2022年1月11日火曜日

ワクチンパス反対デモの拡大とデモ過熱によるサンピエール・エ・ミクロンでの代議士個人攻撃

   



 先週末は、フランス全土で、ワクチンパス反対、ワクチン反対などを訴え10万5000人がデモに参加しました。

 今回のデモは、ワクチンパスが施行される直前ということもあり、また、マクロン大統領がこの数日前にワクチン非接種者についての過激な発言をしたこともあり、年末年始にかけては、少しずつ減少していたデモ隊が再び、増加し始めています。

 パリでは3つのデモ隊に分かれて18,000人が参加しています。デモに参加している人々の主旨は様々で、ワクチン接種そのものに反対している者、ワクチンパスに反対している者、政府の強引なやり方に抗議する者、自由を制限されることに対して抗議する者、マクロンの過激な発言に対して抗議する者などがごちゃ混ぜになっています。

 もともと、フランスのこのヘルスパスやワクチン接種に関するデモは、もうずっと途切れることなく続いており、特にヘルスパスの施行が発表された直後は23万人以上が集まる大変な盛り上がりを見せていましたが、ワクチン接種が進み、ヘルスパスが浸透するとともに少しずつ縮小していたので、フランス全土で10万人超えのデモは久しぶりのことです。

 いつものことですが、警備にあたる警察との衝突もいくつか起こっており、パリ市内では、逮捕者10名、軽傷者3名、他の地域では24名の逮捕者、軽傷者7名が発生しています。

 これらのデモは時には暴徒化することあっても、街中を練り歩いて行進して歩くのが普通ですが、このデモが、フランス領サンピエール・エ・ミクロンで、ワクチンパス反対のデモ隊が過熱し、代議士の個人宅を攻撃するという事態にまで陥る事件が発生しました。

 

 過熱したデモ隊の一部が、代議士宅へ向かい、デモ隊と対話をしようと家の前の階段の上に現れた代議士に向かって多くの人が彼に向かって石を投げ続けたのです。

 デモによる抗議活動は、認められているものですが、個人攻撃は、明らかにルール違反。襲撃を受けた代議士は、顔見知りの者もいる集団が自分に怒りを向け、石を投げつけられ、彼がしていたマスクを引きちぎられ、「ウィルスは存在しない!」と叫び襲いかかるものもいたそうで、その際の恐怖と憤りを語っており、この襲撃者たちを告訴する意向を表明しています。

 政府の決定に対して、また長期間おさまることのないパンデミックへのやり場のない怒りをぶつける標的を個人に向けることは、あり得ない話、ましてや最も個人的な私邸への襲撃とは、警備する警察官もたまったものではありません。

 このように実際の暴力的なかたちでの攻撃は、さすがに珍しいものではありますが、SNSによる抗議や脅迫メールなどは、後を絶たないと言います。

 マクロン大統領は、サンピエール・エ・ミクロンで起こったこの代議士への「耐え難い」「容認できない」攻撃を糾弾し、特定の被害者の苦情を現地で集める可能性に言及しました。

 マクロン大統領が行った「ワクチン未接種者を非難し、彼らを怒らせたい」と言った過激な発言は、一部の国民の怒りを過熱させ、過激な暴力行為に向かわせてしまったかもしれません。

 警察は「政府の決定に最も敵対する者たちが再び標的となりうる国会議員やその事務所に注意を払うべき」と対策を検討中です。

 今、戦うべきは、ウィルスであって、人と人ではないことを思い出してほしいです。


サンピエールエミクロン ワクチンパス反対デモ


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