2021年12月14日火曜日

1月には、フランスにオミクロン株による第6波が来るかもしれない

   



 現在、ヨーロッパでは、イギリスとデンマークでオミクロン変異株が爆発的に増加しており、両国では、近いうちに、オミクロン株が既存のデルタ株を抑えて優勢になると見られています。

 これまでもフランスは、イギリスの1ヶ月〜2ヶ月遅れでウィルスの流行を追っているような傾向があり、現在、人口10万人あたりの発症率が500人を超えるデルタ株がほぼピークに達していると言われているフランスでは、オミクロン株による症例は、約60例検出されています。

 この周囲の国の状況から、パリの公的機関であるAP-HP(Assistance publique - Hôpitaux de Paris)の事務局長は、このオミクロン株のために「1月」には、フランスで「第6波」が起こる可能性を示唆しています。

 まだ、「第5波」の真っ只中にいるうちから、「第6波」の予告とは・・「第5波」の波が下がることなく、そのまま「第6波」・・。

 いずれにしても、イギリスとデンマークのケースから、今後数週間のうちにフランスで起こりうることを予見しているのかもしれません。

 現在、イギリスでは、オミクロン株に関連した感染者数は、2〜3日ごとに感染者数が倍増しており、これはパンデミック以来、最も速い感染率と言われています。12月13日現在、イギリスでは、1,576件のオミクロン株感染が報告されていますが、1週間前には90件でした。(なんと1週間で17.5倍です)

 オミクロン株による感染者は全体で4,700人とされていますが、実際の感染者数はもっと多い可能性があり、英健康安全庁(UKHSA)は、現在の1日あたりの感染者は約20万人に上ると推定しています。

 今回のオミクロン変異種の発生は、既存のデルタ変異種と重なっており、国内の感染者数は2021年1月以来の水準まで増加しており、毎日、平均して、5万件以上の症例が報告されています。

 現在のオミクロン株の正確な危険性や重篤な症状を引き起こす能力は、まだ解明されていませんが、たとえ、この変異種の危険性が低いことが分かったとしても、この異常な感染の速さはから、これまでよりも多くの感染者の波が病院を圧迫することを懸念しています。

 感染者数が多いので、重症度が低くても、絶対数が多くなるということです。

 残念ながら、オミクロン株は、入院が必要な症例も引き起こしており、イギリスでは、少なくとも1名の患者がオミクロン株で死亡したことが確認されています。

 緊急に会見を行ったイギリスのボリス・ジョンソン首相は、「このオミクロン株がウィルスの毒性が弱まったバージョンであるという考えは、否定しなければならないことであり、ウィルスの広がる速度が加速していることを深く認識する必要がある」と語っています。

 11月末にイギリスで検出されたオミクロンは、すでにロンドンでの感染の40%を占めており、近いうちにイギリスに蔓延するコロナウィルスの主流になる可能性があります。

 また、デンマークでは、2,471件のオミクロン株による症例が報告されています。人口580万人のこの国では、1週間前には25件だった感染者数が、12月7日には581件に急増、なんと1週間で23倍に増加しています。

 現段階では死亡率は高くはありませんが、これは、感染から死亡までの時間によるタイムラグがあることや、ウィルスに対するワクチンの有効性も考えることができます。

 オミクロン株が優勢になってきている両国では、ブースター接種を加速するという同じ戦略を選択しています。まさにオミクロン株の感染の速さとブースター接種の拡大の時間との戦いが始まっています。

 ボリス・ジョンソン首相は、イギリスの18歳以上のすべての人に予防接種を提供するという目標を1カ月前倒しし、新年までに予防接種を受けることができるように3回目の接種数を1日約100万回に倍増させることを目指しています。 

 初期のデータでは、2回の接種ではオミクロン株に対する十分な防御効果が得られないと考えられていますが、3回の接種では70~75%程度の適切な感染防御効果が得られるとされています。

 イギリスでは2,300万人以上がすでにブースター接種を受けており、これは人口の36%に相当し、英国人口の75%が少なくとも1回のワクチン接種を受けています。

 フランスでは、1,500万人(人口の22%)がブースター投与を受けており、クリスマスまでに2,000万人の達成を目指しています。フランス人の約77%が少なくとも1回のワクチンを接種しています。

 デンマーク保険当局は、40歳以上のすべての人を対象に、ブースター接種を前倒しし、2回目の接種から4ヶ月半後にワクチンの追加接種を行うことを決定しました。18~39歳の年代にも追加で接種しますが、接種から5ヶ月半後になります。

 約120万人のデンマーク人がすでに追加投与を受けており、これは人口の21%に相当します。デンマーク当局は、年明けまでにさらに150万回の投与を見込んでいます。

 また、デンマークでは、学校や大学の閉鎖、ナイトライフの縮小、テレワークの導入など、新たな規制も導入しています。

 現在のところは、このオミクロン株の何よりの脅威は、この感染の驚くべき速度のようで、イギリスのヘルスコントロールのリーダーの一人であるロンドン・インペリアルカレッジの教授は、最悪の場合、最大1万人の入院がこの変異種と関連して起こる可能性があると示唆しています。

 そして、これは、足し算ではなく掛け算の増え方である・・と。

 予備的な研究では、ワクチンを接種することで、オミクロンへの感染を防ぎきることはできないものの、重症化するリスクを減らすことができると考えられています。

 これは、ワクチンを接種していない人の方がリスクが高いということになります。忘れてはならないのは、フランスの成人人口の約9%が全くワクチンを接種していないということです。

 この9%のうち、かなりの割合の人がコロナウィルスに感染したことがありません。オミクロンは、ワクチンを接種した人にも感染する能力があるため、これほど速く流通すると、ワクチンを接種していない人もすぐに感染してしまう危険性があります。

 過去を遡れば、フランスでの最初の医療崩壊の波は、65歳以上の人の約3%にしか影響していなかったにもかかわらず、病院が飽和状態になるほどだったことは、恐ろしい現実です。

 オミクロン変異種の深刻さについてはまだ不確定要素が多く、未知の部分が大きいようですが、いずれにしても、この新種がフランスを含むほとんどの国で定着し、大規模な感染者が発生する可能性が高いと考えられているのです。

 フランスでは、このオミクロン株のモニタリングが充分にされていないだけであって、実際のオミクロン株感染者はずっと多いと考えられています。フランスは、この変異株の種類の特定以前に感染者数は十分に急激に増加しているため、結果的には、イギリスやデンマークと同じ、ブースター接種の拡大を始めています。

 気を抜けない生活は、再び年を越しそうな気配です。


フランス第6波


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