フランス人にとってのノエルは一年のうちの一大イベントで、そのチカラの入れようは、なかなかなものです。むしろ、新年を祝うお正月よりも重んじられている感もあり、たいていは、ノエルは家族とともに、新年のカウントダウンは友達同士で・・という過ごし方をする人が多いです。
日常は、どちらかといえば倹約家のフランス人もノエルの食事やプレゼントには、惜しみなくお金を使います。
街を歩いていても、明らかにクリスマスプレゼントであろう包みを抱えた人を多勢見かけます。それも、家族全員分なので、結構な量でかなりの出費になります。
多くの商店は、一年の売り上げの大半をこの時期にあげると言われています。
我が家も娘が小さい頃は、クリスマスイブの日の夜に、クリスマスツリーの木の下に、家族全員の靴をならべ、なぜか、その靴にオレンジを添えて、サンタクロースを待つという不思議なことをしていました。
そして、娘が寝た後に、クリスマスツリーの下に事前にあちこちから届いているプレゼントをツリーの下に並べておいておくのが習慣でした。
翌朝、娘が起きてきて、一番にクリスマスツリーを確認しに行き、嬉しそうに一つ一つプレゼントを開けていく様子がかわいくて、私たちにとっては、娘が嬉しそうにプレゼントを開けていく、その場面を見ることこそが何よりのクリスマスプレゼントでした。
このノエルのプレゼントの習慣は、相変わらずフランス人にとっては、とても大きなイベントではありますが、ここ数年、それに異変が起きているのは、そのプレゼントが即刻、転売サイトに掲載され、売り出されてしまうケースが急増していることです。
私は、Vinted(ヴィンテッド)というフランス版メルカリサイトのようなもので、家にある不用品を処分しつつ、ちょっとしたおこづかい稼ぎをしているのですが、このサイトも11月から12月にかけてが一番、品物が売れるので、この時期に狙いを定めています。
実際にそれは、クリスマスプレゼント用のものとして購入され、ノエルを過ぎるとパッタリと売れなくなるので、これまでは、この時期で今年の営業は終わり・・という気分でいたのです。
ところが、最近は、結構、そのサイトをノエルが過ぎても覗いている人がいるのを不思議な現象だな・・と思っていたのです。
楽天バロメーターによると、この1年間でフランス人の2人に1人以上がノエルのプレゼントの転売を行っているか、またはそれを検討していると言います。現に、あるサイトでは、25日の15時までに、60万件近くの広告が再販サイトに掲載され、2020年と比較して15%以上の伸びを示しています。(1月上旬までに300万個のクリスマスプレゼントが転売される見込み)
プレゼントの交換の時には、大袈裟とも思われるほどに喜びあっているのに、実のところは、そのプレゼントが即刻、転売に出されているところは、あれは芝居だったのか?と思ってしまいます。
無駄なものを持たずに、お金に変えてしまうあたり、さっぱりしているというか、がっちりしているというか、プレゼントを贈るときには、転売されないように、本人の希望を吟味する必要があるな・・と思います。
それでも、あまりにプレゼントが行き交うために、同じものをダブってもらってしまったりするケースやサイズ違いや好みではないものであったり、転売の理由はさまざまです。
実際に、子供などに対しても、これは、ちょっと物を与え過ぎではないか?と思うほど、ノエルには、甘々なフランスの親や祖父母なのです。
今年、最も転売サイトに掲載された物は、「レゴ・ハリー・ポッター」や「スター・ウォーズ」、ボードゲームの「スカイジョー」や「コードネーム」、そしてフランスのスター選手キリアン・エムバペが表紙を飾るビデオゲーム「FIFA 2022」などがあります。
スティーブン・キングの『アプレ』、漫画の『アステリックスとグリフィン』、バーナード・ウェーバーの『蜜蜂の予言』など、書籍は言うに及ばずです。
これらの転売サイトには、Vinted、Ebay、Leboncoin、Rakuten France、fnac.comなど、すでに数社が利用されています。
せめて、これらが廃棄されるのではなく、転売されて再利用されることは、救いといえば救いであるとも言えますが、なんだかせっかくのプレゼントを即日、転売されてしまうことも、空虚なプレゼント交換の習慣になりつつあるような気もします。
しかし、それらをこのタイミングで買う人は、もちろん、店頭で購入するよりも安い価格であることが魅力なのでしょうが、来年のプレゼント用に買い置きしておくのでしょうか?どちらにしても、合理的?といえば、合理的、ノエルのプレゼントで多くの人が散財しながらも、不要なものは、その日のうちにすぐに転売する、フランス人のガッチリして、現実的な一面が垣間見える新しい現象でもあります。
クリスマスプレゼント転売
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