今では、自転車を扱う店舗も増えた |
私がフランスに来たばかりの頃、フランスで自転車といえば、移動手段というよりも、スポーツという位置付けで、休みの日に、車の後ろか、屋根に自転車を括り付けて移動して、広い場所に行って自転車に乗りに行く、あるいは、本格的にツール・ド・フランスのような競技さながらのヘルメットをかぶって、サイクリング用のウェアを身につけて乗るような感じが主流でした。
日本で生まれ育った私としては、ちょっと自転車で買い物に・・なんて感じがとても便利で、フランスでもそうできたら、どんなに良いだろうと思ってきました。
しかし、フランスでは、自転車の盗難が異常に多く、生半可な鍵を付けただけでは、買い物に自転車で出かけて、お店から出てきたら、もうない・・なんてことも、ちっとも不思議な話ではなく、たかだか、買い物に行くのに、頑丈な重い鉄パイプでできたU字型の鍵をかけなければならず、気軽に自転車で出かけることはできません。
しかし、ここ数年、環境問題や、特にパンデミック以来、公共交通機関を利用することを避けるために、自転車が大人気になり、スポーツではなく、移動手段としても使われるようになり、自転車は飛ぶように売れるようになりました。
自転車はパンデミックのために売り上げが急増したもの一つです。今は、自転車とはいえ、電動アシスト付きの自転車などは、下手をすると中古車も買えるほどの値段です。それでも売れる自転車市場の勢いはスゴいのです。
感染防止のために、交通費補助として、自転車への補助金なども出されたりしたことが、自転車人気に拍車をかける結果となりました。
もちろん、防犯対策のために頑丈な鍵も携帯してのことですが・・。
また、パリでは、べリブという乗り捨てのできる貸し出し自転車があちこちに設置されるようにもなりました。
それだけ自転車が売れるということは、それだけ盗難も多くなるということで、我が家も多分にもれず、一度、新品のママチャリのような自転車を娘がプールに行くのに乗って行って、プールから出てきた時には、影も形もなくなっていた・・そんなことがありました。
その時は、鉄の鎖の鍵をしっかりかけていたのですが、ガッチャリ切られて盗まれたようです。
その盗み方もえげつなく、たとえ、鉄パイプの頑丈な鍵をかけていようと、鉄パイプの繋がった部分だけが残され、サドルからハンドル、タイヤの部分だけが盗まれるというそんな無残な自転車の残骸を見かけることも少なくありません。
フランスでは、1日1,000台以上、年間、約40万台の自転車が盗まれていると言われています。
個人の自転車泥棒はもちろん、先日、発覚したプロ?の自転車泥棒の摘発では、高級自転車店を狙った組織的な犯行で、フランス全土から合計361台の自転車を盗み、合計85万ユーロ近くの被害が発生したと伝えられています。
これは東欧出身の8人のグループによる犯行で、見事に屋根裏からワイヤーで自転車を吊し上げて盗み出しています。ワイヤーで屋根裏から吊り上げることによって、アラームを回避する計画的かつ組織的な犯行です。
盗まれたこれらの自転車は、一旦、パリに回収された後、ウクライナに転売されていました。
これまでは、街に駐車されている自転車や、細かい部品までも盗んで、一体、どれほどの収益が上がるのだろうか?と疑問にさえも思っていましたが、堂々と盗品を売るマルシェまであり、盗む方も盗む方ですが、盗品とわかっていて、買う方も買う方だと呆れます。
こんなことが重なり、盗難、違法な転売を防ぐために、トレーダーが新しく販売した自転車は、自転車のマーキングが義務化され、2021年7月1日からは、中古自転車にも適用されることになりました。
とはいえ、フランスでの自転車の盗難は、そんなことで簡単になくなるとは思えません。これからも、私は、自転車に乗るときには、重たいU字型の鍵を持って、自転車に乗ることでしょう。
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