影響を及ぼしたようで、マクロン大統領のこの演説から1時間以内に10万件以上のワクチン接種の予約が入ったということで、フランス人も意外と従順?なのかも・・と思ったりもしましたが、結局のところ、今回の場合は、2回のワクチン接種を浸透させるためのヘルスパスによる効果にある程度、国民は納得しているということもあり、また、何よりも自由な生活を勝ち取るためのワクチン接種というように国民がとらえていると考えることもできます。
ヨーロッパでの感染拡大が深刻化している中、フランスが現段階ではそこまで深刻な状況に陥ってはいないことは、どう考えてもヘルスパスのおかげであり、フランスのヘルスパスのような確固とした規制がなくとも、ワクチン接種があっという間に進み、感染も落ち着いてきた日本とは違うのだとつくづく思うのです。
ですから、このワクチン接種の効果が減少していく6ヶ月後というタイミングでフランスがあらためて、3回目のワクチン接種を進めるためには、マクロン大統領の新たな政策は、必要なことであったと思っています。
今回のマクロン大統領の演説は27分間(ワクチン接種の話は正味半分)、この27分間で1時間の間に10万人を動かすのですから、彼の演説効果は凄まじいものです。
3回目のワクチン接種 ヘルスパス失効
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