2021年11月23日火曜日

ヨーロッパ感染再拡大による締め付けへの反発

   

抗議運動から発展した暴動で荒れているグアドループ


 ヨーロッパでのコロナウィルス感染が急速に再拡大している中、各国が続々とロックダウンや制限の強化を急ぎ出した中、拡大しているのはウィルスだけではありません。

 特にオーストリアでは、急激な感染拡大のために、先週、発表したワクチン未接種者のみのロックダウンから、さらに大々的なロックダウンの措置(一般の店舗、レストラン、クリスマスマーケット、コンサート、美容院などの営業停止)を取ることに加え、2022年2月には、全国民(成人)へのワクチン接種義務化を発表しました。

 ほんの数週間前までは、現在のようなシナリオなど想像もつかなかった状況で、元保守党首相のセバスティアン・クルツは、「少なくともワクチン接種を受けた人々にとって、パンデミックは終わった」と宣言していました。

 この急激な状況の変化に伴う制限の強化は国民感情からすれば、余計に反発を感じるのも無理からぬことに違いありません。クリスマスシーズンに向け、スタートを切ったばかりのクリスマスマーケットなども全て閉鎖になりました。

 オーストリアをはじめとするオランダ、ベルギーなどの国々では、この急激な行動制限等に敵対するデモや集会が激化し、暴力行為が拡大しています。フランスでもグアドループでは、ヘルスパスや医療従事者へのワクチン接種の義務化に敵対する集団が、暴力行為に走り、店舗を襲ったり、車を燃やしたりする大騒ぎになっています。

 もっとも、グアドループでの暴動に関しては、全ての抗議運動は、パンデミック対応に関する理由だけではなく、暴動を起こす口実に過ぎないとも言われており、これはより深刻な社会的危機の表れであり、政府の決定に対する疑念と高い失業率(17%)が社会的な不安を起こしているとも考えられます。

 オランダでは、3夜連続で暴力行為により、警察の銃撃により、4名が負傷、週末の暴動に介入した145人が逮捕、サッカーの試合場での過激な暴力行為、小学校放火、その他、物的損害を引き起こす花火まで、次々と暴力的な破壊行為が続きました。

 オーストリア・ウィーンでは、抗議のデモに40,000人が集結し、ブリュッセルでは、35,000人のデモ参加者と警察が衝突しています。

 これらの抗議運動は、明らかにワクチン接種により、取り戻し始めていた日常を再び奪われること、政府の急な感染対策の変更が原因であることは明白です。
 
 フランスは、すでに7月の段階でヘルスパスが適用され、当初はその反発により、大規模なデモが起こったりしていましたが、ヘルスパスのおかげで現在のところは周囲のヨーロッパ諸国よりは感染拡大の波は比較的低い状態です。

 とはいえ、フランスでの感染拡大も確実に速度を早めており、もしも、現在以上の規制を敷かなくてはならなくなった場合は、フランスでも同じような抗議運動が拡大する可能性は大です。

 ヨーロッパは感染の拡大だけでなく、その急激な感染対策に抗議するデモやその暴徒化の拡大も心配される困った状況です。

 フランスでは、グアドループでの暴力的な行為に、カステックス首相が国民に向けて緊急演説、落ち着きと責任を訴えかけ、暴力・破壊行為は決して許されないことであるとし、秩序を回復するためのあらゆる手段をとることを発表しました。

 ところが、そのカステックス首相がなんとコロナ陽性であったことが、その直後に発表され、首相自身が感染したニュースのインパクトが大きく、演説が霞んでしまいました。
 しかし、現在のタイミングで、首相までも陽性とは・・感染拡大がどんどん広まっていることを感じずにはいられないのでした。

ヨーロッパ感染再拡大 抗議運動暴徒化


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