2021年12月28日火曜日

1月初旬には、1日の新規感染者は25万人を超える! 政府が発表した感染者急増への感染対策

   

 

 ノエルとともに1日の新規感染者数が10万人のしきい値を超えたフランスは、これからさらに年末年始を迎えるタイミングで新たな感染対策を発表しました。

 週明けに招集された国防会議の結果を発表すべく、カステックス首相とオリヴィエ・ヴェラン保健相は記者会見を行い、まず冒頭にカステックス首相が「フランスでもヨーロッパと同様に、状況は極めて緊迫しており、新しい波が大陸に押し寄せ、この積み重ねが、10万件というシンボル越えを実現し、発症率(10万人あたりの感染者数)は700を超え、パンデミック以来最高となった」と述べました。

 この感染拡大をなんとか抑えるためには、ワクチン接種の加速が、なによりも重要で、フランス政府は、Haute Autorité de Santé(HAS)(高等保健機構)の勧告に従って、2回のワクチン接種から3ヶ月後にブースター接種を行うことになりました。

 ここ1ヶ月ほどの間に6ヶ月間だったワクチン接種の間隔が5ヶ月、4ヶ月、そしてとうとう3ヶ月になりました。

 早い人は、今年の9月の段階で3回目のブースター接種を受けていますが、ワクチン接種の間隔が3ヶ月となると、すでに3ヶ月をそろそろ経過することになります。当然、4回目のワクチン接種が必要となる可能性が出てくるのですが、この4回目のワクチン接種については、3回目のブースター接種を最も早く進めたイスラエルと連携をとりながら、検討して、必要な場合は、すぐに発表されるということです。

 すでにノエルの段階で、10万人のしきい値を超えたことがわかっている国民は、31日から元旦にかけてのカウントダウンには、ロックダウンになるのではないか? 通常の予定どおりならば、ノエルのバカンスは1月2日までで、3日からの学校再開が先延ばしになるのではないか?などの声が上がっていましたが、予想に反して、大晦日のロックダウンは行われず、学校も予定どおり1月3日に再開することになりました。

 しかし、少なくとも3週間は、大規模な集会は、屋内で最大2,000人、屋外で最大5,000人に制限され、スタンディングコンサートは禁止、公共交通機関、映画館での飲食が禁止されます。

 レストラン、カフェ、バーなどでは、着席のみの場合の飲食に限られます。

 また、週3〜4日のリモートワーク義務化、地域ごとの判断により、一部の都市中心部で屋外でのマスク着用義務化が検討され、復活します。

 また、政府は昨今、問題になっている偽造ヘルスパスに対する罰則を強化することも併せて発表しています。

 そして、現在問題になっている感染者、及び接触事例の隔離期間(隔離しなければならない人々が増加しすぎて社会機能不全をおこしている)については、さらにHAS(高等保健機構)との慎重な協議の上、週末にも新しい隔離期間についての変更を発表することにしています。

 同時にオリヴィエ・ヴェラン保健相は、現在のフランスの感染状況について、フランスは2つの異なる亜種に関連する2つの波(デルタ株とオミクロン株)に同時に直面しており、それらを抑制するために2つの異なる補完的なタイプの対策が必要であることを説明しています。

 特にオミクロン株については、以前の変異株(特にデルタ株)よりもずっとずっと感染力が強く、少なくとも3倍以上感染力が強いと指摘。この伝染力は、患者数が2倍になるまでの時間、いわゆる「ダブリングタイム」に反映されています。デルタ株では12〜15日かかっていたものが、オミクロン株では2日で倍増しています。

 このデータから計算すると、1月上旬には、1日の新規感染者数が25万人を超える可能性があることも示しています。

 この感染速度は、パンデミック発生当初から経験していることとは比較にならないほどのレベルであり、オミクロン株はすでにコロナウィルスに感染している人に感染する可能性もあります。

 しかし、他の変異株に比べてワクチンに対する感受性は低いものの、3回目のブースター接種で、90%以上まで上昇するとしています。

 現在、オミクロン株によるリスクが最も高いのは、ワクチン未接種者、また、2回のワクチン接種はしているが、ブースター接種をしていない高齢者や既往症を持つ人々であると述べています。

 1日の新規感染者数が10万人を超えた時点で、私は、すでに震え上がっていますが、今回の感染対策は、この1日で10万人以上が感染しているという状況にしては、かなり緩く、甘々な対策で、やらないよりはやった方がよいことに違いはありませんが、今さらのように、屋内空間(映画館など)での飲食禁止とか、レストランなどでは、着席義務(食事中は歩き回らない)など、今さら禁止されずとも良いはずのことで、「子供かよ!」というような禁止事項には、言葉が出ません。

 マクロン大統領は、年末年始にフランス国民に過剰な強制的措置をできるだけ与えない意向だそうですが、ワクチン接種のスピードアップには限度があり、その効果を待つ間に一体、どれだけ感染が拡大してしまうのかと思うと、ちょっと信じ難い甘さです。

 おそらく、来年4月の大統領選挙を前に国民を締め付ける決定を避けている気がしますが、ここで、感染がさらに拡大しても、結果的には、今回の決断は失敗であったという烙印が押されることになります。

 ノエルでさんざん人々が集った結果がまだ出ていない今、さらに大晦日から元旦のカウントダウンを大した制限もなく迎えるのは、どう考えてもさらに感染が拡大することは避けられないような気がしています。

 このままでは本当に1月初旬には、1日25万人の新規感染者を叩き出すかもしれません。


年末年始感染対策 フランス大統領選挙


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