現在のフランスでの新型コロナウィルスの感染は、デルタ株が主流とされていますが、オミクロン株もその間を縫って、着々と侵食しつつあります。現在のフランスでのオミクロン株は、感染者全体の7〜12%と言われていますが、セーヌ・エ・マルヌ、サルト、パリ(la Seine-et-Marne, la Sarthe, Paris)などの首都圏では、より高い割合になっており、感染者の20%がオミクロン株による感染に移行していると言われています。
コビットトラッカーCovidTracker(感染状況確認サイト)とViteMaDose(ワクチン予約サイト)のウェブサイトの創設者であるギヨーム・ロジエ(Guillaume Rozier)によると、オミクロンは国内で6.8%を超え、イル・ド・フランスでは20%、パリでは27%にもなる可能性があるといいます。
他の専門家はさらに悲観的で、CNRS の研究者である Florence Débarre 氏も オミクロン変異種がこの週末にイル・ド・フランスの症例の 50% を通過した可能性と、変異体の倍加時間が「2 日間程度」であることを示しています。
現在のフランスでは、感染者に対する変異種のスクリーニングは一部のケースにしか行われておらず、このオミクロン株の数については、非常に不確実なものであり、感染者数がここ1〜2ヶ月で、毎週のように10%以上の速い増加傾向を示していることから、感染速度の速いオミクロン株の数は、確認されている数字よりもずっと高い可能性があるのです。
イギリスの最新の研究によると、オミクロンに対するワクチン防御率は2回の接種で30%(ブースター接種では70%)に低下することがわかっています。重症化した場合の防御率は70%と依然高いながらも、オミクロンの危険性は、患者数が圧倒的に大幅に増え、ただでさえ医療体制が危機的状態に陥っている時に、危険にさらされている人たちに打撃を与えることです。
ファイザー社製ワクチンの共同開発者であるバイオテック社のCEOは、12月20日(月)のルモンド紙でオミクロン変異種は、メッセンジャーRNAワクチンの有効性を脅かす存在であることを指摘しています。
また、毎日新聞のインタビューを受けたウグル・サヒンによると、「3回のワクチン接種者も、この変異種でウィルス感染を広げる傾向があり、オミクロンに対する効果は時間とともに失われる可能性が高いが、そのスピードはまだ測定できていない」と語っています。
しかし、また同時に「オミクロン特別適応ワクチン」の開発もすでに発表されており、規制当局の承認が得られれば、3月には最初のオミクロン適応ワクチンを提供できるはずであるとしています。
また、12月中旬、南アフリカとイギリスの民間・公共団体の研究からは、「オミクロン株が我々の免疫システムを回避して、以前にコロナウィルスに感染した人に再感染する能力がある」ことも発表されています。
このように、オミクロン株については、様々な研究結果が発表されていますが、世界保健機関(WHO)も12月14日(火)、オミクロンの変異型が「他のどの変異型でも見たことのない速度で」広がっていると警告し、G7諸国の保健相は、「今日の世界の公衆衛生に対する最大の脅威」であるとして各国に協力を呼びかけています。
いずれにしても、クリスマス、年末年始を迎えるタイミングで、昨年とは違って、ワクチン接種が行われている状態にもかかわらず、すでに、爆発的な感染拡大を見せているオミクロン株は、十分に脅威的な存在であるに違いありません。
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