フランスでは、普通、一般的な場所での商店は、日曜はお休みです。レストランやカフェなどは、営業していますが、普通のお店は、日曜休みという日本人からしたら、信じられない慣習が続いています。
それでもノエルが近づくと多くの商店は、特別に営業許可をとって、日曜日も営業しているお店が増えます。
我が家の近所にあるコマーシャルセンターも例に漏れずに、12月に入ると、コマーシャルセンターに入っている商店はどこも営業していますが、それでも余裕で閉店しているのは、薬局です。
数日前にこの薬局に薬をもらいに行った時に、目につきやすい位置に黄色い貼り紙が出ていて、「日曜日に3回目のワクチン接種(ブースター接種)致します!(ファイザー)予約不要」と書いてあり、びっくり!
書いてあるにもかかわらず、お店の人に「ここで予約なしにファイザーのワクチン接種が受けれるの?」と聞きなおしてしまいました。
この薬局が日曜日にオープンしているなんて、私がこのあたりに引っ越してきてから初めてのことです。幸いなことにというか、残念なことにというか、私は先週、すでに他でワクチン接種をやっと終了したところ・・。もしも、ここで予約なしにできたのなら、遠くまで(といっても大して遠くもない)行くことなかったのに・・と、ちょっと残念にも思ったのです。
どうやら、この薬局では、日曜日のコマーシャルセンターの人出を見込んで、この日に集中して予約なしにワクチン接種を行う作戦だったようで、当日、薬局を覗いてみると、薬局内には、動線が敷かれ、人が待っていられるように、いくつもの椅子が用意されていました。
ここ数ヶ月で感染悪化が急激に進み、一日平均5万人の新規感染者数を叩き出しているフランスは、この感染をなんとか抑えようと、先週、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、ノエルまでに2,000万人のフランス人が3回目のワクチン接種を受けられることを目標としていることを発表しています。
このペースを維持するために、薬局に日曜日も営業してワクチン接種を行うように呼びかけ、少しでも多くの人が少しでも早く、確実にワクチン接種ができるように体制を整えています。
この政府の呼びかけにより、我が家の近所の薬局も日曜日にオープンしてまで、ワクチン接種をしていたのですが、そんなことは、急に決まったことで、1ヶ月近くも前から予約をして、ワクチン接種のできるのをひたすら待っていた私には、なんとも拍子抜けした気持ちでした。
まあ、どちらにしても無事にブースター接種を無事に済ませたので、問題はありませんが、今は、状況がどんどん変わり、しっかりニュースを見ていないと生活に支障をきたしかねません。
しかし、このように急激な薬局でのワクチン接種の拡大にパリの薬局は、悲鳴を上げ始めています。そもそも、2回のワクチン接種率も全国的にも最も高いパリは90%以上の人が2回のワクチン接種を済ませており、2回のワクチン接種をしている人が3回目のワクチン接種には、さほど抗うこともなく、また、ノエルを少しでも安全に家族と過ごしたいという目の前に人参をぶらさげられた状態で、3回目のワクチン接種に駆け込むのは、当然のことです。
65歳以上の高齢者の2回のワクチン接種済みのヘルスパスの期限(12月15日)も間近に迫っていることも、このブースター接種を急ぐ人で立て込む薬局の一因になっています。
ちなみに12月15日は昨年もひと区切りの時期であり、フランスは家族とノエルを迎える権利を守るためにロックダウンが緩和されたタイミングでもありました。
しかし、振り返ってみれば、昨年の今頃の感染者数は1万人前後、感染者数だけ見れば、現在はその5倍以上です。(ワクチン接種の効果のため、重症化している人は昨年よりも少ない)
薬局では、この押し寄せるワクチン接種希望者に対応しきれず、人手不足に喘いでいます。政府から、提案されていた医学部の学生の応援も現在、試験期間中のために人は集まらないようです。
ワクチン接種自体は、時間がかかるものではありませんが、それに伴う問診や、ワクチン接種後の証明書の発行など、小さな薬局で一日に大量の人数をこなすとなれば、なかなかの仕事量になります。その上、通常の業務ですから、これは大変なことです。
12月6日の時点で、パリ警察庁は、今後15日間以内に、パリ市内に9つの追加の予防接種センターを開設すると発表していましたが、これができるまでの間も少しでもワクチン接種を進めようと薬局でのワクチン接種を開始したのです。
ヘルスパスの施行が発表されたのが、夏のバカンス直前の7月のことで、バカンスを安心して過ごすために、フランス人は、一気にヘルスパス獲得のためにワクチン接種に走りました。
そして、いみじくもその5ヶ月後の今がワクチン接種の有効性が落ち始めるタイミングが今度は、ノエル前という時期にあたり、今度はフランス人は、ノエルのために再びワクチン接種に走り出したのです。
幸か不幸か、フランス人にとって、何よりも大切なバカンスとノエルがちょうどワクチン接種の有効性が低下し始める時期に当たったことは、なんだか皮肉な現実ではありますが、国民にワクチン接種を浸透させるには、絶妙なタイミングであったと思わざるを得ません。
今後、ワクチン接種をし続けることになれば、毎年、バカンスの前とノエルの前には、薬局は、大賑わいになるのかもしれません。
日曜日の薬局でのブースター接種
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