2021年7月6日火曜日

フランス人はお金を使い出した 想像以上の速さで進むフランスの経済復興

   



 昨年3月以来のパンデミックで、フランス人は、お金の使いようがありませんでした。極端な富裕層や、貧窮層は別としても、一般的なフランス人は、きっと日本人がイメージするよりもずっと質素に生活していますが、それでも使うところは使います。

 彼らがきっと一番、お金を使うのは、バカンスや家族や友人と集まって食事をしたりする(外食も含めて)機会などで、特に贅沢に着飾ったり、身につけたりするものには、あまり派手にお金は使わず、どちらかというと倹約家、締まり屋(ケチともいう)の印象があります。

 しかし、昨年の3月からの約2ヶ月間のロックダウン(最初のロックダウンは本当にほぼほぼ外出ができませんでした)以来、2度目、3度目のロックダウンを経て、日常生活は大きく制限された生活が続き、昨年の夏のソルド(バーゲンセール)の時期なども、(フランスでは、ソルドの期間が国で決められています)時期がずらされ、夏に向けて、一時、感染が減少したのをいいことに、ソルドが始まった頃には、多くの人は、買い物よりもまずバカンスへと、買い物は二の次にして、バカンスに出かけてしまった後だったので、ロックダウンのためにたくさんの在庫を抱えてしまっている店舗の苦難をよそに、夏のソルドはさっぱり振るわない結果となりました。

 そんな状況を省みた結果、秋に再び感染が拡大してロックダウンになった際も、感染がある程度減少すると、フランス政府は、ノエルを前にロックダウンを緩め、商店を再開させ、ノエル用の買い物ができるようにしたのです。

 もともと、普段はケチなフランス人もノエルのプレゼントだけは、気前よく、家族全員のものを用意し、一年中でフランス人が一番買い物をする時期なのです。

 しかし、秋の感染再拡大により、再び、レストランやカフェ、映画館、美術館などはすべて閉鎖になり、フランス人にとって、日常を奪われた生活が続きました。

 フランスは、ロックダウン中、仕事ができない人々には、ずっと政府からの援助金を受け取ってきましたから、バカンスにも行けず、外食も外出も思うようにできずに、日頃、使うはずのお金は貯まるばかりの人も少なくなく、2020年のフランス人のリブレA(定期預金)等の貯蓄額は過去最高に達したと言われています。

 いわゆる「コロナ貯蓄」と呼ばれるフランス人の貯蓄額は2021年3月の段階で1,420億ユーロに達しています。

 これは、失業や生活への不安から来ている面もありますが、一方では、単にお金を使う機会を奪われていたことにも起因しています。

 そして、とうとう今年5月半ばにテラス席だけとはいえ、レストランやカフェは再開し、あらゆる文化施設も再開、そして6月末には、夏のソルドも始まりました。

 これまで抑圧されていたフランス人は、一気に日常開放モードになり、レストランやカフェは、テラス席を拡張したり、雨対策に雨よけのパラソルやテントでおしゃれにお色直しをして大賑わいの人出を迎え、久しぶりの夏のソルドは、なかなかの盛況で、街ゆく人もこれまで一年間、できなかった買い物を思う存分している様子で、メトロの中には、ショップの大きな紙袋をたくさん抱えた人を見かけます。

 こんなに紙袋を抱えた人をたくさん見かけるのは、久しぶりのことで、ストップしていたフランスの経済が動き出していることを感じます。

 そして、7月に入り、いよいよフランス人にとって、一番、お金を消費する夏のバカンスシーズンに突入しました。

 まだワクチンが開発されていなかった昨年の夏でさえ、海外旅行に出るのは控える人が多かったとはいえ、それでも、ロックダウン解除、夏のバカンス(長距離移動)にGOサインが出た途端にSNCF(フランス国鉄)のサイトは、あっという間に殺到する予約のためにダウンするほど、フランス人は、一斉にバカンスに出かけたくらいですから、ワクチン接種がある程度進み、感染状況が比較的落ち着き始めている今年(とはいえ、デルタ株の勢力拡大のために不安はある)の夏のバカンスは、さらにヒートアップし、昨年以上の人出が見込まれています。

 バカンスのために生きているようなフランス人が水を得た魚のように、皆、バカンスに出かけるのです。それでも、これまで以上に屋外で楽しめるキャンプ場やキャンピングカーなどの予約が例年よりもずっと増加しているという話も聞きますが、方法や手段は別としても、フランス人の消費は波に乗り始めています。

 ロックダウン中の政府の補償金も国民がこうして消費していくことで、政府は少しずつ取り戻しているんだな・・と感じます。失業した人でさえも、フランスは失業手当もなかなか手厚く、次の仕事よりもまずバカンス、とりあえず、バカンスに行ってから考えよう・・そんなところもあります。

 もちろん長いロックダウンや営業制限のために、閉店に追い込まれたお店も倒産した会社もありますが、一般の従業員に対しては、補償金が支払われていたために、ロックダウン解除後もそれほど消費を控えるという流れにはならなかったのです。

 それどころか、これまで抑圧されていたものが一気に爆発して勢いがつき、レストラン・カフェなどの外食だけでなく、消費者は、DIYアイテム、携帯電話やラップトップ、本、自転車、などの商品に群がり、 5月の段階で、すでに、28%急増しています。

 政府の予想以上に国民が消費することに一気に動き出したのです。

 フランス銀行は、フランスの経済成長率を5.5%から5.75%に上方修正しています。

 将来に思い悩むより、今、自由な生活を思う存分楽しみたいフランス人のラテン気質がフランスの経済成長に大いに貢献しています。

 経済成長は、ありがたいことではありますが、ウィルスの感染も一気に上昇・・なんてことにならないように、お願いしたいものです。



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