2022年1月21日金曜日

1月24日ワクチンパススタートと感染対策規制緩和の日程

  


 カステックス首相は、20日、ワクチンパスによる制限を1月24日からスタートすることを発表しました。これにより、ワクチン未接種者は、これまでヘルスパスでアクセスできていた場所には、入場できなくなります。

 しかし、ワクチンパス自体よりも、それと共に発表された他の制限解除の日程の方に注目が集まり、ワクチンパスによるワクチン未接種者への締め付け(締め出し)には、これまでさんざん議論が続けられてきたこともあるのか、同時に発表されたその他の規制解除の日程と内容に注目が集まりました。

 締め付けとともに、規制解除を発表するのは、前日のイギリス首相の「多くの感染対策に関わる規制を終了する」という発表も影響していると思われますが、同時にワクチンパスでの締め付け感を和らげる意向も感じられます。

 以前にマクロン大統領が、ロックダウンの延長とロックダウンを徐々に解除していく日程を同時に発表したことがありましたが、あの時と同じやり方です。

 1月24日にワクチンパスが施行され、その1週間後には、屋外でのマスク着用義務化とリモートワークの義務化が撤廃され、さらに、その2週間後には、ディスコ、カフェやバーでの立ち飲み、スタンディングコンサートが解禁される予定です。

 とはいえ、ワクチンパスというワクチン未接種者への締め付けと、正反対とも思える感染対策のための制限緩和という、一見、矛盾しているような対応策は、フランスでの感染者数は、ここ数日、40万人を超える状況でありながら、感染者の97.8%がオミクロン株による感染(2.2%がデルタ株による感染)に置き換わっていることが理由の一つに挙げられています。

 感染力は強くても、重症化するケースが低いこともあり、また、このオミクロン株がワクチン接種をしている人でさえ、感染するとはいえ、ワクチン接種者の場合は、4.5倍感染を回避し、25倍重症化を回避する効果があると説明しています。

 イギリスでの制限解除では、1日あたり未だ10万人以上の感染者が出ているものの、感染は減少傾向にあり、医療体制は、安定してきているためであるとしていますが、フランスの場合は、未だ、顕著な減少傾向は示しておらず、時期尚早であると不安の声も上がっていますが、フランス人が規制の緩和に反対するケースは一般的には考えづらく、今後、さらにワクチン接種を強化し、コロナとの共生に進んでいく方針だとみられます。

 ただ、屋外マスク義務化の解除や、リモートワークの義務化の解除とはいっても、実際に義務化が徹底しているわけでもなく、正直、大した変化があるという気はしません。先日、ランチをしにレストランに行ったら、店内は、ぎゅうぎゅう詰めの大混雑で、ヘルスパスのチェックはあったものの、食事の場ゆえ、マスクをしているのは、店員さんだけで、なんだか、これで屋外マスクの義務化してもなぁ・・と違和感を感じたのも確かです。

 つまり、多くの規制があるものの、現実のフランス人の生活は、すでにあまり規制されていないということです。

 政府はどちらかといえば、ワクチンパスに対する国民の反発を恐れていて、この発表の際にも、此の後に及んで、「これは、ワクチン接種の義務化ではない」などと言うのは、おさまりの悪い感じも拭えないのです。

 このワクチンパスと感染対策の規制緩和は、ワクチンパスによる効果をかなり楽観的にとらえている内容で、カステックス首相は、「ワクチンパスの導入が発表されて以来、100万人以上のフランス人が予防接種に踏み切った」と語っており、ワクチンパスが実際にスタートすれば、さらにこのワクチン接種率は上昇すると見込んでいるようです。

 そして、現時点でのワクチン未接種者への救済措置として、一定の条件のもとでワクチン接種の全スケジュールを取得する(現在から2月15日までに1回目の接種をする人は、1ヵ月後に2回目の接種をすること、その間に24時間以内の検査で陰性であることを証明することで仮ワクチンパスの恩恵を受けられるようにする)ことを提案し、ワクチン未接種者に手を差し伸べています。

 規制緩和で注意が逸されているものの、これは、あくまでも国民をワクチン接種に導くものであることがわかります。

 つまり、感染力が高いとはいえ、ワクチン接種をしていれば、かなり重症化を避けられる状態で、ワクチン接種率があがれば、もはや感染者数は問題にするべきではない考えられているということでもあります。

 しかし、現在蔓延しているウィルス(オミクロン株)に対しては、ある程度は許容できるものかもしれませんが、パンデミックは終わっておらず、ウィルスは常にそこにあり、変異を繰り返していることを考えれば、決して油断できるものではありません。

 とはいえ、長引くパンデミックを規制に縛られながら暮らし続けることは、これもまた、経済的にも精神的にも不可能なことであり、結果として、新規感染者数が毎日40万人を超える事態でも、このような決断に踏み切ったと思われます。

 ワクチンパス施行開始の宣言とともに、感染状況が改善し、特に病院での病床圧迫が恒久的に減少した場合、(集中治療室で数週間も新患が来なくなったり、医療逼迫が最低レベルまで下がったら)ワクチンパスは中断される可能性があるとも説明しています。

 このワクチン接種への追い込みと規制への緩和ムードに傾きつつあるフランス、ヨーロッパですが、日本の鎖国は、いつまで続くでしょうか?


フランス1月24日ワクチンパス開始 感染対策規制緩和


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