2022年1月3日月曜日

感染者隔離期間の緩和 フランスの新しい隔離のルール

   


 フランスでの新型コロナウィルス感染が、爆発的に増加していますが、現段階でのオミクロン株に関する感染速度と感染力の強さは認められるものの、症状が悪化する割合が低いという比較的楽観的なデータに支えられ、政府は規則の一部を緩和することを選択しています。

 というのも、フランスの感染があまりにも急激に拡大したために、11月中旬から12月中旬にかけて、隔離を余儀なくされた人々による労働停止の数は、5763件から42541件へと7倍以上になり、12月後半から年末にかけてのさらなる感染拡大は、ちょうどノエルのバカンスに重なったために、実際の職場での隔離のための病欠は、大々的には表面化していませんでしたが、これまでどおりの隔離基準を継続した場合は、事実上のロックダウン状態に近い状況になることは必須。

 社会機能を停止させないために、社会生活継続と感染のリスクのバランスを計り直す必要がありました。

 これまで感染した場合には、変異型に関係なく、10日間の隔離が求められていましたが、ワクチン接種済み(2回)の場合には、7日間の隔離に短縮されました。また、5日目にPCR検査を受けて陰性であれば、その時点で隔離生活からは解除されます。ワクチン未接種者に関しては、10日間の隔離、7日目に検査の結果が陰性であれば、隔離は解除されます。

 また、感染者に接触した者については、ワクチン接種済みの者に対しては、「定期的に(即日、2日後、4日後)検査を受けることを条件に(検査結果が陰性の場合)隔離は不要となりますが、ワクチン未接種者については、7日間の隔離が求められます。

 そして、医療従事者については、さらに具体的な隔離のルールが検討されており、公衆衛生高等評議会は、医療従事者が 感染していても、症状がないか少ない場合は、一定の条件下で、仕事を続ける可能性を検証しています。

 この件に関して、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「医療従事者はもともとワクチンを接種しているうえ、健康に対する緊張感が非常に高く、職員や接触者の陽性例が多いことから、医療の継続を可能にすることが問題である 」「リスクは常にありますが、陽性でも無症状の医療従事者を働かせるのと、ベッドを閉鎖するのとでは、リスクが最小になるように戦略を立てています。」と語っています。

 医療従事者がたとえ感染していても、条件付きで働くことは、病院の人員不足という根本的な問題を解決するものではなく、「急性期を乗り切るための一過性のプラスター」だとしています。つまり、現在のフランスは、感染している医療従事者に働いてもらわなければならないほど、病院の医療体制が逼迫しつつあるということなのです。

 現在のフランスの病院でのコロナウィルスによる集中治療室の病床占拠率は70%にも達しており、いくら、オミクロン株が重症化する率が低いとはいえ、毎日のように20万人近い感染者が出ている状態では、病床が逼迫していくのは、必須であり、医療従事者の隔離のために病床をさらに閉鎖した場合のリスクは、他の職業に比べてあまりにリスクが大きいという判断の上のことだと思います。

 まさに隔離云々以前に、感染しても働けというのは、人道的にどうかという声も上がりそうですが、すでに、感染状況もアクセルがかかり続ける状態で、ノエル、年末年始を過ごした後に、学校も仕事も全て再開される1月は、さらなる感染の増加は不可避の状況で、社会生活と感染拡大のリスクの間のバランスを考えて、苦渋の選択をしたと言わざるを得ません。

 感染の爆発的な増加中に隔離のルールを緩和しなければならないのは、本来ならば真逆の対応で、大変リスキーなことに違いありませんが、スイス、スペイン、アルゼンチン、ポルトガル、イギリスなどの他の国々がすでに同様の理由から同様の措置を採用し始めているため、これらの国々よりも感染の増加は激しいフランスもこれまでの隔離措置を継続していくのは、困難であると判断したと見られています。

 ワクチン接種以外は、検査、隔離を原則としてきたルールがこの感染爆発の現状でのまさかの隔離期間を緩和させなければならない厳しい状況に、フランスは、まさに綱渡りの綱がさらに脆くなった状況に追い込まれていると言わざるを得ません。

 新年早々、非常に厳しい状況は、もう昨年末からわかってはいたこととはいえ、あまり幸先のよいスタートではありません。1月半ばには、ヘルスパスがワクチンパスになりますが、これを機に、なんとかこの間を持ち堪えている間に、ワクチン接種が進んでくれることを、もう、祈るような気持ちです。

フランスの隔離緩和


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